第11話 人気者の代償
バズった翌日
目が覚め、枕元のスマホを手に取った瞬間――通知の数に一瞬で眠気が吹き飛んだ。
「……なにこれ、爆発してるじゃん」
画面をスクロールすると、SNSやニュースサイトに「ユナ覚醒」の文字が躍っている。切り抜き動画は数え切れないほどアップされ、いいねは数十万、再生数はあっという間に数百万を突破していた。
胸が高鳴る反面、背筋に冷たいものも走る。これは、もう引き返せない波だ。
ギルドルームに向かうと、机の上に山のような封筒が積み上がっていた。
「……え、何これ?」
「おはよう、ユナちゃん。」カレンがコーヒーを片手に微笑む。「これはね、取材依頼、テレビ出演のオファー。昨日の配信、相当なインパクトだったみたい」
軽く言うが、この量はどう考えても異常だ。
「どうすんの、これ全部……」
そこに賢者が姿を現した。
「――全部、出てくれ」
「は?」
俺の返事も待たず、賢者はメンバー全員を集め、手紙への返事作業を開始させた。気づけば俺もペンを握らされている。
翌日
朝から取材ラッシュ。賢者タワーのロビーは記者やカメラマンで溢れ、まるで戦場だ。飛んでくる質問は容赦がない。
『覚醒は演出ですか?』
『性転換は本当に賢者の趣味なんですか?』
『次はどのダンジョンを攻略予定ですか?』
答えられる範囲で答え、わからないものはやんわりかわす。笑顔を保つのが、こんなにも疲れるとは。
スポンサーからは
「次の配信では、この製品を使ってほしい」
そんな依頼も山のように届いた。賢者は笑顔で「いいじゃないか」と受けるが、その
裏には台本通りの演出やセリフ指定が待っていた。俺はぎこちない笑顔を浮かべるしかない。さらに他ギルドからの「コラボしようぜ」攻勢も止まらず、人気に便乗しようという空気が透けて見える。
夜、スマホを開くと、早くも今日の取材記事が出回っていた。コメント欄は褒め言葉と悪意が入り混じり、怒涛の勢いで流れていく。
【コメント】
・ユナちゃん最高!
・演技くさい
・可愛いのに控えめなの逆に萌える
・賢者また変な遊びしてる
肯定と否定の波が交互に押し寄せ、心を揺らす。メンバーの反応もまちまちだ。ミアは完全にバズったことを楽しみ、カレンは好意的コメントを嬉しそうに読み上げる。レイナは炎上予防のためにコメントや記事を淡々と監視していた。リオは……俺を見るたび、なぜかムスッとした顔をしている。あれは嫉妬なのか?
SNSを眺めていると、不意に目が止まった。そこには、覚醒時の表情を誇張したネタ動画や、「泣き顔かわいい」などと性的に消費するコメントが並んでいた。思わずスマホを閉じ、深呼吸する。けれど、胸の奥に重く沈む感覚は消えなかった。
ギルドルームで一人、机に突っ伏していると、背後から賢者の声がした。
「光があれば影もある。だが、影をも味方にできる者こそが本物だ」
その手から差し出されたのは、一枚の封筒。開くと、中には金色の文字でこう記されていた。
『特別招待:国際ダンジョン大会』
「……また、試されるのか」
視界の端、机の上のスマホ画面には、今まさにトレンド入りしている文字が輝いていた。
#ユナ覚醒
#性転換美少女ギルド
#国際ダンジョン大会
――静かに、次の波が押し寄せてきていた。
最後まで読んでくださりありがとうございます。AIとプロットを作るのが難しくなり、キリがいいので完結にしたいと思います。




