僕、今を知る。
「取りあえず一月くらい開いちゃったし、状況の詳細を頼む。」
僕は鶸に目線を送る。
「貴方の軍が・・・帰還兵約二万。小娘相手に随分消費したようですが。」
「そこは神谷さんが上手だったと・・・思って欲しいところだけど、正直六万ちょいは原因不明で失った。」
かいつまんで紺に預けた兵は敵味方全滅という状態だったことを伝える。
「竜種ですか・・・目的が不明ですね。他の選定者という訳でもないようですが・・・まあ事故という事ですわね。」
鶸が若干納得しなさそうな顔をしたが結果は受け入れたようだ。
「装備品の損耗率が四割ほど。こちらは代わりをだせますわ。魔法石に関しては貴方が必要なものを再準備してくださいませ。」
こちらの結果も鶸は不満そうに受け止めながらため息をつく。
「誕生したミーバは規定通りで四万五千。減少割合は不明だったので割り当ても規定通りですわ。今後は補充として斥候兵と魔術師を中心に割り当てますわ。全兵力は三十八万ほどですわね。」
鶸が悩ましそうに眉をひそめながらする報告にユウが笑い、トウは苦笑し、ヨルとクロは開いた口が塞がらないときている。
「兵数が頭おかしいわ。このまま世界とれるんじゃね?」
ユウがそれこそ大草原になりそうなほど笑い出す。
「こちらに来た十五万ですら全数でないとは・・・」
トウもお手上げといったように困った顔をする。
「途中自国でない場所を通るから少し遠慮したんだよ。それでほぼ全滅くらってるんだから見込みが甘かったとしか言い様がない。神谷さんは想定以上に強かったということさ。」
僕は見込みの甘さを認めるように驚いた者達に言う。
「ば、馬鹿にしているのですかっ。」
クロが激昂する。
「馬鹿にしているつもりは無い。君らだけにかまけて良い段階じゃないんだ。いちいち全軍で動いてたらその隙に本拠地が無くなっても困るだろう。そもそも目立って軍を起こしたら逃げると思ってたのもあるしね。あんな状態とは思いもしなかったし。」
僕はクロをなだめるようにとりあえずの言い訳をする。嘘は無い。召喚も想定外だったし、ヨルを始め初見の進化体も多かった。ただ逆にああいう状況だと分かっていれば逆に兵は連れて行かなかっただろう。結果だけ見れば全員で忍び込んで暴れた方が早かったとも思う。ペルッフェアの時と同じだ。相手に強力なユニットが多いときは兵なんて飾りなのだ。戦争をやらないなら兵なんていらない。ここはそんな世界だ。権力者をすげ替えるだけなら英雄クラスだけでいい。最もそれに従う民衆ばかりでもないので戦争という結果で国を落す必要がある。政治だけでも民衆は従うが、逆らっても無駄という視覚的にわかりやすい力である軍は強い者に従う民衆相手には強い説得力を持っている。元々は神谷さんに降伏させるつもりだったのだがあんな狂い方をしているとは思わなかった。だから結果的に見れば軍はいらなかったと言える。煙に巻くようで申し訳ないが噛みついてくるクロに簡単な受け答えだけしてその場だけは納得させる。鶸と同じタイプでちょっと面倒くさい。
「で、よろしいですか?」
鶸が終わるのを待っていたようでジト目で苛ついている。
「あ、ごめん。どうぞ。」
僕はクロとの話を逃げるように打ち切り鶸に話の続きを促す。鶸は少し溜めを作ってから大きなため息をつく。
「想定より損耗が大きいですが攻める方向を考えればそれほど問題はありません。損耗ほど戦力の低下は無いと思われます。」
鶸はチラチラと僕を見ながら非難するように棘のある口調で報告を続ける。
「現在直近の敵である光満教群ですが、その宗教圏を急速に拡大中です。教会の施設で直接恩恵が受けられる要素が多いことから中流層以下、特に貧民層での受けが良く生きるために形からでも入信するものが多い模様です。」
鶸は一息ついて嘆息する。
