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第9話 体育祭と僕

二学期も半ば。

中間試験と言う関門を突破した僕らに、祭りの季節がやって来た。


「よっしゃ!絶対勝つぞ!」

「「「おう!」」」


秋晴れの空の下、気合いの入った掛け声が響く。

今日は体育祭。

紅白に別れ、互いに競いあう。


「良いか!注目すべきは何と言っても真羅だ。あいつと当たる種目はしょうがない。他で挽回するんだ!」


カッコいいのか情けないのか分からない、白組組長の先輩の激励が僕らに飛ぶ。






「サンちゃん!同じ組で良かった」

「同じ偶数組だからね」

「それでも、サンちゃんと争いたくなかったもん」


今日も優菜の笑顔は輝いている。


「おっしゃ!天使は我らに微笑んでるぜ!」

「天使に勝利を!」


それを見た白組の意気は増し増しだ。


「何の!こちらはあの真羅を擁する!」

「撫子の応援がついて、その力は通常の3倍だ!」


紅組も負けじと蔵人や千愛の下、団結する。


「何を!」

「女王様!言ってやって下さい!」


リヴァンネ先輩は白組(こっち)だったのか。

先頭に通された先輩は両軍を見て、


「両軍共に全力を尽くし、青春するがいい!」


両方を応援する。


『はいはーい。もういいかな?最初の種目を始めるよ!』


放送部の実況者が声を挟むまで、紅白代表の睨み合いは続いた。






「出たぞ!真羅だ!」

「なんとか食いつけ!白組!」

「真羅だけでは無いと教えてやれ!紅組!」


蔵人が出場したのは、対抗リレー。

紅の第2グループでアンカーの一つ前。


「なんとか前半で引き離すんだ!」


組長先輩が騒がしい。


「位置について。用意……、」


結果?

蔵人と陸上部部長のコンボは反則だと思う。






「僕の番か」


出場するのは、借り物競争。

水泳で鍛えた持久力で、走り回るだけならそこそこいける。

問題は、くじ運。


「佐鳴には勝つ!」

「同意」

「同じく」

「俺もだ」

「……何で白の人まで?」

「そりゃ、有部を独占しているからですよ。先輩」


紅は勿論、白の一年代表と三年代表からも睨まれる。


「ほっほっほ。人気じゃのう。ほれ、優菜ちゃんが見ておるぞ」


……負けられない。


「位置について。用意……、」


響くピストルの音。

僕らは一斉に走る。

くじの並べられたテーブルについた時点で、僕は2位。

余程の物を引いたのだろう。

先に着いていた紅組三年代表は戸惑っている。


(僕のは……)

「ほっほう。これはこれは」


紙に書いてあったのは「一番親しい人」。


「優菜ちゃんじゃな」


分かっている。

友人や恩師とも取れる言葉だけど、これで異性を選ぶと言う事はそう言う事だ。


「ほれ。急がねば遅れてしまうぞ」


僕は意を決して、白組一年の所へ走る。


「優菜。来てくれ」


返事を待たず、拐っていく。

黄色い歓声が耳をうつ。


『ゴール!1着は白組二年の佐鳴!借り物は一年の有部さんですが、どんなお題だったのでしょう?』


優菜と二人、一位の旗の下に座る。


「サンちゃん。お題、何だったの?」

「一年の異性、だったよ。僕には優菜がいたけど、他の人には大変だよね」


恥ずかしくて、少しごまかした。

太郎さんとキューピッドさんが、後ろから僕を睨んでくる。






『これにて閉幕。優勝は紅組』


善戦むなしくも、白組は敗退した。


「悔しいぞ!全く!」


組長をしていた先輩は、紅組の組長さんと賭けをしていたらしい。

内容は知らない。


体育祭が終われば、次は文化祭だ。

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