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天使の梯子に沈みながら  作者: れるり
6/9

剥落

顔も名も知らぬ男たちの裸が送られてくる。

特に、陰茎を大写しにした写真が。それを必死に扱き上げる動画が。

自分だけに向けられた、交尾相手(オス)を狙う変態(オトコ)の欲望。

配信を終えたばかりだと言うのに、また、疼き始める。

ある動画は、名前を呼びながら腰を振り、屹立した雄を扱いていた。

またある動画では、どこかでプリントアウトしたのであろう、

配信中の『チョモラちゃん』を切り取った写真に、溜まった白濁を吐き出していた。


()()()()と思い、まだ乾いていないアナルプラグを再度手に取った。

直径は約8cm、長さは10cmなのだという、黒い、シリコン製のアナルプラグ。

今日の配信で、初めて()()を飲み込めた。

気分の高揚で、いつも以上に思い切りよく腰を沈めたからだろうか。

想像していたよりも深くまで捻じ込まれ、呼吸が出来なくなる程に自分の(カラダ)()()()()()感覚が背筋を這っていった。

これまで届くことの無かった場所での快楽に、深く沈めたはずの腰はビクンと跳ね、アナルプラグが雄液と共に吐き出された。

目まぐるしく更新されるコメントに犯されながら、ふたたび挿入し、そのままピストンを始める。

2人に犯されるとこんな感じになるのかな、と、考えながら。


配信の時も気持ちよかったけど、今なら。

あの時コメントしていたみんなの、妄想のそれではない、ホンモノが、ちゃんと見られる今なら。


「んくっ……ふうっ、ふぅ……んあ……っ、はあ……っ」


黒い暴力が、飲み込まれる。深い所まで犯される。

限界まで深く挿入し、搔きまわし、自傷行為の様に腰を振った。

ローション追加した方が良かったかなと思ったが、そんな事はすぐに気にならなくなった。

肛門は熱に犯され、そして、モニタには自分に性を吐き出さんとする欲望。


―お前がそうやって誘惑してくるから


―本当に可愛いよ、だから、壊しちゃっていいよね


―レイプされといてこんな変態に求めてきやがって


―君みたいなマゾメスの事をね、便器って言うんだよ


かつて、荒々しい体液と共に投げかけられた言葉が再生される。

車の中で。ホテルの部屋で。自室のベッドで。ショッピングモールで。図書館で。バスや電車の中で。

乱暴な雄の臭いに包まれて、雄の欲望を注ぎ込まれて。

だって仕方ないじゃん、そう教えられて、そう仕込まれたんだから。


目の前の誰かが「チョモラちゃん」と熱の籠った言葉を吐き出しながら、絶頂を見せる。

同時に、下腹部の奥がきゅっと締まり、淫猥な刺激が身体全体を駆け巡る。


それは()()()の絶頂だった。


あぁ、()()を、求めてたんだ。


これなしじゃ、もうダメだ。

いや、もっと大きくて、もっと暴力的な……それこそ、怪物の様な。

それとも、また、ホンモノを……。


痺れた身体をゆっくりと動かしながら、今の姿を撮影して<Peony>へ投稿した。


――みんなからのメッセージにいっぱい犯されて、すっごく気持ちよくなっちゃった。


――こんどは配信で、チョモラのメスイキ見せてあげるね~★


僅か数秒でリアクションの通知が押し寄せてくる。

雄の臭いが、漂ってくるようだった。


「ふうん。そっか……」


ひとり呟く。


「そんなに、チョモラの事、すきなんだ」

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