「当国の貴族層には敵対組織であることを伝えどちらかいうと詐欺集団のような位置づけで認識させており目立って入信するものはいませんが、いくつかの下位層の貴族は取り込まれていることが判明しています。処罰はせずに泳がせている状態ですが、二名ほど警告を無視して勝手を始めたことから反抗罪を適用して当主、もしくは家ごと潰しています。詳細はトーラス卿に確認してくださいませ。」
鶸は僕に視線を向ける。僕は頷いて次を促す。
「概ね国内での影響は少ないと判断されていますが、犯罪行為ではないのでよっぽど雑な貴族領でもなければ押さえ込めてはいません。」
「潜在的な敵を抱えているという点では厳しい状況だね。」
鶸の話に率直な感想を述べる。最も一番危機感を覚えているのは国家の中枢たるグラハムとトーラスだろう。
「宗教的な忠誠心が高く詳細な情報を知ることはできませんが、軍勢としての戦力は神軍と呼ばれるミーバ兵は推定二十二万ほどですわ。それに加えて貴族兵が十八万、民兵が四十万といったところでしょうか。通称神軍以外はほぼ無視出来ると思われますが。」
鶸が推定敵戦力を報告する。
「神軍の戦力構成も基準能力も不明ですが貴族兵は相手にならないという噂は聞けましたので最低でも騎士級以上であることは間違いありません。」
「事実上何も分からないと、言うことだね。」
「そうですわね。」
若干皮肉めいた言い回しだったにもかかわらず鶸は内容は無視するように受け流した。
「戦争の準備をしていることはほぼ確定でして、金属資源の流通が著しく多くなっています。ただこちらのほうは想定される戦力以上の動きがあるため何かしらの金属兵器があると考えられます。」
鶸が少しだけ悩ましそうに報告する。
「なんで金属が流通してるんだ?」
僕は不思議に思って尋ねる。金属資源なんて地面を掘ればいくらでも出てくる。基本的に拠点周りで資源回収と生産が一カ所で済むため流通させる意味がない。
「その辺りは作業効率なのかどうかは分からないのですが・・・近場の鉱山でミーバと人で採掘しているようですね・・・つまりは地面資源を知らない可能性があります・・・わ?」
「そういう・・こと?」
鶸も僕もちょっと信じられないという感じで顔を見合わせる。
「それに関しては地域経済の為とも言えますし、必要量が多すぎてかき集めているとも言えますし・・・拠点奥に関しては調査が進んでいないので不明ですわ。」
とりあえず現状の情報では分からないという話のようだ。
「まあ、しょうがないか。取りあえずやる気満々ってことだね。」
僕はそう結論づけて、鶸も首を頷かせる。
「で、貴方の方はどうするんですの?その穀潰し共など・・・ですが。」
鶸がユウ達に目線を送る。
「穀潰しとは何事ですかっ。」
クロが激昂する。
「飯どころかお茶も飲んでねーわっ。」
ユウが明後日な反論をする。その味方の誤射をうけてクロがユウを見る。ただ確かに連れてこられただけで何もしてもされてもいないという事実にクロもどうなんだろうと悩み始めたきらいがある。
「あいつらに関しては神谷さん待ちだね。あと十日くらいか。」
「それでその後は?」
「一応協力を求めるけど。」
僕の考えに鶸が大きなため息をつく。
「激甘ですけど何か弱みでも握られているんですの?」
「設定上は仲間・・・だし、神の余計な要素が無くなれば普通・・・だと思う・・・たいなぁ。」
鶸に睨まれながら反論しようとするがそこまで役に立つかは・・・正直わからない。攻め手が増えるという点では良いことだし、彼女の知識と魔法も合わさればお互いの伸びしろも上がる。と、考えているが鶸はかなり不満そうである。
「そちらは良い方向に転がると期待しておきましょう。攻め手に関してはトーラス卿が調整中です。我々もかなり強引な侵略国家になっていますが、余計な波風は減らす方が良いことには変わり有りませんので。それが済むまでは準備期間ということになりますわ。」
