第10話 文化祭一日目と俺
親友の蔵人くん視点でお送りします。
「動物ふれあい広場はこちらだよ!」
二日間に及ぶ、我が校の文化祭。
俺は親友を手伝って、客の呼び込みをしている。
その親友は広場内で、案内や説明の最中だ。
「よ!真羅。面白い格好だな」
「笑いたければ笑え!」
そしたらクラスメイトの奴ら、遠慮なく大笑いしやがった。
そんな俺の今の格好、それはウサギの着ぐるみだ。
その胴体部だけを着てウサミミカチューシャだから、知ってる奴らからは物笑いのタネになってる。
「蔵人。呼び込み、交代するよ」
「おう。ありがと」
広場から出てきたのは、俺の愛する千愛。
「真嶋先輩、カッコいい!」
「オウムですか?」
「ええ」
千愛はオウムのとさかを頭に、両腕には翼、そして尾羽の付いた服。
着ぐるみな俺と違い、カッコよくまとまっている。
(俺の千愛はさすがだな)
後輩の女生徒に囲まれている千愛を少し眺め、俺は広場に入る。
佐鳴太陽が主催するこの出し物は、動物とのふれあいと里親とのマッチングを兼ねた物らしい。
俺は企画に参加していないから、太陽からの伝聞だ。
「賑わっているな」
「こんにちは、忍谷先輩。竜崎先輩も」
元プレイボーイ、現女王親衛隊長な忍谷刃先輩とは、千愛にちょっかいをかけてきた時に知り合い、今は補習の常連として交流が続いている。
先代生徒会長の竜崎翔先輩とは、生徒会の手伝いをした時に知り合い、以後会長職を継がないかと言われていた。
「二人きりとは珍しいですね。聖先輩と羽路先輩、リヴァンネ先輩はどうしました?」
「ああ。志郎と理紗はデート。陛下は幹部候補の所だ」
「なるほど。それで」
「そ。こいつもとうとうフラレたって訳だ」
「フラレてない!俺が退いただけだ」
「はいはい」
先輩達は軽く挨拶をし、店巡りに戻っていった。
「でね。こうすると猫は喜ぶんだ」
「へー」
「わー。気持ちよさそう」
太陽は猫のコーナーでチビッコ相手に世話の仕方をレクチャー中。
動物に好かれる為、そして好きになってもらう為、説明して、触って、触らせている。
太陽の亀ぐるみは子供受けするようだ。
「猫飼いたい?」
「「「飼いたい!」」」
「ちゃんと世話する?」
「「「する!」」」
「よし!亀のお兄さんとの約束だ。大切にするんだよ」
「「「はーい」」」
あの人徳は太陽の才能だと俺は思う。
側では鯉を着た獅童先生が、子供の親御さんに馴染みの獣医を紹介している。
全く隙のない布陣だ。
「サンちゃん!小鳥のコーナーに人が集まってる!」
「分かった!じゃあね、みんな」
優菜が太陽を呼びにきた。
猫耳と尻尾と言った格好で、元気な優菜に似合っている。
総合的には千愛のが上だが。
太陽は子供達にゲージ入りの猫を手渡し終え、次の客の所に向かう。
これを繰り返し、動物の引き取り手を自ら見極めるのだとか。
「お困りですか、お客様?あちらが亀、こちらが猫。そして、あちらがトカゲでございます。会いたい動物はございますか?」
里親募集を大々的に掲げている以上、関心集めは俺達の急務。
親友の為、ウサギ姿で俺も客案内。
男性のコスは雑に。
女性のコスは本格的に。
コスの依頼は、蔵人を通して真羅グループに。




