プロローグ
西暦20XX年――突如として、日本各地にダンジョンが出現した。
同時に、人々は“魔力”と呼ばれる新たな力を扱えるようになった。
ダンジョンは日を追うごとに少しずつ増えていき、このままでは手に負えなくなると判断した政府は、自衛隊や志願者を集めて、ダンジョン攻略を開始した。
ダンジョン出現から約3ヶ月――
ついに、初めてひとつのダンジョンの攻略に成功した。最下層で発見されたのは、“ダンジョンコア”と呼ばれる謎の物体。それを破壊することで、ダンジョンそのものを消滅させられると判明した。
それから2年。
ダンジョンは増え続け、国家だけでは対応しきれなくなっていった。そこで新たに生まれたのが「冒険者」という職業だ。
冒険者たちはギルドを組織し、自らダンジョンに潜り、モンスターの素材を売ったり、ダンジョンを攻略することで得られる「攻略達成金」で生計を立てていた。
そんなある日、「ダンジョンを作ることに成功した」という男が現れる。彼は、かつて最初にダンジョン攻略に成功したチームの一員であり、ダンジョンコアの欠片を持ち帰っていたという。
その男は“賢者”と呼ばれるようになり、自らが編み出したダンジョン生成技術を世界に伝え広めていった。
こうして、ダンジョンは“自然発生するもの”と“人為的に作られたもの”に分けられるようになる。前者は「自然ダンジョン」、後者は「人工ダンジョン」と呼ばれた。
自然ダンジョンは不規則かつ危険性が高いため、潜入には免許が必要とされた。一方、人工ダンジョンは安全性が高く、気軽に挑めることから、ダンジョンを舞台にした“配信”が人気を集めるようになる。
次第に、ダンジョンを攻略しながら配信活動を行う“配信ギルド”も登場し、ダンジョン攻略はひとつのエンタメ産業として爆発的に拡大していった。
――そして現在。
俺は、冒険者に憧れて免許を取得し、ついにギルドへの所属を果たした。ただし俺が入ったのは、配信などは一切せず、ひたすら自然ダンジョンの攻略に専念する“硬派な”ギルドだ。
ダンジョンに潜る際、俺の役割は後方支援。だが現実は甘くなかった。支援魔法もうまく扱えず、むしろ足手まといになってしまっている
――それが、今の俺の現実だった。
最後まで読んでくださりありがとうございます。よかったらブックマークよろしくお願いします。