「あい、わかった。こっちも足りなそうなものの開発に回るよ。」
「よろしくお願いしますわ。」
当面の報告会はそれですませ、鶸も城の使者に呼び出され、腹を立てながら移動していった。
「俺等はどうすればいいんだ?」
鶸の姿が消えてからユウが口を開く。
「別に。邪魔しないなら何しててもいいよ。なんか欲しいものとかあれば作るけど。」
「ご主人さまっ。狙撃用の遠くが見えるやつがほしいのっ。」
話に便乗して萌黄が勢いよく意見する。
「スコープ?まぁいいけど。ああ、スキル無くなったからか。」
「菫みたいに遠くまで見えないし・・・すっごく飛ぶヤツ作って貰ったんだけど、飛ぶところまで見えないの。」
追加で何か作ったらしい。
「ただのスコープなら普通に作れるでしょ。」
「普通のやつだと並べて撃ったら見えないもん。そういう技術がないから作れないんだって。」
なるほどーと納得しながら草案を頭の中で考える。
「あとでその銃を出しといて。なんか考えとく。」
「はーい。」
「にしても用途が制限されてるのに銃好きだな。」
「私の能力に関係なく使えるし・・・」
銃にこだわるのは何故かと思ったが低いステータスを気にしているようだった。どういう内部設定かわからないが萌黄のステータスは一回り低いままだ。萌黄でもそれなりに気にしている要素のようだ。励ますように萌黄の頭を撫でておく。
「まぁあの銃ってのは対策ないと辛いわな。」
「正面からまともな方法で防御したくはないですね。」
ユウとトウは何かを思い出すようにうなずき合う。
「まともな対策をとられない内からどこぞの騎士には結構弾かれてたんだけどね。」
嫌な思い出だと当時を思い出しながら語る。
「私達に武器を与えて反逆しないと思わないのですか?」
クロがまた場をひっくり返す発言をする。
「なんてかもう聞き飽きたような話だけど。したければすればいいよ。」
僕は聞き飽きた感想だとどうでもよさそうに答える。
「ネタが割れてる今なら僕らと同等のものを与えてもどうにでもなると思ってるからそうしてるんだし。諸事情から神谷さんを倒したけど、一応仲間のつもりでいるしね。クロはそんなに僕が嫌いか?」
僕は冷めた目でクロを見る。
「嫌いですわっ。主殿を惑わす不届き者など死ねば良いのにっ。」
クロがきっぱりと言う。
「まぁそれじゃしょうがないか。ま、要望があったらよろしく。」
僕はそっぽを向いたクロに手をひらひらさせて答える。
「あの・・竜の目ってどう動いてる?」
地味に引っ込んでいたヨルがずいって興味津々に尋ねてくる。
「どうって言われるといろいろなんだけど。」
「じゃあ・・・」
ヨルは索敵を魔法でやっているがどうにか範囲を増やせないかと竜の目で魔法を発動していたことが気になっていたようだ。そもそもスキルを駆使して莫大な範囲をカバーしていたので今更という感はあったのだが多少の範囲と精度は上げられそうだと開発してみることにした。
「そもそもだけど、例のやり直しスキル?を補強するかしたほうがよくないかね?」
「まぁ・・・それもそうですけど・・・消費の割に自己解決が難しいので本当に保険なんですよね。」
その【一縷】というスキルはいくつかの危機とその期間を定めることで、その期間内に危機が起こる可能性があるとその期間をやり直すことができるという強力なスキルであった。自分では実際に起こったように感じるが周りが影響を受けていないことから瞬間的に行われる超高度なシミュレートなのではないかとヨルは考えている模様。仲間の戦闘不能を危機条件とし期間を一分なり五分で設定する。危機が予測されると期間の始めから危機までの間を可能な限り繰り返すことが出来る。聞くだけなら異様に強力なスキルであるが惜しむらくはヨルにその危機を覆す手段が少ないという事、そして危機の範囲と期間の長さで消費する負荷が相応に高いという。再設定はそれほど手間ではないにしろ一分巻き戻るだけでも百程度の負荷を必要としそれを巻き戻るたびに消費する必要がある。手間無く解決できればよいがそうで無ければ対抗策無く倒れることもある。前回の結果では倒れた事により未来が変ったのが皮肉でしかないという話だった。
