神様と仏教データベースを構築する仏教徒との対話
「わしは悟りを開いたぞ」
「神様、どんな悟りを開いたのですか?」
「いままで、人間のルーツをこの地上で探し求めたが、見つからなかった。そこで、他の方法で、探すべきだということを悟ったぞ。」
「神様、それは、おめでとうございます。それで、どこをお探しになられますか?」
「人間の心の中に、人間のルーツを探してみたいと思う。おぬしは、協力してくれるとたすかるぞ。」
「協力してもいいですけど、一つ質問があります。」
「なんだね」
「最近の人口知能は、人間より能力が高いと言われています。」
「突然、へんな質問をするなぁ。」
「チェスも、将棋も、碁も、もはや、コンピュータに勝てなくなってしまいました。」
「そうらしいのう」
「宇宙の解明も、物質の解明も、最近は、癌の薬も、コンピュータで探し出す時代になりました。」
「それで、なにが言いたいんだね?」
「神様、もう、人間のルーツ探しなどおやめになって、人類の未来をコンピュータに託した方がいんじゃないでしょうか?」
「わしは、仏教徒のおぬしと話をしているつもりだったが、はて、人格が入れ替わったかな。それなら、メタモンのようなやつだ。」
「いえ、入れ替わっていませんが、近代仏教を、コンピュータを駆使して、再構築できないかと考えておりまして、いま、コンピュータの可能性を研究しているんです。」
「どんな可能性だ」
「自主学習コース1、悟りへの道。あなたも、このコースを受講すれば、悟り1を獲得できる。悟り2、悟り3、悟り4。。。悟り100ぐらいまで用意して、悟りを得てもらうというものです。」
「うまくいくかのう。うまくいかないとおもうぞ」
「どうして、そう思うのですか?」
「神様のカンというやつだ。」
「神様のカン? カン?カン?ですか?」
「そうだ。カンだ。」
「では、どのように悟りを得ればいいのですか」
「仏教では、座禅が良いと言っているではないか」
「座禅ですか?足はしびれるし、肩もこるので、座禅は嫌いです。ついでに、眠くなるし」
「おや。わしは、仏教徒のおぬしと話をしているつもりだったが、はて、人格は途中で入れかったかな。」
「先ほども同じフレーズを言いましたよね。人格は入れ替わっていません。最近の仏教徒は座禅なんてしないんです。コンピュータがすべての答えを導くのです。宇宙の構造も、物質の究極の形も、みんなコンピュータで探す時代です。人間のこころも絶対コンピュータでは探せるはずなんです。コンピュータはすでに、人間より偉いんです。コンピュータの知識や知恵に勝てないんです。事実、チェスや将棋、碁もコンピュータの方が強くなってしまたんです。」
「そうらしいのう」
「現代仏教は、進化をしているんです。悟り1から100まで。現代仏教 Ver.1 から Ver.100 まで、構成しようと頑張っているんです。」
「そうか。ところで、おぬしは、悟りのレベルはどのくらいなんだ。」
「そうですね。レベル84というところでしょうか。」
「すごいではないか。ところで、そのレベル84とは、どのくらいの悟りなのだ。」
「そうですね。現代社会は、無情な社会で、あまり、期待という夢をみず、この世は忍土、天国ではない社会と心得ていきるということでしょうか。四苦八苦の満ちている世界ということです。」
「なぜ、その四苦八苦の苦しい世界に人間は生まれてくるのだろうか」
「そうですね。その答えは、レベル90以上にならないと、わからないようになっています。」
「そうか。ところで、おぬしは、梵天や仏陀に出会ったことがあるかな?」
「ええ、毎日、仏像の前で、勤行していますので、お会いしています。」
「仏像ではなく、本物の梵天や仏陀だ。」
「勤行をしていますが、特に、仏像に変化はありませんし、梵天や仏陀が、出現することはありません。」
「それで、よく仏教徒をしておるなぁ」
「わたしは、仏教に宇宙の神秘、仏、神の世界が隠されていると信じています。そこで、あらゆる仏典をデータベース化して、どんな事柄も、瞬時に検索し、回答をみいだせるようにシステムを構築したのです。みてください。すべての仏典が収録されている巨大なデータベースとその人工知能です。このコンピュータこそ、現在、最高峰の悟りを得た聖者といっても過言ではありません。」
「おぬしのその並々ならぬ努力と才能は、認めよう。2500年前の仏教の始祖、ゴーダマシッタルダは、そんなものを使わずの悟ったのだぞ。」
「まあ、2500年前にはコンピュータなんて存在しませんものね。」
「あたりまえだ。ところで、ゴーダマシッタルダは、何を悟ったのだね。」
「人間の本質、宇宙の本質でしょうか」
「今、ここにそのゴーダマシッタルダ様が来ておるぞ。」
「まさか、ご冗談を言わないでください。もう、2500年前になくなった方が、今、ここに居る訳がありません。」
「そうかな。大いなる悟りを開かれたゴーダマシッタルダ様は、輪廻転生の外に居られ、いつでも、どこでも、自由に出現することができると言っておるぞ。」
「いったい、ゴーダマシッタルダ様は、どこにいるのですか。」
「天界、あの世、霊界、魂の世界、生命エネルギーの世界じゃ。この宇宙を包み込む高次元の宇宙というべき世界だといっておる。」
「そうですか。早速、私のデータベースに登録しておきます。他には、なにか、言っていますか?」
「おぬしは、自分が悟ろうという気がないのかな」
「わたしのレベルももうあがらないと思いますので、このコンピュータシステムの精度をすこしでも向上させようと思っています。」
「ゴーダマシッタルダ様は、大悟され、人間の本質、宇宙の本質を探求されたのだ。すると、人間の本質が、この地上に生きる人間は日々感じている世界ではなく、大宇宙の生命エネルギーあふれる宇宙の根源的神に触れられたのだ。そして、その意を体現する多くの梵天、仏、菩薩達がいる世界に出会ったのだ。そして、人間の本質は、それらと同質、同根なのだということを会得されたのだ。」
「そうですか。それは、すばらしい。えーっと、早速、コンピュータに登録します。えーっと。情報源は、おとぼけ神様なので、信頼度は、下から2番目の2しておきます。」
「人間の魂が、輪廻転生を繰り返すということは、永遠の生命があるということじゃ。永遠の時を、大宇宙の神のもとに、この地球と違う霊的な高次元の世界とこの地球を、繰り返し生きているということじゃ。」
「えーっと。情報源レベル2。魂は死なないで、永遠の時を、輪廻転生を繰り返していきる。登録しました。」
「おぬしの魂も永遠にいきているのじゃ。2500年前に、おぬしは、ゴーダマシッタルダ様のもとで、法を聞き、後世にその教えを残すために、仏典の編纂にその生涯を捧げたと、ゴーダマ様がおっしゃっているぞ。」
「えーっと。私は、2500年前にインドの地に生まれて、ゴーダマ様の教えを受け、その教えを後世に残すために尽力した。情報源レベル2 登録完了。 エー!、エー!、エー! 今、何をおっしゃいました。
この私が、2500年前にインドに生まれて、お釈迦様のお話を聞いた。まさか、そんなことはあり得ない。うそー、ほんとー、うそー、ほんとー。私の頭が混乱している。」
「おちつけ、おちつけ」
「まさか、まさか、そんなことはありえない。どうしよう、どうしよう。」
「おいおい、おぬしの自慢のコンピュータ、調子もすこしへんじゃないか?」
「えー、えー、私には、よくわかりません。しばらく、クールダウンさせてください。」




