私の敬愛を君に捧ぐ
注意事項1
起承転結はありません。
短編詐欺に思われたら申し訳御座いません。
注意事項2
私の男性恐怖症がこの程度なのは、二割の男子のお陰です。
生涯に渡って、敬意を向け続けなければならない相手です。
本が読みたくなって、自分の本棚を眺めていた。並ぶのは中学時代に読んでいた児童書達。私の休み時間を埋めてくれた、大切な仲間達。
――それ、面白いよね。俺も数冊持ってる。
――え……あぁ……うん。
――〇〇、ファイツ。
ふと、そんな会話を思い出した。
基本的に対人恐怖症である。取り分け男性恐怖症の気が強い。それは小中の八割の男子達が〇〇〇〇の〇〇〇〇ばりの輩だと言えば御理解頂けると思う。
飼育員が大切に育てた兎が亡くなった時に墓を立てた。その墓を蹴っ飛ばした後、飼育員の子達を見てゲラゲラ笑う野郎共である。彼奴らは人間じゃない。
でもそのうちの二割程度は女子に対しても男子と変わらずに普通の会話をする子か、我関せずな子だった。
そのうちの一人が休み時間、一人で本を読む私に話を振ったのを思い出した。
――それ、面白いよね。俺もそのシリーズ持ってる。
一瞬、誰に話し掛けて居るのか分からず、視線を泳がせて周りを見渡した。けれども本を読んでいるのは私だけだった。
何て回答すれば良いのか分からず、取り敢えず当たり障りのない答えを出した。
――え……あぁ……うん。
それから数ヶ月経った後の体育の持久走。足が遅かった私は追い抜いていく皆を眺めながら自分のペースでつらつらと走っていた。まだ一周目なのに、息が荒い。体力なんてない。
そんな時、後から声を掛ける男子がいた。
――〇〇、ファイツ。
それは私に『それ、面白いよね』と声を掛けた男子だった。
だからまぁ『全ての男子は死ねばいい。彼奴らは人じゃない』なんて思想には辛うじてなっていない。その事に関して、私は最敬礼を捧げるに値する相手として、深く深く感謝している。
そんな話を彼にした。彼は終始ニヤニヤと笑っていた。
「で、初恋の相手と」
「殺されたいの? もしくは絶交されたいの? 言っとくけど恋愛感情じゃない。生涯に渡って頭を下げ続ける相手。それを恋愛と一緒にしないで。ガキじゃないんだから」
彼に対する想いは恋愛じゃない。手を繋ぎたいとも、抱き締めたいとも、キスしたいとも思わない。ただ深く頭を垂れたい。後は何も言いたくない。
世の中には愛を恋愛と人塊にして揶揄う輩がいるが、それは私か最も嫌悪する相手である。それは何時だって相手を傷つける。
私の睨みに怯んでか、彼は少し戸惑ったように詫びた。
「悪かったよ……。でも次会った時、どうするんの? 頭下げんの?」
「可能性としては同窓会が高そうだけど、何もしないよ。普通に挨拶するだけ。私がそんな真似したら、『あ、好きな相手だからあんな真似してる』って今の君のように揶揄うから」
それは嫌がらせに過ぎない。私の指針となった人間に、恩を仇で返す真似はしたくない。
「それに、『恋愛感情』を未だに受け止めてくれるか、分からないからね」
彼は恋愛感情を『気持ち悪い』と称して拒絶していた。だからこそ、私が生涯に渡って向けるのは絶対的な敬愛である。
私の小中学生の男子は〇〇〇戦の〇〇直〇ばりのクソでした。
大切にしていた兎の墓を飼育員が建てたんです。
それを蹴っ飛ばして、苦しむ皆をゲラゲラ笑うとかなんなんですかね。
そんなの全然面白くない。
私は飼育員ではありませんでしたが、仲良しのお友達の怒りは今でも覚えてます。
そんなのが八割だったので、男性恐怖症です。
でも二割は我関せずか、男女対等に接してくれる子でした。
他愛のない会話ですが、それが今でも苛烈な思想にさせない錨になってます。
『世の中の男性全て居なくなれ』という思想ですね。
本当に深い敬愛を持っていかなければと思います。
でもそんな子であっても恋愛感情を『気持ち悪い』と定義して、拒絶する年代なんですよ。中学生って。
本当に複雑だと思います。
だからこそ、彼を絶対に苦しめないように、敬愛と恋愛の区別はつけて行きたいです。