「その辺りは色々解決できそうだね。ようは瞬間的にでも危機を回避する手段を持てればいいだけだから。」
そういった感じでヨルとの話は弾んだ。ユウとトウは武具の更新を望んだ。要望を聞いたらそれに添うように調整して渡すだけだ。武器に関しては材質と能力を付与するだけですぐに終わった。
「神谷さんは開発とかしなかったの?」
武具の感触を確かめるユウとトウに聞いてみる。
「ん・・・まぁ・・・手は出したのですが。」
トウが微妙に口ごもる。
「ご主人様のセンスが悪い。」
きっぱりと言い放ったユウをトウが睨む。
「遊一郎殿の技術に追いつくのが精一杯で素体の武器の開発は遅々として進みませんでした。魔法に関しては問題がなかったのでそちらで誤魔化していったというのが正直な所でしょうか。」
トウが心苦しそうに吐露する。なるほどと頷きつつもやはり本のスキル生成は破格であることが窺える。
「そろそろ開発に専念して装備更新もしたいところだね。」
装備に満足そうにしている二体を尻目にぼそっと呟く。ユウは正気か?と顔を歪ませて首をかしげる。
「こちらの負担も増えるばかりですのでそうしていただけると非常に助かりますがね。」
広間に入ってくるなりトーラスが愚痴る。
「国土が広がって嬉しいだろう?」
「管理する身にもなって欲しいといつも言っていると思いますが。」
僕とトーラスは定例とも言える掛け合いをしながらも用事は?と目線を配る。トーラスはユウとトウがいることを気にしているようだがそもそも気にするなら入ってこなければいいのにと思う。一拍おいてトーラスはため息をついてから口を開く。
「根回しの方は概ね終わった所です。通り道にしたカスイルがかなりごねていてな。」
「焼いちゃえばいいとおもうけど。」
「眼前の敵を倒すために固めているところで種火を増やさないで貰えますかね。あそこはその後ですよっ。」
多少茶化すがカスイル王国は緊急性がないという理由で後回しにしているに過ぎない。トーラスもそこは理解している。むしろ今の近場ではトーラスが一番気に入らない国であるだろう。
「あそこもそれなりに光満教の手が入っています。せめてトップくらいは押さえておきませんと。」
トーラスはそう言って姿勢を正す。
「カスイル王国が完了すればあとはいつ始まっても大丈夫です。ただこちらも大きく動いているにもかかわらず思いのほか動きが遅く見えるのが気になりますがね。」
トーラスも鶸と同じように光満教の動きがおかしく見えるようだ。
「まあその辺の事情もあるし手早く頼むよ。」
「できる限り早めに済ませますよ。」
トーラスはそう言って外に出た。なんか顔を見かけたから話に来たくらいの感じだ。
「光満教ってなんだ?」
ユウはその辺の事情には疎いようだ。
「グライラストにもいくらかいたでしょう。ご主人様の影響力か余りはやっていなかったようですが。」
神谷さんの行っていた万能治療という小さな希望が、光満教のような露骨な利益を浸透させなかったようだ。うさんくさい話よりも小さな実績ということか。ただ聖女がいなくなって大変だろうなとも思う。
「その光満教を作ったのが選定者っぽいんだよね。神と明確に宣言しているわけじゃ無いけど崇められてる感じ。それで一応の目標だから倒す、感じかな。」
僕はそう説明する。
「先にうちに来たのはどうなのよ。そりゃそれでよかったんだけどさ。」
「先に光満教に行ったら絶対後ろからつついてきただろ。怖くてやってられんわ。」
