29.オルコット商会
オルコット商会は王都でも1、2を争う大きな商会だと聞いていたけれど、想像していた以上に繁盛していて、店の前に降り立った時は、あまりの大きさに驚かされた。
高層建築が少ないこちらの世界では珍しい、4階建ての頑丈そうな建物はとても目立っていて、建物の中に入ると人で溢れ返っていた。
扱う品によって売り場が分けられているようで、どこから見たものか迷ってしまう。
店内の案内図のようなものはないから、店員さんに聞いてみるのが一番なのかもしれない。
「ユキ、俺から離れるな」
はぐれる事を心配したのか、ルーファスさんがしっかり手を繋ぐ。
最初は抱き上げようとしたのだけど、お店の中では恥ずかしいし、商品が見辛いからやめてもらった。
「ルーファス様、ユキ様!」
声を掛けられて振り向くと、リゼルさんがいた。
旅をしていた時とは違って、オルコット商会の他の店員さんと同じ制服を着ている。
白いシャツに黒いスラックスといったシンプルな制服が、整った顔立ちのリゼルさんには良く似合っていた。
「ようこそお越しくださいました。ただいま主人も参りますので、よろしければ御用を承ります」
嬉しそうな笑顔で、歓迎してくれているのが伝わってくる。
大好きな主人であるエリアスさんを助けてくれたルーファスさんは、リゼルさんにとっては英雄なのだと思う。
「食材を見に来たんです。珍しい調味料や、味噌とか醤油がないかと思って」
商会の店員なら知っているかと思って尋ねてみると、一瞬だけ、何故そんなものが欲しいのだろう?と、不思議がるような表情だったけれど、すぐに笑顔で頷いてくれた。
もしかしたら、私が料理をするようには見えなかったのかもしれない。
「食材は1階の奥にございます。珍しいものですので少し割高にはなりますが、ユキ様が探しておられる調味料も取り扱っています。別室に欲しい品を運んでお見せする事もできますが、どうなさいますか?」
商談用の部屋があるのか、お伺いを立てられるけれど、それは断って直接売り場に見に行く事にした。
他にも何があるのか見たいし、初めて来たのにお得意様のような扱いをしてもらうこともない。
「ルーファス様、ユキ様。本日はようこそお越しくださいました。先日は危ないところを助けていただきまして、ありがとうございました。改めて御礼申し上げます」
他の店員さん達とは違う、一目で店の関係者だとわかる姿をしたエリアスさんがやってきて、丁寧にお礼を述べる。
助けたあの日に、もう十分過ぎるほどにお礼を言われたから、必要ないのにと思うけど、そうはいかないらしい。
ルーファスさんは少し困ったような表情になりながら、エリアスさんを見た。
「冒険者として当然の事をしただけだから、気にするな。それより、今日はユキの欲しがっている食材を見に来た。他にもいくつか用意して欲しい物があるんだが、まずは食材を見せてくれ」
ルーファスさんは軽く受け流して、話をそらすように今日の目的を話す。
エリアスさんに付き従うようにリゼルさんもついてくるので、二人掛かりで案内してくれるみたいだ。
案内された先には、和食や中華の食材がたくさんあった。
調味料がなくては始まらないので、次々に選んでいく。
お味噌は数種類あったので、試しに全種類買ってみることにして、お醤油も濃口と薄口があったので両方手に入れることにした。
他にも日本酒やお酢にみりん、昆布やかつおぶしと、値段は気にせず目に付いたものでほしいものは次々に注文していく。
王都を離れたら手に入れるのも大変だろうし、妥協はしない。
ゴマや海苔、大豆や小豆などの乾物もあるのはありがたかった。
和食だけでなく中華の食材もとなると、かなりの量と種類になってしまったけれど、アイテムボックスがあるから怖くはない。
調味料以外にも、豆腐や魚、数種類のお肉に卵と、あまりにも次々に注文するので、リゼルさんが驚いていた。
野菜や果物などは、支店の方が充実しているそうなので、帰りにそちらに立ち寄ることにする。
本店で扱っているのは、どちらかというと単価の高い高級品が多いそうだ。
こちらの世界では卵も高級品なのかと、ちょっと驚いてしまった。
鶏肉があるんだから鶏がいるんだろうし、養鶏場とかないのかな?
