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『漆の噺:こっくりさん』

 小学校5年の時、学校でこっくりさんが大流行した。

女子の方が多かったと思うが、男子も女子もやっていた。

オレは交霊などしなくても見えてしまってたので、やりたくも無かった。


そんな中、遠足で市内の遊園地ラクテンチへと行く事となり皆大はしゃぎをしていたが

特に友達のK君は、異常にはしゃいでいた。


というのも、ラクテンチは全国でもめずらいい、遊園地の敷地中に、稲荷神社があるからだ。


翌日、バスでラクテンチに着くと、ケーブルカーで山頂目指して登って行く。


「乙原稲荷に行こうな。そこでこっくりさんするぞ」


K君が誘ってきた。


乗り気ではなかったけど、ついていくだけで、こっくりさんはしない。という方向で話した。


「怖がりだな~。」


そりゃそうだ。見えなくてもいいものが見え、襲ってくる事もあるんだから。


オレ達は、着くやいなや速攻で乙原稲荷へと向かった。

着くと、入り口には朱塗りの小さな鳥居があり、それをくぐるとすぐ細い階段になっている。

その階段にも無数の朱塗りの鳥居が立てられており上がって行くと、朱塗りの社が姿を現す。

左右には、おきつね様の像があり、厳粛な雰囲気が漂ってくる。


K君は早速、社の前でこっくりさんをやろうと言い出した。

残りの2人も加わり早速始めた。

オレはというと少し離れた所から見ていた。


しばらくすると、きつねの像の裏から、ひょっこりと切れ長の目をした綺麗な女性が現れた。

オレはギョとして目をそらした。


するとその女性はK君達に近づき、紙の上にある10円玉を動かし始めた。


「おい。霊が来たぞ。」


オレは頭がクラクラする感覚を覚えた。


(まじか!)心の中でつぶやいた。


「おい。今度のテスト100点取れるって」

「そうか。よかったな。」


K君の方に視線をやると、その女性と目が合ってしまった。

オレは咄嗟に目をそらす。

するとその女性は、オレに近づいてくると、


「ぼうや。私が見えるのかい?」


と聞いてきた。

しかし、オレは顔を背けたまま動かなかった。


「ん~。」


オレの顔を覗き込んでくる。

すると、女性の顔の横に尻尾が現れた。


「わっ。」


と小さく驚いてしまった。


「見えてるんだね。あれをどうにかおし。」

「はい。ごめんなさい。おきつね様ですよね。」

「そうさ。私がここを守っているモノさ。」

「ごめんなさい。すぐやめさせますから。」


平謝りするとK君達に向かって、


「もう止めないと、お昼になるよ。」

「わかった。」


K君から返事がきて、3人はやめた。


「いいかい。ここで、二度とこんなことするんじゃないよ。」

「はい。すみません。」


「おい。なにさっきから独り言いってるんだ?」

「ああぁ。なんでもない。」


(お前らのせいだろうが)


4人で、来た参道を下っていき昼飯にした。


オレはこのパターンになるのを予感していたので、弁当に稲荷寿司を入れてもらっていた。

昼食が終わり、今度は遊園地で遊ぼうという事になったが、ちょっとトイレと皆を先に生かせ一人抜け出した。

乙原稲荷に戻ると、稲荷寿司を供え、手を合わせ先程の謝罪をした。

謝罪し終わって頭を上げると、目の前で先程のおきつね様が、うれしそうに稲荷寿司を食べている。


「これおいしいな。もっとないのか?」

「一個しかないです。」

「そうか、じゃあ明日持ってきてくれ。」

「今日は遠足で来たから、明日は来れないです。」

「じゃあ。さっき居た3人の一人に憑いてやる。」


オレはギョッとし、それだけは止めてくれと頼んだが聞き入れてくれなかった。

オレは大急ぎで参道を下ると、3人を探した。


3人を見つけると、何とも無いか聞いてみた。すると何にも無いとの返事。

少しホッとした。


何事も無く遠足も終わり、バスに乗り込むと学校へと帰りついた。

解散して一安心したのだが、K君が突然暴れだした。


「おい。K。」


目が吊り上り、鬼のような形相で暴れていた。


オレはどうにかしようと、K君を羽交い絞めにすると、社まで何とか連れて行った。


「タギリちゃん。助けて、KがKが。」


すると、K君が突然ガクンとうなだれ、気絶した。

それからすぐに、遠くの方で「ケーン」という狐の叫び声が聞こえた。


なんにしろ、K君は助かった。

K君が起きると、事情を説明し、こっくりさんは2度とやらないと誓わせ、

社に向かって2人で感謝の言葉をのべ、帰った。


その夜、オレが寝てると、夢の中におきつね様が現れた。


「度が過ぎたみたいね。ごめんなさい。」


と謝って来た。


「ちょっと。からかうつもりが、あなたあの方とお知り合いなの?」


誰の事を言っているのか判ったが、「あの方って?」と聞き返した。


「まぁいいわ。でも、あなたの為にあの方が出てくるなんて、あなた何者?」

「普通の小学校5年生です。」

「あっそう。」

「又会うきかいがあったら、稲荷寿司よろしくね。」


と言うと消えていった。


朝目が覚め、1階に降りて行くと突然電話が鳴った。


「はい。もしもし。」

「Kだけど。」

「どうした?」

「昨日夢でおきつね様が出てきたんだけど。」

「そうなん?」

「何か。白い狼に踏みつけられて、お前に迷惑かけるなって怒られてたぞ。ついでに俺も怒られたけど。」

「そうなんや。」

「何がそうなんや。なんや?」

「まるく収まったっちゃ。」


オレは腹をかかえて笑った。


多分タジリちゃんの方がおきつね様より位が上なんだろうと思った。

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