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僕、遭遇する

※今後の調整のためステータス由来の防御力を下方修正。1/2 → 1/5

 明け方少し太陽が登り始める頃に目覚める。

 

(早寝したからか?こんな朝早くから起きるとか。)

 

 時間的には4:40か。ひと伸びしてM型に朝食をお願いして拠点状態を確認する。

 

 木40000布10000石55000金属3100魔石0燃料5000食料29900財貨0

 最下級拠点1 畑16 麻畑1

 布倉庫1 木材倉庫7 石材倉庫10 食料倉庫5 金属倉庫1

 細工所1 木工所1 石材所1 金属加工所1 魔導構成所1 

 戦士訓練所1

 M型38 C型36 Y型47

 

 うん。盛大にはちきれた。ていうか素材とれすぎじゃね?どこに使うんだろう。M型が持ってきた朝食をつまみながら建築リストを確認する。

 

 野菜畑、麻畑:木200石50

 木工所、石材所、金属加工所、細工所:木300石300

 最下級倉庫:木200、石200

 木柵 木5布2

 土塀 木30石30

 石壁 木10石60

 鉄柵 石10金属15

 鉄壁 石70金属110 

 魔導構成所:木材2000布2000石1500

 錬金術研究所:木3000布3000石3000金属3000燃料3000

 戦士訓練所 木2000石1000金属3000食料1000

 弓兵訓練所 木3000石1000金属1000食料2000 

 騎馬訓練所 木2000石1000金属2000食料3000

 魔術師養成所 木2000石2000金属1000食料3000

 

 またなんか増えてるな。建築進めると次が増えてるっぽいんだけど増えたら教えてほしいんだけどね。

 

【ブックオープン:通知機能を追加しています・・・2000】

 

 本さん、便利ですね。なんにしても金属足りないなと建築リストを見て考えていると、金属について調べるのを忘れていたことを思い出し改めて本を確認する。

 

ー金属収集:金属含鉱石の採掘。山、地下は含有率が高くなる傾向にある。金属含有製品を金属加工所、鍛冶場、溶鉱炉で分解。ー

 

 近くに鉱石とかありゃなあ。と考えていて文面を思い出すと「地下」という単語が引っかかる。

 

(実は地面掘ればそのうち手に入るってことか。あとは近場に街とかあれば変換率次第では加工品の購入も視野にいれるくらいかね。)

 

 ちらっと資源に目をやると財貨は未だに0である。人との取引は遠そうだ。

 

(どこぞのゲームなら金鉱石とかあったもんだけど。一見岩から金属もとれたし地面掘ってれば何でもありかもな。うっし。)

 

 近場の岩を掘り尽くしてもおそらく金属の必要量が全く足りない。なんとかして金属収集の当てを見いださないことには開発が難しい。少し離れた岩場にある金属に期待して、Y型3体の仮称建築組に騎馬訓練所と魔術師養成所の建築を指示する。別のY型3体に木材倉庫2布倉庫2燃料倉庫3食料倉庫6の建築を指示。魔導構成所でY型30体の作成、拠点で30体のミーバ作成をスタックさせる。予定通り夜のうちに外壁の建築も完了しており警備A,Bがランニングのように周回している。警備組を呼び出し追加でM型を5体ずつグループに編入して警備を続けさせる。残りの15体ほどのM型に岩場の採掘を行わせる。

 

(C型の仕事が現状微妙かな。お供のM型とC型10体くらいで自分の護衛に専業してもらうか?残りを5体ずつ索敵グループにしてと・・・)

 

 5グループ目を作ろうとした所で1体余るはずが1体足りない。よくよく見たらM型も2体足りない。

 

(拠点情報と差異があるな。どっか迷子になっているんだろうか。)

 