乳製品も欲しかったけれど、それも支店のほうで扱っているそうなので、後回しにした。
お茶を数種類と、コーヒーもあったので手に入れておく。
コーヒーは豆の状態で売っていたので、豆を挽くためのミル等の道具も一式揃えて貰った。
食材とは違う階に、陶器のマグカップやティーセットもあったので、食器などと一緒に購入しておく。
陶器は割れるかもしれないから、馬車の中では使い辛いけれど、持っていても困ることはないだろう。
ある程度注文を済ませた後は、商談のための小部屋に移動した。
ソファに腰掛けると、すぐにお茶が運ばれてきて、向かいにはエリアスさんだけが座る。
「申し訳ありません。本来ならば店主である父に先日のお礼を含め、挨拶をさせるべきなのですが、父は先日の件の詳細を知りません。兄達が父に私を近づけないように必死になっているのを見て、よほど事のあらましを知られたくないのだろうと思うと、無理に真相を追及することもないのではないかと考えまして。それに、父は独自の情報網も持っておりますから、兄達が必死に隠したところで、真相を知っているのではないかと思います。それでも何も言わないということは、何もなかったことにしたいのだろうと、私は判断しました」
エリアスさんは申し訳なさそうに、そして少し寂しそうに目を伏せた。
まだ半月も経っていないと思うけれど、こうして向き合ってよく見てみると、前よりも痩せて、少しやつれているように見える。
命を落とすところだったのに、多分、店の醜聞になるからと、何もなかったことにされたことで、親に見捨てられたような気持ちなのかもしれない。
どんな事情があるのかわからないけれど、兄達は咎められることもなく、エリアスさんだけが我慢しなければならないなんて、何の関係もない私でも理不尽だと腹が立つ。
エリアスさんの場合、それに家族としての情も絡んで、余計に複雑で辛い気持ちなのではないだろうか。
「別に礼なんぞいらないから、気にするな。それより、マスグレイブ公爵家と取引はあるか?」
むしろ挨拶がなくて助かるとばかりに言い切った後のルーファスさんの問いかけに、エリアスさんは訝しそうに頷く。
「それはもちろんございます。公爵家の食材は、ほぼ私共から納めたものです。他にも何かとご贔屓くださってます」
思いがけないところに思いがけない繋がりがあって驚いた。
どちらも王都では名を知らぬものがいないという大きな存在なのだから、繋がりがあっても当然なのかもしれないけれど。
「4日後、セシリアがドレスを作るので、屋敷に商人を招いているはずなんだ。それがオルコット商会なら、その場にエリアスも来られないか? ユキのドレスも作ってもらうから、知った顔があった方がユキも安心するだろうし、それに内密に紹介したい相手がいる」
ルーファスさんがちらりと入り口の扉の方に視線を向けながら、最後だけは声を潜めた。
もしかして、誰かが立ち聞きでもしていたのだろうか?
獣人は五感が優れているらしいから、私たちではわからない物音も聞こえるらしい。
意識して遮断しているけれど、耳を澄ませば、普段よりもずっと音を拾えるようになると、前にルーファスさんが教えてくれた。
「服飾は長兄が担当しておりますが、ルーファス様のご要望でしたら、是非とも伺いたいと思います」
エリアスさんもルーファスさんの視線の意味に気づいたのだろう。
まるで向こう側に聞かせるように、よく通る声で返事をする。
「城でのパーティー用の衣装なんだ。装飾品も含めて頼む予定だから、エリアスに来て欲しい。ユキに似合いそうなものを見繕ってくれ。値段は気にしないが、あまり飾り立てず、ユキの素の魅力を引き立てるものにしてほしい」
ルーファスさんはまたしても散財する予定らしい。
きっと払わせてくれないんだろうなぁと思いながら、その一方で、そこまでルーファスさんに大事にされていることを、嬉しいと感じてしまう。
「私だけじゃなくて、ルーファスさんの衣装は? せっかくだからお揃いにして作ってもらう?」
手持ちの服でいいと言い出しそうなので、ルーファスさんも巻き込む事にした。
でも、もしかしたら、ルーファスさんの衣装は、ローランドさんが嬉々として用意したりしてるのかな?
