神様と犬との対話
「神様、落語に、犬が人間になってしまうというお話があるのですが、犬は、人間になれるのでしょうか」
「それは、難しいぞ」
「やはり、難しいですよね。あきらめます」
「そうか、それが、よいかもしれないが、どうして、人間になりたいのか、話してみてはどうかな?」
「私は、本当は、捨て犬で、直ぐに殺される運命にあったのです。しかし、運よく、やさしいお爺さんに拾われて、かわいがっていただきました。私は、とても幸せな人生(犬生)を送ることができたのです。今度は、そのお爺さんに恩返しがしたいと思っているんです。」
「よかったのう。幸せな人生(犬生)が送れて。」
「ほんとうに、奇跡のような人生(犬生)だったのです。そのお爺さんはお金も大分あったので、なに、不自由のない人生(犬生)でした。でも、犬の寿命は、20年もないので、私はもう、大分前死んでしまいました。お爺さんはほんとうに大往生で、100歳まで生きて、つい、最近なくなりました。お金や土地がだいぶあったので、遺産相続が揉めているようです。」
「それは、仕方がないことだ。人間は、死んでしまえば、この世界に関わることはできなくなる。神の世界たる世界に帰るしかないのだ。しかし、ときどき、地獄に寄り道をする魂もいるが」
「そうですね。きっと、あおお爺さんは、よい人だったので、魂の世界にちゃんと帰れたと思います」
「いやいや、そうとも限らんぞ。死んだあとの問題が、いろいろ心配事があって、直ぐには、こちらにこれないようじゃ。仕方がないのう。あのお爺さんは死んでしまったので、地上の世界に関われることはほとんどないのだが、いろいろ心配の種が尽きないようだ。会社の問題も地域の問題も、いろいろ心配事ばかりだ」
「私にできることはないでしょうか」
「お前は犬なんだぞ」
「人間に生まれて、おじいさんの心配事を少しでも減らすことはできないでしょうか」
「お前は恵まれた人生(犬生)を得ることができたそうだが、今から人間と生まれて、人生を生き抜くのは、たいへんなことだぞ。」
「でも、なんとか、したいんです。」
「なんとか、人間として生まれるように考えてみよう。このように対話ができるのだから、それなりの犬だということだろう。他の神様とも相談してみるから、待っていなさい。それより、亡くなったお爺さんのところにいって、地上の事は、地上の人に任せないといってあげなさい。いろいろとなし得なかった後悔も当然あるだろうから、お爺さんが落ち着くまで、慰めてあげなさい。いくらりっぱでも、大きな財力は、権力があっても、地上のことは、思うに任せないのだ。思うに任せないことが、実は、神のシステムなのだ。なぜなら、オリンピックで、金メダルを取るには、厳しい練習も必要だし、ライバルが必要だ。
厳しい練習があれば、怪我や病気も乗り越えなければならない。強くなるためにはいろいろな条件が必要だ。もし、そのお爺さんが、平和な村に生まれたら、りっぱな村長になったかもしれん。しかし、それでは、逞しくなれないかもしれない。乱れた村に生まれて、それなりの人生が生き抜けたとすれば、それで、魂を逞しくすることができたのかもしれない。どんな場面に生まれても、魂を逞しく、育てることができるはずじゃ。わしも、あのお爺さんは立派にいきたと思う。あれ以上の生き方はなかったのかもしれないが、家族や時代に恵まれない場合もある。それは、その世界を支えるためじゃ。そして、その学びは次の輪廻転生でいかされるのじゃ。
コンピュータで将棋をやってみると、始めは、勝てるのだ。すると、コンピュータもレベルをあげてくるので、勝てなくなる。負け続けると、コンピュータがレベルをさげてくる。その繰り返しだ。ある人生でうまくいけば、違う人生では、条件を厳しくしてみる。そして、負けてしまうこともある。しかし、それも、挑戦した故の結果じゃ。すべての簡単にうまくいってしまえば、それはつまらんのじゃ。地上に生きるとは、悩みや苦悩を飲み込むことじゃ。飲み込んで、初めて、知ることもできる。対策も考える必要もでてくる。もしかすれば、仇を仲良くする方法だって見つけることもできるかもしれないにし、どうしても、許せないことも、許す方法を見つけ出せるかもしれない。」
「そうなんですね」
「人間は、なんども、なんども、挑戦して、地球を素晴らしい星しようと挑戦しているんじゃ。しかし、なかなか難しい問題だ。なぜなら、今の人間は、神様のことをすっかり忘れてしまったので、どこに、中心軸をおいたらいいのかは、解らなくなってしまったんじゃ。おのれのルーツが、神なのか、それとも、猿なのか、大混乱している」
「私は、猿はきらいです、うるさく騒ぐばかりですから」
「犬猿の仲といって、好きになれないものもいるからな」
「私は、人間のルーツは神様がいいですね。気持ちがいいですから。」スリスリ
「おいおい、くすぐったいぞ。それよりも、お爺さんをこの世界に導いてあげなさい。そうしたら、お爺さんの仲間も神様たちが、お前を人間にする方法を見つけだしてくれるはずじゃ。はよ、行け」
「ワンワン」
「あいつはやはり犬だったのかな。それとも、人間だったのだろうか」




