神様と作者との対話 その4
「神様、ゴーダマシッタルダ様にお会いになったんですって。すごいですね。私もお会いしたかったです。」
「わしも、びっくりしたぞ。魂は普遍の世界にいるので、自由に、どこへでも、出現できるんだが、よりによって、わしのところにでてくるとは、思わなんだ。」
「やはり、そうなんですね」
「でも、仏教の始祖、ゴーダマシッタルダ様ですから、わしのようなおとぼけ神様のところにでてくるような人じゃないはずなんだが」
「いあやー、神様がえらいので、出てきてくれたんではないんですよ。あの仏教データベースを作っているというパワフルな仏教徒が、すごいんですよ。かつてのインドの時の仏典の取りまとめに尽力を尽くしたっていってましたよ。」
「そういえば、ゴーダマシッタルダ様は、わしには、何も言及しないまま、帰ってしまわれた。わしが、一生懸命、人間のルーツを探しているというのに。」
「まあ、それは、しかたがないでしょうね。」
「やはり、そうか」
「ところで、あの人のインド時代の名前はわかったんですか?」
「いや、ゴーダマシッタルダ様もそれは、なにも言わなんだぞ。」
「そうですか。ところで、神様は、この小説の主人公なんですねど、お名前はあるんですか。たしか、ラマの糞という、名前だったとか、言っていませんでしたか?」
「人間は、無限の輪廻転生を繰り返すだ。その時の子供の時の名じゃ。何億年、何十億年という時間の流れで魂をみれば、地球に生まれて生きる時間は、ほんのわずかだ。あまりにもほんのわずかだ。その時々に名前をつけて貰えるので、たくさんの名前がある。超古代の名前もあるし、地球に来る前に、違う星で生まれた名前もある。天上界で呼ばれている名前もある。さて、どの名前を言えばいいかな。」
「たくさんの名前、たくさんの人生があったんですね。」
「天上界には、時間という概念がない。すべては、一瞬で実現する。山を思えば、山に同化して、山自体を感じることもできるし、空を思えば、空を感じることができる。思うことは、魂のすべてなので、すべては思った瞬間に実現してしまう。すごいこともあるが、つまらないところでもある。天上界の世界からすれば、地球にいきる人間の一生も、一瞬にすぎない。しかし、地上にいきる人間には、80年、100年の人生を楽しむことができる。それが、この地上に生まれる楽しみである。冒険である。天上界は、すべてが一瞬で起きてしまうので、なにが起きているのかがなかなかわりずらい。」
「そうなんですか」
「たとえば、光を考えてみよう。光は非常に高速なので、速度をはかったり、性質を調べるのはなかなかたいへんだ。そこで、光の速度を、1秒間に10cm進む環境におくと、その速度や性質などを、自由に調べることができる。光の速度の世界を天上界と考えて、地上の世界を1秒間に10cm進む世界と考えてみると、いいかもしれない。しかも人間の行動は、1秒間に10cmの世界を生きていても、思考の世界は、光と同じ速度を保っていれば、この世界の仕組み、人間の仕組みを解明するのに、十分な能力があるといえよう。だからこそ、人間には、この地球をユートビア、平和な星に能力が、備わっていると言えるのだ。」
「そうなんですか」
「もうすこし、複雑な話をするのだが、光の速度、1秒間に20万キロと、1秒間に10cmという比較をしたが、天上界と地上の違いは、1秒間に20万キロと1秒間に10cmという比率を、そのままにして、地球の状態を、1秒間に20万キロ 光の速度の世界と考えるべきなのだ。すると、天上界の速度が、どんなにすごいのか、想像することもできないできない世界になってしまうと思うが、そのような差が、確かに存在するのだよ。超高速、超高速などという表現では表現しきれない速度のような世界なのだ。ようなというには、その世界では、時間という概念が存在しないからだ。故に、根源的神様が、この大宇宙を含む、すべての世界を一瞬にして、把握し、その成長を促しているのが、感じわれるだろう。2500年前にゴーダマシッタルダ様は、大悟されたと伝えられているが、天上界の超超超高速の世界を通じて、大宇宙の世界に触れられたのだ。一瞬にして、地球、天の川銀河、多くの銀河、136億年の広がりがあるとされる大宇宙、それをのりこえて、膨大な宇宙と宇宙の根源的な神様との遭遇、同化を果たしたのだ。」
「へえー」
「それも、一瞬の出来事としてだ。」
「夢とか、想像とは違うんですね」
「その違いの説明は難しいが、魂の実体験としての経験だ。」
「でも、一瞬にすべてを把握できるとして、それを、記憶にとどめ、人に教えるのは難しいことですね。」
「そうだな。さっきも言った1秒間に20万キロと10cmの違いというのが、どうしても、存在するのだから、大宇宙を感じて、同化しても、もとの世界 秒速10cmの世界で生きるとなれば、それなりに大変だ。まわりのすべての人間は、その秒速10cmの世界が、すべてと思っているのだから、とんでもなく、難しいことでもある。」
「それで、ゴーダマシッタルダ様が、どうされたんですか?」
「地上にある、たくさんの事柄を例えに使って、天上界や宇宙のことを表現しようとしたのだ。」
「だから、仏教には、とんでもなく大きな数字や、どんでもなく長い時間の概念が存在するのですね。」
「そうだ。仏教の取り扱っている世界は、現代宇宙科学、天文学の取り扱っている世界の何十倍、何万倍、何億倍も大きな、世界を論じているのだ。現代天文学など、仏教の世界観にくらばれば、子供だましにすぎない。子供だましは、言い過ぎだな。仏教の世界観とは、かなり違うということだ。ゴーダマシッタルダ様を、それを、一晩で、宇宙の成り立ち、広がり、天上界の仕組み、人間の仕組みを悟られたのだ。」
「そうなんですか」
「それは、人間が、大宇宙の根源的な神と同根、同質のものがあるからだ。この地上に生きるのは、その同根、同質を持ちながら、秒速20万キロのものが、秒速10cmとして生きるので、まったく違うように見えてしまう。しかし、それは、人間が、大宇宙の神の仕組みと同根、同質の人間の仕組みを知る、実験する、体験する、すぐれた場で、唯一の場なのだ。」
「そうなんですか」
「神様、あなたの悟りのレベルはどのくらいですか」
「さあな。コンピュータオタクのあの仏教徒に聞くしかあるまい。」
「でも、さっきから、気分が悪いといって、寝込んでしまった。」
「あまりにも、ショックすぎたのだろうな。」