「ユキ様、その……」
何事かエリアスさんが言い掛けたのを、ルーファスさんが鋭い視線で止める。
「ユキのしたいようにさせたいから、揃いで仕立ててもらうことにしよう。頼んだぞ? それと、少し防具を見たいから、ここでユキを見ていてくれないか? 一人にするのは心配だが、連れ回して防具を見ている間、目を離すのも心配でな」
ルーファスさんが過保護な事を言いながら席を立つ。
いつもなら私から離れようとしないのに、エリアスさん達のことは信用しているということだろうか。
私もルーファスさんに内緒でやりたいことがあったので、ちょうど良かったから、ここで待つことにした。
「ここでのんびりしているから、ゆっくり見てきて」
座ったまま見送ると、ルーファスさんは私の頭を撫でてから部屋を出て行く。
ルーファスさんと知り合ってから、こうして別行動をしたのは初めてのことだと、今更ながらに気づいた。
ずっと一緒にいたのに、あまりにもそれが自然だったから、今まで気にしたことがなかった。
ルーファスさんと出逢う前は、一人で行動するなんて当たり前のことで、むしろ誰かとずっと一緒という方が有り得なかったのに、今はほんの少しの別行動さえ寂しいと感じてしまう。
ルーファスさんがどれだけ特別なのか、こうした些細な事で思い知らされる。
「エリアスさん。実は私、他にも買い物がしたいんです。ルーファスさんに何か、いつも身につけていられるような装飾品を送りたくて」
気持ちを切り替えるように言いながら、ショルダーバッグから財布を取り出した。
冒険者として活動するようになってからの報酬は、すべてこの財布に入れて別にしてある。
元々持っていたお金でなく、自分で働いて手にいれたお金で、ルーファスさんに何かプレゼントしたかった。
それもあって、ちょっと無理をしてでも頑張ってクエストをこなしていた。
「アクアマリンの石のついたものがいいかと思ったんですけど、このお金で買える範囲で、よさそうなものがあるでしょうか?」
何とか金貨50枚くらいは貯まっているけれど、装飾品を買うには足りないかもしれない。
リゼルさんがお金を出すためのトレイのようなものを用意してくれたので、その上に財布の中身を全部出した。
「アクアマリンというと、ルーファス様の瞳の色にあわせるのでしょうか? それよりも、ルーファス様はサファイアの方が喜ばれると思いますが。ユキ様の瞳の色と同じですから」
ルーファスさんの瞳の色と同じ石をと思っていたのは、すぐにわかってしまったようで、何だかそれが気恥ずかしくなる。
ルーファスさんのことが大好きなのが丸わかりだと思う。
「でも、私の瞳の色と同じなんて、押し付けがましいというか……。それに、サファイアって高いでしょう? 少しでもいい物を用意したくて、頑張ってクエストをこなしたんですけど、4回しか行けなかったのと、FとかEランクのクエストだったから、あまり貯められなくて」
装飾品の相場がわからなかったので、少しでもたくさん貯めておきたかったけれど、毎日クエストに行くというわけにもいかなかった。
私の言葉を聞いて、エリアスさんもリゼルさんも物凄く驚いている。
