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Détermination

「むつみ……っ!」

「釼持君!早まるな!」

篤士の声と小早川さんの声が同時に重なる。二人とも、視線は拳銃に釘付けだ。

小早川さんは篤士を庇うように立ち上がった。順番通りにいけば、次に殺されるのは篤士だ。こんな切羽詰まった状況で、咄嗟にそのことを思い出せる小早川さんを、僕はいつも恐れていた。僕が一番注視していたのは、篤士よりも小早川さんの方だった。だから、鬼柳の介抱を体良く押し付けて、自由に動けないようにした。小早川さんは裁判官なだけあって、博識である上に、頭の回転も速い。もし彼が篤士と同じだけの情報を得ていたならば、彼は真っ先に僕を告発していただろう。

僕は手の中にある拳銃を弄びながら、自嘲するように言った。

「心配しなくていいよ。僕はもう誰も殺すつもりはないから。もうたくさんなんだ!人を殺すのは、そんな容易なことじゃない。これ以上殺したら、気が狂ってしまいそうだ。

百合子さんの最期の願いは、僕だけは生き残ること。でも、叶えてあげられそうにないな」

「睦美っ、待て!」

制止の声を無視して、残弾を確かめ、僕は拳銃を己のこめかみに当てた。

「大好きだった兄も、惚れた女性も、もうこの世にいない。たとえ残った二人を殺したとしても、いずれ捕まるときがくる。どうせ死罪に決まってる。もう生きている理由なんてないだろ?百合子さんは自分が許せなくて、兄貴の後を追った。僕も百合子さんと同じなんだよ。

……篤士には感謝してるよ。兄貴が流されたとき、助けに行こうとした僕を君は止めた。君が止めてくれなかったら、今ごろ僕も兄貴と同じように溺れていただろうね。今こうして、あいつらに復讐することも叶わなかったよ」

言いながら、引き金に手をかける。ずっと前から決めていたこと。今さら迷ったりなんかしない。

「やめろ……やめろ、睦美!やめてくれ……!」

篤士が悲痛な声で叫んでいる。あまりの動揺に、どうすることもできないのだろう。

僕は震える声を隠せずに言う。

「こんなとこに閉じ込めてごめん。もう出口は開くようにしておいたから、早くここから出て行ってくれよ。二人とも、ここで起こったことも僕のことも全部忘れてほしいんだ。真っ直ぐ前だけ向いて、生きていってほしい。

篤士、君と友達になれてよかった。君は必ず僕のことを告発してくれるって信じてたよ。その証拠にさあ、君の分の凶器は用意してなかったんだ。犯人だとバレたら殺せないもんな。まあ……熊の銅像なんて、用意するのも大変だけど。

君は真っ当な人生を楽しんでくれよ。これが、僕の最期の願いだ」

溢れそうになる涙をぐっと堪えて、僕は無理矢理笑みを浮かべた。

「……ごめん」

僕が引き金にかけた指に力を入れたのと、篤士が小早川さんを突き飛ばして僕に駆け寄ろうとしたのは、同時だった。


耳を劈くような銃声が、轟いた。

この物語は、リドルストーリーとなっております。

篤士は救えたのか、救えなかったのか。読者の想像に委ねる形になります。

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