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『参の噺:入院中の女の子』

 小学校2年の時、目に見えないモノから障られたのかもしれない。厄が一気に来た感じだ。

2年生に上がった9月、学校内で風疹が流行った。もれなくオレもかかったんだが、人と少し違っていた。


風疹の症状だが、首のリンパ線が腫れあがり、早々に日赤病院に入院する事となった。

熱は39度近くあるのだが、全然辛くないし自分としては普段と変わらない体調であった。


血液検査等しても、病名がわからなく、白血病の疑いも出てきてたらしい。


1週間入院したのだが、その間母親や親戚関係が、毎日おもちゃを持って会いに来てくれた。

昼間は同じ小児病棟での友達が出来た。ノブオだ。

しかし、夜になると様変わりする。

小学2年だったが、付き添いができず(うつる可能性があった為だと思う。)

二人部屋の病室に布団を頭からかぶり一人で寝ていた。小学校低学年からは、結構な怖がりだった。


「コンコン」


ビクッ


オレはそっと布団の隙間から部屋のドアの方を覗く。


看護婦さんが入ってきて安心したが、その後ろからパジャマ姿の幼稚園生ぐらいの女の子も入ってきた。

オレは看護婦さんの子供かな?と子供ながらに思った。


一通り、検診が終わると看護婦さんは部屋から出て行った。


しかし、ちいさな女の子はまだ部屋の中に居る。


「どうしたの?看護婦さんお母さんじゃないの?」

「うん。ちがうよ。」


そうなんだと思いながら、


「部屋に帰って寝ないと怒られちゃうよ?」

「うん。部屋に帰れないの。」

「まみのベットで誰か寝てるの。隣の部屋の一番奥の左側なんだけど。」

「そうなんだ。」


誰が何でこの子のベッドで寝てるのか意味が判らなかったが、


隣のベットが空いていたので、


「そこにベッドがあるからここで寝たら?」

「うん。」

「お兄ちゃんは何でここにいるの?」

「僕にも何の病気かわかんないんだけど」


と言うと


「治りたい?」


と聞いてきた。オレは「うん。」とだけ答えた。


「実はマミ、お目目が見えないんだ」

「えっ?見えないの?」

「うん。だからお兄ちゃん一緒に寝て。そうしたら治るかもね。」


少女は微笑む。


「うん。わかった。」


すると、少女が布団に入ってきて、手をオレの目にかざした。

オレは急に睡魔に襲われ、朝まで起きなかった。


朝、目が覚めると、少女の姿はどこにも無かった。

朝の検診を終え、朝食を取りに食堂に向かう時、気になり隣の部屋に入ってみた。

すると、一番奥の左側のベットには、ノブオがいた。


「ノブオ、お前のベッドここなの?」

「あ~そうだよ。」

「マミちゃんは?」

「ん?誰?」


オレは愕然とした。じゃあ昨日の女の子は誰?


その日、体調が全快したとのことで、退院が決まった。

結局病名はわからずじまいだったが、久々家へと帰って、ばあちゃんと一緒に寝た。


気がつかなかったが、次の日学校へと行くと、黒板の字が見えなくなっていた。

メガネ屋に行き視力を測ると、0.1まで視力が落ちており、メガネをかけだした。


あの女の子はなんだったのか、病気を治す代わりに視力を持っていかれた?今でも不思議に思う。

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