流れ星の見える丘でまた会いましょう
とある丘の上。今僕は小さい頃から仲の良い彼女と2人で、毎年恒例である約束の流れ星を見に来ている。今では社会人になったのに律儀にこの約束を守ってくれる彼女にはなんと言ったらいいか。
はぁーーっと、横に座っている彼女が手に息をかけて温めている。そんな寒そうにしている彼女の手を僕は握った。
「ふふ、気持ちは嬉しいけどあなたの手ったら冷たい。せっかく温めたのにまた冷たくなっちゃったよ」
笑顔でそんな事を言われるが、悪いけど僕は防寒系を何も持ってないんだ。諦めてくれ。それにこうしていればいつかは温かくなるだろうよ。
「じゃ、ゆっくり待とうかな。それにしても今年も綺麗に晴れて良かったね! よく流れ星が見られるよ。楽しみだなぁ」
むしろこの時期に天候が悪くなるほうが珍しいだろう。
お!今流れた!
「嘘! どこどこ!」
相変わらず最初は見逃すな。ほら、もっとよく空全体眺めて。
「あ、見れたぁ! 今年も例年と変わらず綺麗で安心安心」
どんな感想だよ。毎年流れ星の綺麗さが変わったら見ているこっちが驚くよ。
それよりも今年もまたいつもの願い事をしているの?
「あ、うん! そりゃするよ大切な事だし」
毎年同じ事を飽きずによくもまぁ。
「でもそのおかげでこうして一緒に流れ星を見られてるのかもよ?」
そうなのかもね。よくもこんなに何年も見に来れたもんだ。
「流れ星が願いを叶えてくれるって、半分本当かもね」
あのさ、話があるんだ。
「どうしたの?」
君も忙しいだろ?社会人でさ、仕事もあるだろうし。
「うん。もう毎日クタクタになっているよ」
ならもうこの毎年の流れ星をわざわざ見に来なくても良いよ。てか、来ないで。
「嫌」
このままだと君は、大切な人生の時間の無駄遣いをしている事になる。言い方悪いけど。
「でもこの日しかないじゃん! あなたに会えるの! なんで死んだのよ! 死んでなかったら、私……私」
うん、ごめんね。だからさ?もう流れ星にもまた来年も一緒見れますように。なんて願わないで、良い人が見つかりますようにとか仕事が上手くいきますようにって願ってほしいんだ。
「もう……会わないの?」
ずっと見守っててあげる。君が誰かと結婚して子供ができて、またここに来て流れ星を見て僕の分まで楽しい人生を送ってくれよ。ちゃんとした幸せを見つけてね。
今回僕はそう流れ星に願ったよ。楽しみしているから、それじゃあね!
「なんなの勝手に決めて……。今までだって幸せなんだよ? 好きなんだよ? 許さないから! こうなったら絶対に子供の面倒みさせてやるからね。覚悟してよ!」
彼女が例年よりも早く丘から去った後、男子が1人冷たい手を擦りながら、流れ星を見ていた。




