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12.

「オープン」

僕の声と同時に山神様の前にゲートが開く。

例の小さな出入口だ。


「僕の世界へようこそ」


「感謝する」

山神さまの合図と共に、玄関先で待っていた眷属十二体がゾロゾロと家に入ってきた。

野ウサギ二体、野ネズミ四体、イタチ一体、アナグマ二体、テン二体、 モモンガ一体。

皆さん自由な姿を取っておられる、凄いなぁ〜。


 眷属の方々が次々にゲートを通過して、僕の世界へ入ってゆく。

 一体入るごとに世界がぐんぐん拡がってゆく!

なにコレ凄い!


 そして橘山の山神様。

一挙に世界が拡がり、一人前と言われる三里四方を簡単に超える。


 なんだこれ。山神様ってこんなに神力もってたんだ。神様の力って、やっぱり人間とは桁が違う!


 僕も山神様に続けて大きく広がったゲートに入ってみた。

ま、何にもない虚無の空間が広がっているだけなんだけど。

 真ん中の空間にフワフワ浮かんで山神様達が漂っている。


 とりあえず、山神様達のために平らな地面を創ってみる。

 そして、山神様に僕の世界の管理権の一部を委譲して、自分達が住みやすい環境を整えられるように自由にしてくださいと伝えた。


明日は、山神様の依代なんかを回収にいこう。


 いや待て、今から行けるか。

山神様の力がある。まして元々山神様の領域だった地だ、遭難なんてめにあうわけがない。

 夜の方が、人目も無いので好都合か。


と、言うわけでやって来ました、もと橘山。


 山神様が場所を確定出来るので、ゲートを橘山だった場所へセット。以外に簡単に来れました。


 うわぁ~、周り一面、真っ黒いソーラーパネルが立ち並んでいる。

土砂はあちらの谷間に積み上げてあるようだ。


 では、どうせ廃材の土砂。ありがたくいただきましょう!

山神様の許可はもらっている。

 役場の査察が入ると、不法投棄として下手したら刑事事件や損害賠償なんかの問題になっちゃうよ、あんた達会社も助かるだろう!

 月が出ていないので真っ黒だ。

でも僕は、超感覚のおかげで周りが見えているので、はるか先まで確認できる。


ひどいなぁ。

思わず声が漏れる。

 元々きれいな沢が流れていた谷間が土砂で埋まっている。

 此処はメガソーラーの敷地の外れ、下手すれば大雨の時下の集落まで土石流が流れくだりかねない。


 土砂の山に沿うようにゲートを開き舐めるように土砂を吸い取っていく。

ひとなでで、かっての谷間が姿を表した。

 取り残しがないように、もう一度ゲートを動かして作業を終えた。


 こんな所は長くいるところではない。すぐにゲートに飛び込み自分の世界へ戻る。


 仙域の中では、空間に浮かぶ小さな山が造られつつあった。山神様がかっての自分の山を作り直しているところだ。

 削られて消滅したかっての山(峠の部分)が姿を表し。その頂上には山神様の依代たる小さな祠が既にできている。


 ゲートを再度メガソーラーのそばに開くと、山神様の指示だろう。次から次に動物が飛び込んでくる。彼らは、木々や草花の枝、実などを携えている、この中で彼らの生態系を再構築するため必要な物を残さず持ってこようとしているようだ。


 一緒に多くの妖精達、木霊、おまけの妖怪達も逃げ込んでくる。


 橘山の山神様に言わせれば、メガソーラーは猛毒でふたをされる様なものらしい。

山が死んでしまう、と激しい怒りの声を上げていた。


 ともかく、これからよろしく。


 見る間に500メートル四方の浮島が、仙域の中心部に形づくられていく。

 ただし、僕が作っているわけではない。

山神様が、僕の力を借りる形で僕の世界を動かしているのだ。


 あっという間に一人前の仙域の持ち主にはなったけれど、仙術についてはまだ素人とほとんど変わらないし、当然うまく使えない。

 本当に一人ではどうして良いかわからない。


この落差、どうしよう。


 山神様は楽しげに岩、土塊を動かしては元の橘山を再現してゆく。

 山神様が上を見上げると同時に、星空が広がった。

 一方通行、透過条件(可視光線)のゲートを外の世界と繋ぎ、外の光を世界に導き入れたのだ。


 山神様がこの世界を制御すれば、僕がしたこととして手順、制御の記憶が僕のものとなる。素人の僕としては、これは本当に助かる事だ。

ありがたや、ありがたや。


 山神様の眷属や動物達がどんぐりや種、持ってきた枝を土に植えている。また、木の切り株があちこちに姿を表した。切り株一つ一つに木霊が付いているのが見えた。


 そういえば、夕ご飯を食べようとしていた所だった。山神様に仙域を預けて、家に戻ることにしよう。


 あ、ところで、動物達についていた寄生虫やダニなどは、ゲートを通過する時に弾き出しているので仙域には侵入されていない。

 いゃあ、便利だなぁ。唯の門じゃなく濾過器にもなるんだ。

 この設定も山神様がおこなったんだけど・・・再び、ありがたや、ありがたや。


 家に戻り、カレーをよそってかっこんだ。

やっぱり、自分で作るカレーは美味しい。おかわりして腹一杯食べてしまった。

 たべおわった皿を洗い。さてコーヒーでも飲むか、と準備している時に思い出した。


 あっ、戻ってきてから座禅してない。素振りどうしよう。


 で、腹がこなれるまで座禅や気の錬成をおこない。

 風呂を沸かしながら、庭に出て素振り千本をこなす。


 野太刀自●流、打込の木の束なんか作っていないので今日は、パス!


 たっぷり汗かいたので、風呂に入りサッサと寝よう。そうしよう。





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