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14.

 人目が無ければ、車使わなくてもゲートを開いて買った物を放り込めば済むんだけど、町中はどこも人目があり、防犯カメラが動いている。

 荷物はじっちゃん家に帰ってから、ゆっくりと僕の世界へ送りこもう。


と言うわけで、普通に運転して山へ帰ろう。


普通に、普通に


いゃあ、ついてくるし!


 軽トラックの後を百鬼夜行かとばかりに魑魅魍魎がついてくる。

なんで?


 あっ、あの木の梢、狐のやつだ。

さっき、こちらを睨んだやつか?

 ニタニタ笑いながら眺めている。


 車を止めたら。魑魅魍魎が車を包み込んできた。

 山神様にアドバイスをお願いしたら、呆れた様子で祓えばよいだろうとの返事が帰ってくる。


 人々の妬み、恨みが生霊、残留思念となり凝り固まったものが、形を持ち魑魅魍魎となる。

 妖怪とよく混同されるが、付喪神や自然霊からなる妖怪とは外見以外まったく異なるものだ。


祓う?


 山の神様からは、僕が意識すれば気を放出出来る。僕の気に山神様の気を合わせてやるから、一瞬で負の穢れは祓う事ができると、簡単に言われた。


 なるほど、山神様は仙域にいるので、普通は神気は外に出ない。

 だからか、あの狐は僕の微弱な気を見て、遊べるとふんだんだ!


よし。

 車から降りると、身体にも纏わりついてくる。気持ち悪いわ!

 山神様から力をもらい、手を刀と意識して気をまとわせ袈裟がけで切る、横斬りにはらい、下から突き上げる。手から光の刃がサッと伸び、触れた魑魅魍魎は本当に一瞬で光の中に消えていった。

 最後に、指で鉄砲を作って梢の上の狐野郎を狙い、バンという擬音とともに気を飛ばした。


 魑魅魍魎が一瞬で祓われる様子を見てアタアタしていた狐は、飛ばされた気を避けることができず、もろに受けた。

 衝撃に飛ばされた狐は、梢から真っ逆さまに落ちてくる。

 落ちてきた狐を見ると、変身が解け本体が露わになっていた。人の子供か、例の道士というものか?


 ばっちゃんが見せてくれた技を使おう。ゲートを使いあの狐野郎の襟首を掴み、僕の所に、引き寄せる。

 狐は目を回している。此奴は事態について行けてないようだった。


 さて、どうしてくれよう!

あの新興宗教は規模の小さい名前の売れてないやつだ。数百万の信徒を誇り、政党まで持つような巨大宗教とは違う。

 道士の集団も小規模なものだろう。

では、チョット脅しても大丈夫だ。


 小僧の襟首をつかんで凄んでみた。

「以後、俺に手を出すなよ! 次にちょっかい出したらお前だけでなく、親玉も無事と思うな!」


 小僧道士は蒼くなって首を縦にブンブン降っている。 手を離すと、ジャンピング土下座で謝ってきた。


 十分お灸を据えてから車に乗り込み山へ向かった。


 チョット前には考えられない行動をしてる自分に対し、なぜか笑いがこみ上げてきて車のなかで笑い転げる僕でした。

 後で考えると、霊魂などが見えない一般人がさっきの僕の行動を見ていたら、車を急に停め、降りてきたかと思ったら踊りを踊り、ひとりで凄む・・・危ない人ではあ〜りませんか!


 見てなかったよね? 大丈夫だよね?

危ない人認定されたらどうしよう、、、


 色々あったが、じっちゃん家に帰ってきた。

車を車庫に入れて、荷台の購入品を仙域に転移する。

ほんの雀の涙程度だけど貴重な資源だ。


 まだ、夕方まで時間があるので例の山神様を探すことにした。

 意識の切り替えは最近では瞬時に出来るようになり、現し世、仙域両方同時に認識可能になってきている。

 橘山の山神様の神気を参考に、似たような神気を探す。以前と異なり距離関係なく探る事ができるようになってきている。

 日本全国の地上に降りている神々、国津神? 仙人、道士、力ある自然霊、等々

ものすごい数が探知にかかる。


 これはピンポイントに切り替えだ。

探知範囲を狭めると

これかな?

 地図を思い浮かべると、じっちゃんの山の中に間違いない。


 さっそく山の中に入り、神気のポイントをめざした。

 あの携帯電話基地局の鉄塔がある尾根とはじっちゃん家を挟んで反対側の山だ。


 湧水が湧く山の中腹、湧水の小さな池の淵にある小さな祠。

 祠の上にデカいカエルの姿が・・・胡座を組んで座っている姿はシュールだった。


「山神様ですか? 挨拶が遅れました。 下の家に住む相良泰光といいます。 よろしくお願いします」


 カエルの姿の山神様はギョロリと飛び出た目の玉で僕を見て

「ホウ、また仙人か。 下の家は仙人の住処なのか?」


「山神様ご存じの仙人は私の祖父母でございます」


「おぬしは、よく下の家に遊びに来ていたあの子供だな。 山に遊びに来ては我が眷属と遊んでいた」


 僕の目にはカエルの姿とお爺さん姿が二重写しに見えている。

 橘山の山神様と同じように、本体と人に見せる姿があるようだ。


「眷属?」


 山神様の合図と共に遠くから駆けてくる姿が

あれは

子供の頃、じっちゃん家に遊びにくると何処からともなく走って来ては僕と遊んでいたワンちゃんだ。

「ワンちゃん、山神様の眷属だったんだ」


 子供のこと、初めて呼んだ呼び名がそのまま定着して名前となり、本当の名前は何なのか今だに知らない。てっきり近所の飼い犬だと思っていた。


 今思うと、山中の一軒家、近所なんて何キロも先だ、飼い犬が遊びに来るわけがない。


 昔のように甘えてくるワンちゃん。

撫でながら山神様と話す。


「泰光よ、そなたの祖父母にも頼んだ事だが、我が領域には気の滞るケガレ地が幾つがある。 気が流れるように地形を整えて欲しい。 イヤハエ地に出来れば嬉しいが。 気の改善だけでもありがたい」

「削り整えるとき発生する土砂や倒した木々はそなたの自由にして良いぞ」


 これはありがたい。

何処をどうしたいか十分打ち合わせてから作業をはじめよう。



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