『玖の噺:小さな友達』
6年生になると、卒業式の練習や、中学への準備であわただしく過ぎていった。
そんな中、あの子と出合った。学校の校門を出るとすぐに横断歩道があった。
友達と、ふざけあって帰っていたが、突然横断歩道の前でこけてしまった。
すると、すごい勢いでトラックがクラクションを鳴らしながら顔の真横すれすれを通り過ぎていった。
「あぶな。大丈夫か?」
友達が手を差し伸べてくれ立った。
「こけてなかったら危なかったな。死んでたかもよ。」
「そうやな。」
辺りを見回すと校門の影に小さな動物が隠れた。
「ねことか居た?」
「いんや。いなかったぞ。」
「そう。」
オレはタギリちゃんが助けてくれたのかと思っていた。
そして、友達と帰りだした。
すると物陰にかくれながら、ちいさな動物がついてくる。
「なんかついてきてないか?」
友達は後ろを振り向き辺りを見渡すと、
「なんも、おらんよ。」
と言った。
又、歩き出すと、たしかに付いて来てる。
一時歩き、友達と別れ一人になると、後ろを振り向き物陰へと近づいていく。
すると、そこには、ねこみたいな動物がいた。
「ん?見たことあるぞ。お前「すねこすり」だな。Kには見えないはずだ。」
すると、すねこすりは、じゃれるように、オレの足へとまとわりついてくる。
そのとたん、オレはこけていた。
「さっきお前が助けてくれたのか。」
すねこすりは、オレのまわりをぐるぐると廻っている。
立ち上がろうとすると、またこかされた。
「おい。かんべんしろよ。背中でも肩でもいいから乗っかってろ。」
妖怪辞典で、すねこすりは、ただこけさせるだけで害はないとかかれていたので、
そのまま、連れて帰る事にした。
すねこすりを肩に乗せたままたちあがると、少しだけ肩が重い感じがした。
「いいな。とうちゃんとかあちゃん、ばあちゃんは絶対にこかすなよ。」
と念をおした。
すると、すねこすりは「うんうん。」と頷いた。
家に帰り、2階に上がると肩からおり、しばらくうろうろすると、定位置を決め丸くなると眠りだした。
「ふう。変なヤツに懐かれたな。一緒にいたいのか?」
「まぁ。あいつの方が長生きだから、オレの方がペットか?」
一人でクスクスと笑った。
それからは、常にオレと居るようになった。
食事はどうしてるのか?、食べなくてもいいのか?、判らないが、まぁ相手をするだけならいいだろうと思い。
寝る時も同じ布団で寝ている。