 そもそもどこで迷子になってるのかと悩みつつも、そうこうグループ分けをしているうちに拠点から出てきたC型を5グループに目に組み込んで、「地図1」「地図2」「地図3」「冒険1」「冒険2」とグループを構成する。地図班には従来どおり拠点周辺のマップ開拓をしてもらう。冒険班には街道沿いに街を探してもらうように指示する。地図班に行動指示を出し、冒険班は少し待機。採掘班から金属が戻ってきたら急襲斥候兵にしてから探しに行ってもらおう。自分はY型9体と護衛を引き連れて外へ、と思ったら壁しかない。拠点の裏、草原側に出入り口として扉の作成を指示して、気を取り直して外に出る。拠点から20mくらい離れたところに3mくらいの穴をイメージしてY型9体に露天掘りしてもらう。みんながうねうね地面を叩き始めると徐々に地面が凹んでいく。おそらく石と金属が取れると仮定して穴の側に金属倉庫と石材倉庫を護衛組と一緒に建てる。指示された護衛組は一斉に拠点へ走る。うん、材料を取りに行かんとな。護衛組と一緒に拠点に戻る。一緒に木材を持っていこうと思ったのだがたかだか90ちょっとしか持てないことにショックを受けながらも無いよりマシと思いながら持っていく。石材倉庫を建築している途中で採石組が戻ってきたので増えた金属を使って冒険1,2のグループを急襲斥候兵の職を付与する。灰色のローブともボロ布ともつかない布地を体に巻きつけかっこいいとも思えなくもない微妙な風貌に変化する。まあこれはこれでと思いながら、各グループに他の生命体に見つからないように街道沿いに進んで生命体の集落を見つけたら引き返してくるように指示する。4つ足以上に見つかった場合は反撃を許可し、それ以外は逃走するように指示しておく。急襲斥候兵達は静かに素早く街道の方へ移動していった。あとは金属探しにいそしもうかねと思いながら倉庫を建築する。両倉庫を建築した後その周りを囲うように石壁を立てておく。扉を作って中を確認し満足したので一旦拠点に戻る。扉を開けると50体以上のミーバに出迎えられる。かわいいんだかきもいんだが・・・手ぶらなのはもったいないので何をさせようか考えつつ、29体のY型には露天掘りに参加させる。M型10体を新たに警備3としてグループ化して拠点外壁の周囲を回って警戒させる。C型5体を護衛に編入し、残りの4体とY型10体で麻畑3布倉庫3の建築指示をする。建築が終わったらY型には伐採をしてもらう。

 

 紺野遊一郎 グループなし 職なし 装備なし

 STR:14[↑4] VIT:19[↑4] DEX:10[↑2] INT:15 WIZ:10 MND:15 LUK:11

 MV:4 ACT:1|1 Load:97 

 HP:38 MP:25 ATK:19|17 MATK:30 DEF:5 MDEF:5 SPR:20

 スキル:木造建築

 特典アビリティ:本

 

 ステータスを開いてちょっとだけ育っている自分のステータスをみてにやにやする。成果が見えやすいとやる気が上がる。

 

【通知機能を追加しました。】

 

 ポーンと頭の中に小気味良い音がしてイメージが湧いてくる。何か追加されたら教えてくれると信じて一旦は置いておく。そういえばと思って警報機能の追加ができるか確認すると、鳴子は木工所、鐘楼は金属加工所という指示がでる。どうもシステムで世話はしてくれないようだ。

 

(やっぱり手探り作業が減る本は楽だなぁ。敵を見たら一時停止とかあるといいなぁ。対戦相手がいるから普通無理だろうけど。)

 

ーブックオープン:類似条件有り、『条件発動』、『時空間停止』を開発しますか。ー

 

 なんかキター。いきなりヤバそうな魔法が来ましたけど内容はどうかな。というか魔法開発も出来るとか本めっちゃ便利だな。

 

 ☆条件発動Ⅰ:魔法詠唱時に発動条件を付与して発動を先送りするスキル。

       自己行動、他者行動、環境行動、時間を一つまたは複数の条件で発動。

       ランク数の数だけ維持でき、ランク数の数だけ条件を付与できる。

 