「ユキ様は、ギルドに登録したばかりと伺っておりましたが。4回のクエストで、よくここまで貯められましたね。ユキ様の頑張りに、私も是非応えたいと思います。……リゼル、アクアマリンを使った装飾品と、サファイアのもので、ルーファス様に似合いそうなものを頼むよ。この鍵の棚の物を持ってきてほしい」
エリアスさんが鍵を渡しながら指示を出すと、リゼルさんはすぐに部屋を出た。
私が出したお金を積んで数えながら、エリアスさんが小さく息をつく。
「本当によくここまで貯めましたね。ルーファス様を想うユキ様の気持ちが、目に見えるようです」
しみじみと言われると恥ずかしくて、頬が火照ってくる。
自分の気持ちを自覚したばかりだから、言葉にされると尚更恥ずかしい。
「ルーファスさんは、恩人ですから。私の、大切な人です」
詳しい事情は話せないけれど、それだけでも何か伝わるものはあったようで、エリアスさんが優しく微笑んだ。
「ルーファス様に喜んでいただけるようなものを、一緒に選びましょう。ユキ様の瞳の色と同じ宝石を、ユキ様は押し付けがましいとおっしゃいましたが、大丈夫ですよ。ルーファス様は絶対に喜びます。先ほど、ルーファス様には止められましたが、正式な場に揃いの衣装で出席するのが許されるのは、恋人や婚約者だけです。ルーファス様はどうやら、ユキ様がそのことを知ることで、揃いの衣装にするのをやめてしまうことを危惧していたようですから、周囲にそのように見られてもいいとお思いなのでしょう」
お揃いにすることに、そんな意味があるとは思わなかった。
元の姿ならともかく、今の子供の私がそういった相手だと思われることは、ルーファスさんの評判に傷を付けることになりかねないのに、ルーファスさんはそれを望んでくれるの?
ルーファスさんの気持ちが知りたいけど、知るのは怖い。
思考の海に沈みそうになる前に、リゼルさんが戻ってきて、木箱に入った装飾品を並べてくれた。
一つの箱にはアクアマリンが、もう一つの箱にはサファイアが入っている。
やはりこの世界でもサファイアの方が高いようで、アクアマリンと比べると石が小さい。
「ユキ様のご予算に見合ったものをご用意しました。私のお勧めは、このサファイアの指輪です。破損防止の付加がついておりますので、剣をお使いになるルーファス様が身に着けていても、壊れる心配はありません」
エリアスさんがお勧めしてくれた指輪は、銀色の指輪に楕円形のサファイアのついた、割とシンプルなものだった。
幅の広い指輪なので、シンプルだけど存在感もあって、とても目を引く。
でも、素敵だとは思うけど、指輪をプレゼントするって、特別な意味があったりはしないんだろうか?
ローランドさんとセシリアさんは、結婚指輪のようなものをしていなかったけれど、指輪に意味はないのかな?
「指輪を贈る事に、特別な意味があったりしないんですか?」
念のために聞いてみると、エリアスさんは興味深げに私を見た。
「ユキ様の故郷では、指輪には何か意味があるんですか? こちらでは、送る宝石の色は重視されますが、指輪だからといって、何か意味があるということはありません」
そうか、サファイアの段階で、既に私の知る指輪と似たような意味があるのか。
それだったらもう、開き直った方がいいのかな?
