第11話 文化祭二日目と僕
「ほう。上手くいったのう」
(本当に太郎さんは何もしていないんだよね?)
動物達のほぼ全てが、昨日のうちに引き取られていった。
あまりの出来に、神の介入を疑っても仕方ないと思う。
「人の願いも無しに何か出来るのは、ごく僅かな神だけじゃ。儂のようなマイナーな神にそんな力は無いわい」
(そっか)
「ただの。神魔はそこにおるだけで、人の行いに影響を与えるからの。全くの無関係とは言えぬな」
通りで。
最近、あらゆる事が上手くいきすぎているなと思ってた。
「ちゃんと聞いておるのか?人の「行い」にじゃ。お主が始めたからこそ、世が上手く回っておるのじゃ。もっと胸を張って、堂々とせんか」
もしかしたら、僕はもう少し自信を持って良いのかもしれない。
太郎さんの話を聞いて、そう思った。
とにかく、信用出来そうな人達の元に動物達は貰われていき、残りの皆も先生が知人に当てがあると言う。
僕の肩の荷は一気に軽くなった。
二日目も人と動物の橋渡しのつもりだったけど、クラスの手伝いをしよう。
僕のクラスはクイズコーナーをしている。
「あ!手は足りてるから遊んで来たら?」
「準備、頑張ってくれたからね」
「教室内で佐鳴の手が入って無い所無いもんな」
そしたら、こんな具合に追い出された。
「蔵人達はデートだよな。お礼のメールだけ送っておくか。優菜にも」
三人は一日目を丸々拘束しちゃうから、結果どうなろうと二日目は手伝いを断っておいた。
クラスや部の手伝いがあるだろうから。
「適当に廻るか」
当てもなく、僕は歩き出す。
二年一組。
蔵人と千愛のクラスにやってきた。
「コスプレ喫茶か」
定番で攻めた様子。
「いらっしゃいませ!」
「二組の佐鳴くんだ!」
「あいつらならいないぞ?」
普通に客だと伝える。
席に通され、料理が運ばれてくる。
千愛が監修しただけあって、美味しかった。
「見つけた!さあ、佐鳴。こっちにいらっしゃい!」
「突然何ですか?リヴァンネ先輩!」
連れ込まれたのは、占いコーナー。
先輩のクラスの出し物らしい。
空いている席に座らされ、その向かいに先輩が座る。
「あなたは人と人をつなぐ力があるわ。その才は大いなる夢を持つ者の元で開花するでしょう」
要は、協力要請だよね。
いつもの。
「また、あなたの探し物はグラウンドの端、陸上部の出店にあるわ。占いが終わったら、すぐ向かう事を勧めるわ」
優菜はそこか。
しかし、その情報どこ……いや、部下達がいたか。
新聞部員もいるだろうし。
ちなみに、占い料はしっかりとられた。
「あ!サンちゃん!」
「や!クラスから追い出されてきた」
売っているのは、クレープだ。
「生物係じゃないか」
「何の用だ!」
「うちの天使を連れ去るつもりじゃないだろうな!」
陸上部も体育会系。
その男子部員ともなると、迫力がある。
「男子、何やってんの!」
「ほら優菜。店はいいから、一緒に行ってきな」
「はい。これうちのクレープ。サービスだから」
その男子を押し退けて、女子部員達が優菜とクレープを押し付けて送り出す。
「ありがとうございます!行こ、サンちゃん」
そして、優菜に手を引かれるまま文化祭をまわる。
これって、紛れもなくデートってやつだよね?
「それ以外の何がある!」
だよね。
太郎さんの言葉に、キューピッドさんも頷いているし。
「結構、楽しいな」
自然と口から出ていた。
「うん!」
変わらず眩しい優菜の笑顔から、目をそむける僕はいなかった。
大仕事を成し遂げ、太陽は一皮剥けました。
次回、やっと……。