ユウの疑問に僕は瞬発的に言い放つ。ユウもトウも少し悩んだ後、そうかもなと納得していた。その後微調整をした後、翌日からはヨルと小話しながら竜の目とその他の魔導具について相談をする。そのうちクロもおずおずとやってきて小話に加わってきた。なんだかんだ寂しいのかそれとも本性を暴いてやろうと思っているのか表情の緩急が激しかった。結局神谷さんが僕のことを気にかけてるのが気に入らないんだろうなと、そういう感情を感じた。クロの装備に関しては比較的完成されており手を入れる要素はなかった。似たようなものを作っても数%の向上しか見込めないということで、いっそのこと速攻と持久戦と両極端に振り切った装備を作ることにした。ヨルの装備は追加で作るものが多かったが一応形にはなったということで一旦は完了という形にした。さてこれから自分の装備と意気込んだのが七日目。昼間から急報が飛び込んでくる。
「光満教とが国境沿いのカドクナ子爵領の光満教徒保護を名目に進軍しました。」
進軍されたなら反撃ついでに進行するという大義名分が立つと先行して騎兵四万と鈴を送る。しかしその三時間後にはカドクナ子爵領陥落の連絡がくる。
「いくら何でも早くないか?」
「いやー、遊一郎殿のことを考えるとそういうこともあるかな、と。やはり神の使徒は戦闘レベルが違う。」
グラハムがお手上げといった感じで酷い感想を述べる。
「神軍の参加はなく全軍で十万ということでしたから、それを考えるとかなり早いですな。」
トーラスもさすがに疑問に感じているようだ。
「カドクナ子爵は染まってないよな?」
「仮にも国防子爵ですよ?」
カドクナ子爵が光満教徒である可能性は示唆したがトーラスはそれを否定する。ここ最近では国境が頻繁に変っているので大変ではあるのだが、ルーベラント王国では国境沿いの領地を任せる貴族は国防職と呼ばれある意味王家の信頼の証であると比較的人気の花形である。能力と信頼を兼ね備えるそれほど多くない貴族が抜擢されるのだ。貴族からすれば大きな名誉であり決して左遷とか閑職とは考えられていない。開発が大変なケースが多く国からの支援も厚く決して損が目立つ職ではないのだ。なお任されるのは子爵以上でそれなりの功績と実績も兼ね備えているはずなのだ。そういった面からトーラスは子爵が光満教徒ではあり得ないと思っているようだ。
「民衆か・・・」
「そうなりますね。」
都市に閉じこもっても中に残った民衆に蜂起され開門された線が妥当だろう。
「まずいね。まにあうかな。」
「間に合わせないことには蹂躙されることになりますので。」
国に浸透した光満教がどれほどの規模か想像したくもないがこの現象はこの先いくらでも起こりえると言えた。鈴に拠点生産をまかせ僕と桔梗、萌黄は二十万のミーバ兵を連れて進軍する。グラハムも十万の貴族兵を再編しあとを追わせる。民兵は徴収しない。役に立ちにくいということもあるがどれだけ光満教に汚染されているか不明だからだ。とてもじゃないが運用に耐えうるとは思えない。早急に伝令を走らせ強行軍で進むが、たかが二日で国土の半分まで貫通されるという酷い事態に陥った。敵先方騎士八万と民兵八十万。その民兵の内九割が自国の民という悩ましい戦いが始まろうとしていた。
「勝つだけなら一瞬だけど・・・やりづらいな。」
「しかし許せば同じ事を繰り返すのではないでしょうか。」
途中で合流した鈴が答える。
「全滅させたら民がいなくなるよ。恨みも大きそうだ。」
「加減が難しいですね。」
相手は兵数だけの烏合の衆だと思える。最悪桔梗が広域魔法を使えばただただ蹂躙が始まるだろう。だがそれを避けたい状況になってしまった。
「どこまで浸食されてたんだ。」
対峙して翌日。各地で反乱が始まった。国土は一瞬で王都周辺までの機能を激減することとなった。
菫「めんどうな相手ですね。」
鶸「また置いて行かれたのですわっ。」
萌「城になんかつめてるからだよう。」




