神様とガブリエル大天使との対話
「あのー、ガブリエル大天使さま、質問があるのですが、よろしいでしょうか?」
「なんだね、スマホの神様君」
「ガブリエル大天使は、せっかちで、短気なのではないかということを聞いたのですが、本当ですか」
「誰が、そんなことを言ったのかね」
「みんなです。道行く人も全員知っている常識なんですが、どうも、誰もそのことは口にだせないようなんです。」
「そうか、みんな知っているのかね。ばれてしまったら仕方がない」
「ほんとうにそうなんですか?」
「そうかもしれん。地上の時と、別に天の時がある。その時を逃すと、成就すべきことが成就しなくなってしまう。だから、地上の時の目で見ると、無理やりなスケジュールになってしまう時がある。イエスの誕生の時もそうだった。」
「そうなんです。聖書を読むと、イエスの様の誕生は、とんでもないスケジュールの中で行われていますが、それって、ガブリエル大天使さまが、いろいろ調整されたと書いてあります。」
「すこし、強引なスケジュールだったのは、間違いない。だから、できるだけ、混乱しないように、根回しもしたのだが、それでも、きわどいことになってしまった。」
「本当にたいへんだったのですね」
「だから、他の天使に任せることができなかったので、わしが直々に対応することになったのだ。」
「そうなんですか」
「イエス様は、やはり、特別な存在だから、なんとしてもあの時、あの場所に生まれ、育っていただきたかったので、無理やりな場合もあった。」
「でも、すこし、無理やり過ぎたのでないでしょうか」
「それも、十分考えたが、天の時は、あの時以外になかったのだ。」
「ガブリエル大天使が、そうおっしゃるのなら、そうなんでしょうね」
「スマホの神様君、あまり、納得していないようだね」
「ガブリエル大天使さま、それにしても、無茶ブリすぎるような気がします。マリアさまの結婚前の妊娠によって、誕生日が故郷を少し離れたベツレヘムまで旅の先で、出産することになり、そこに、東方の三賢者を呼び寄せることになり、そのことにより、イエス様の誕生は、ヘロデ王の知られることになり、たくさんの赤ちゃんが虐殺されたということです。どうして、そんなスケジュールになってしまったんでしょうか。もともと住んでいたナザレで出産できるスケジュールとか、選択の余地はなかたんでしょうか? それに東方の三賢人は、イエス様は祝福したのかもしれませんが、とんでもない大騒動を引き起こして、逃げていってしまって、本当に、困った人たちではなかったでしょうか。あの三賢人の登場をどうして食い止められなかったのか、不思議でなりません。」
「たしかに、東方の三賢人の登場は、大騒動を引き起こすことになってしまったな。しかし、それも、預言が成就する必要があったからなのだ」
「でも、預言など成就しなくても、地球の社会の現実を守るほうが、大切のように思いますが」
「たしかに、預言など、成就しようが、しまいが、大したことではない。明らかな混乱、大騒動が予想されたのに、大騒動を引き起こすことになってしまったのは、反省すべきところがある。」
「スマホの神様君。君は、大天使たるわしに意見をするなど、見どころがあるかもしれんな。がんばりたまえ。わしにもいろいろ反省すべき点もある。なにか、困ったことがあれば、協力するので、遠慮なくいってくれたまえ。」
「有難うございます。困ったことがあれば、お願いするかもしれません。そうだ。人類のルーツの痕跡をこの地上で探さなければならなくなったんですが、なにか、よい知恵はありませんか?」
「今はなかなか難しい時代だな。もう少し、天文学が進化し、物理学が物質の向こう側を探せるようになり、生物学が生命エネルギーの存在に気がつくようになれば、よいのだが。みんなもう少しのところに来ている。もうすぐ、精神世界、神の世界を認めざるをえなくなるが、もう少しの辛抱じゃ」
「それって、天の時ではないということですか」
「地球のリズムと天の時がであう瞬間はほんのわずかなのだ。その時がくれば、人類に方向が大きくかわるだろう。その時を知るための感覚を磨いておく必要がある。その時は、黙って訪れ、黙って去っていくのじゃ。気が付かなければ、それまでじゃ」
「それまで、もう少し、人類のルーツ探しを続けてみます。その努力が、その「時」を知る感覚を磨くことになると思いますから」
「その通りじゃ。がんばりたまえ」




