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『陸の噺:川辺の女』

 毎年4月1日より3日間、別府温泉祭りが開かれる。


子供の時は、毎年楽しみにしており、型抜きや射的の遊戯、その当時ではこの祭りの時にしか食べれなかった

ソフトクリームメロン味、りんご飴。


4年生になっていたその年の温泉祭りで、100円玉5枚を握りしめ松原公園の会場へと行った。


ほぼ100円で1回遊べる出店ばかりだったので、射的をして型抜き2回(型抜きは1回50円)

ソフトクリームを食べ、輪投げをした。


残りの100円を握りしめブラブラしていたら、おもちゃの髪飾りが目に飛び込んできた。

安っぽい、いかにもおままごとという感じの髪飾りで桜の花があしらわれていた。


「うん。似合うかも。」


意を決すると


「おばちゃん。これ頂戴。」


髪飾りをさしだした。


「おうおう。妹さんへのおみやげかい?」


とちゃかされた。

オレは顔が真っ赤になっていたんだと思う。お金を渡すと、髪飾りをおばちゃんから取り上げ手に握り締め

家に走って帰った。


次の日、髪飾りをかばんに忍ばせ学校へと行くと、社を開け、髪飾りを奉納した。

学校が終わり社の扉を閉めようとすると髪飾りが無くなっているのに気づいた。

辺りをくまなく探したが見つからなかった。

取られたんだろうと思い、家に帰った。


家に帰ると、軟式の野球クラブに入ったので、練習着に着替え学校のグラウンドへと行った。

グラウンドでの練習をしていて、柵超えするホームランなどが出ると、すぐ隣を流れている朝見川へとボールが入る。

この頃のオレはボール拾いをしていたので、すぐさま、裏門を開けると、朝見川へと降りていった。


川べりでボールを捜していると、


「ぼく。これ?」


と高校生ぐらいの綺麗な女の人が川から上がってきてボールを差し出している。


ずぶ濡れだ。


「あ~それ。お姉ちゃんありがとう。」


ボールを取ろうとすると、逆に両腕を掴まれた。


「なぁなに?」

「ぼうや。お姉ちゃん綺麗?」

「はっはい。」

「じゃあ。精気をちょうだい。」


と口を大きく開けると同時に、遠吠えが聞こえた。


「ワォ~~~~~ン」


学校の柵を飛び越え、5mはあろう巨大な白い狼がこちらへ向かってくると、

その女性をオレからはがし銜えると5mぐらい先に着地した。

口には、胴体を噛まれたままの女性がだらんとしなっている。

白い狼は女性を噛み砕くと、黒い霧になり四散した。


オレは怖くなりガタガタと震えていたが、その巨大な狼がニコリと笑った感じがした。

そのままオレの横を通り過ぎすごい勢いで、学校へと去っていった。


ひとつ判った事は、白い狼が横を通り過ぎる時、耳の所にオレが昨日祭りで買った、髪飾りが付いていたという事だ。


「タギリちゃん?」


練習が終わり、社に寄ってみると、社の扉は開いていた。


手を合わせると、オレは


「タギリちゃん。ありがとう。」


とお礼を言い、扉を閉めた。


ちなみに帰って調べたら、[川姫]という妖怪だったらしい。


メガネは?って?この頃、メガネをかけてても見えるようになってしまってた。

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