本当にルーファスさんが喜んでくれるのか、不安もあるけれど、私からルーファスさんにプレゼントをする機会はそんなにないかもしれないから、覚悟を決めよう。
「私の故郷では、婚約すると、ダイヤか誕生石の指輪を男性から女性に贈る事が多いです。それと、結婚した後は、夫婦でおそろいの指輪を左手の薬指につけます。結婚していますという証です」
給料の3か月分とか、そういう話はなしでいいだろう。
私の説明を聞きながら、エリアスさんが目を輝かせた。
「それはいいですね。王都でも流行らせたいものです。この国では、貴族は装飾品を頻繁に作るのが普通ですから、結婚の時に譲られるのは、家に代々伝わる装飾品などが多いのです。代々の当主夫人だけが身につけられるネックレスや、当主の証の指輪というのはよく聞きます」
なるほどと、エリアスさんの話を聞いて納得してしまった。
代々伝わる古い装飾品の方が、貴族らしい感じはする。
「それなら貴族階級でない、平民の若い人の間で流行らせたらどうでしょう? 手頃な価格の指輪でも、他の人とは違う求婚をされたいという女性なら喜びそうです。劇団があるみたいだから、もし繋がりがあるのなら、恋愛物の脚本に求婚の時に指輪を贈るシーンを入れてもらえれば、いい宣伝にもなりそうです」
政略結婚の多いらしい貴族よりも、平民の方が余程、プロポーズの時に指輪を贈る習慣というのは根付きやすそうだ。
それなりに裕福な平民が対象になりそうだけど。
エリアスさんは何にそこまで驚いたのか、声にならないといった様子だ。
「――ユキ様の発想は、面白いですね。宣伝に劇団を利用する事など、私ではとても思いつきません。商人として、ユキ様の話を聞いているだけでもわくわくします。すぐには無理かもしれませんが、私がもっと力をつけたその時には、今の話を参考にさせていただいてもよろしいですか?」
私の単なる思い付きを、エリアスさんは面白いと思ってくれたようだ。
別に断るようなこともないので了承しておく。
「それより、装飾品をお選びにならないと、ルーファス様がお戻りになります」
静かに控えていたリゼルさんが、すっかりそれてしまった話の軌道修正をしてくれた。
そういえば時間がなかったと思い、せっかく持ってきたもらったのだからと、一つ一つ吟味するように装飾品を見ていった。
すべての商品の詳細を覚えているのか、エリアスさんは淀みなく説明をしてくれる。
最終的には、アクアマリンのバングルと、最初に勧められたサファイアの指輪と、どちらにしようか悩んだけれど、思い切って指輪を贈ってみることにした。
自分の瞳の色の宝石を、ルーファスさんにつけてもらいたいという誘惑に勝てなかった。
「ルーファス様がお戻りになる前に、急いで包装してまいります」
木箱を抱えて、リゼルさんが急いで部屋を出て行く。
代金は金貨50枚で足りるそうで、残りのお金をお財布に戻した。
本当はもっと高いものなんじゃないかと思うけど、エリアスさんのことだからきっと、聞いても教えてくれないだろうなぁ。
今はエリアスさんの心遣いに甘えて、いつかちゃんとエリアスさんの利になることでお返ししよう。
少しでも商会内でのエリアスさんの立場がよくなるように、買い物はできるだけエリアスさんを通してするとか、客の立場でできることもあるはずだ。
リゼルさんが戻ってきて、包装された指輪の箱を受け取ると、そう時間を置く事もなくルーファスさんが戻ってきた。
ぎりぎりセーフだったらしい。
「ユキ、待たせたな。代わりに用意してあった食材は全部受け取っておいた。支店も回るのなら、そろそろ行かなければ、夕食を作る時間がなくなってしまうだろう?」
戻ってきたルーファスさんに促されて席を立つと、離れていた時間を惜しむように抱き寄せられた。
ルーファスさんも寂しいって思ってくれたのかな?と、表情を伺うように見上げると、すぐに気づいて、優しく頭を撫でてくれる。
「エリアス、公爵家に来る日は夜まで時間を空けてくれ」
言いながらいつものように私を抱き上げて、ルーファスさんが歩き出す。
私の方が歩くのは遅いから、時間を惜しんでいるだけかもしれないけど、抱き上げられたのが嬉しくて、しっかりと抱きついてしまった。
「エリアスさん、リゼルさん、またね」
馬車まで見送りに出てくれた二人に手を振って、馬車に乗り込んだ。
一番の目的が果たせたのでホッとしながらも、いつどうやってプレゼントを渡せばいいのだろうと、頭を悩ますのだった。