 ○時空間停止:守勢魔術Ⅷ 必要MP:5000~ 詠唱:0~20

 消費MP1000当たり1秒の時間を停止する。詠唱破棄した場合停止時間が3秒減少する。停止対象は術者が触れていない非活動体を除くすべての世界が対象。停止世界ではあらゆる能動、受動進行が停止し発生しない。術者は自由に活動できるがあらゆる代謝は停止する。術者の接触を離れた非活動体は直ちに停止する。

 

 条件発動は7000、時空間停止は1670000で開発できる。464時間とか笑う。でもたかがそれだけで開発できると考えるとすごいとも言えるのか?最もMP5000とか捻出できる気がしないんですが。魔術師養成所も控えてるし条件発動くらいは作っとくかと思って開発を始める。素直にカウンターが進み始めるのを見て、前提がいる場合とそうでない場合があるのかな。溜まった食料を使ってY型20匹と拠点で20匹の作成を指示して護衛隊と一緒に拠点の外壁から出る。露天掘りの様子を見に行くとすでに5mほど掘ってるくらいか。結構なペースで掘っているように見える。

 

(どこまでいったら金属がでるやら。)

 

 周囲の探検にでも出ようかと移動しようとすると、自分もミーバも何も持ってない。流石に不用心すぎると思ってまた拠点に引き返す。

 

(金属は量がないしなあ。金属武器は控えたいけど。棍棒ってのもねぇ・・・石斧くらいなら出来るかなぁ。)

 

 主要部品的に石材所にいって製造リストを開く。他のところと比べて種類は少ないのだけど武器でフィルターをかける。

 

 石弾(10) 石5

 石矢(10) 石5 木5

 石小刀 石10 布10

 石剣 石15 木5 布10

 石斧 石15 木5 布10

 石槍 石15 木10 布10

 石槌 石20 木10 布10

 黒曜石矢(10) 石30 木5

 黒曜石小刀 石100 布10

 黒曜石剣 石100 木5 布10

 黒曜石斧 石100 木5 布10

 黒曜石槍 石100 木10 布10

 

 お、黒曜石なんて心躍る装備がある。しかも余ってる素材からすると破格の安さ。

 

 石弾 ATK+1

 石矢 ATK+1

 石小刀 ATK+3

 石剣 ATK+5

 石斧 ATK+6

 石槍 ATK+5

 石槌 ATK+7

 黒曜石矢(10) ATK+3

 黒曜石小刀 ATK+8

 黒曜石剣 ATK+12

 黒曜石斧 ATK+14

 黒曜石槍 ATK+12

 

 あれ?黒曜石て鉄より強いの?確か鉄剣てATK+8だったような。材料比率はともかく有用性が高すぎて無駄に怪しんでしまう。というわけで本の出番である。

 

 黒曜石:火山性の石類。鋭利に加工しやすく刺突、斬撃特性が高い。対衝撃が低く破損しやすい。武器としては攻撃持続性が高いがそもそも耐久力が低い。宝石としての価値があるが安定性が低い。

 

 武器の詳細をみても、ざっくりいうと使い捨て武器ってことがわかる。壊れやすくて修理ができない。出来ないわけではないが主要部位を総とっかえしないといけないのは修理とは呼ばないと思う。修理費に反映されているが軽微、全損に関わらず石100要求される。複数持ち歩くほうがいいだろう。

 

(なにより軽いのがいいね。僕が振り回せるくらいだ。)

 

 黒曜石剣を振り回しながらそう思う。弓を作れないかと木工所を覗いて製造してみるも護衛隊の中で使えるのはM型一匹だけという。

 

 弓 木100 布10 ATK+8

 

(触手が一本って思ったより不便なのな。片手だけ扱いなのか。)

 

 自分が使ってもさほどうまくいかないのでM型に渡しておく。石矢も30ほど渡す。試しに振っていた剣もM型に渡す。近寄って斬るとか怖いじゃないですか。ただでさえ貧弱なのに。C型の為に黒曜石剣を15、投擲用も込で小刀を30作って渡す。槍を二本作ってM型と自分で持つ。予備の剣を10ほど作ってM型にもたせる。みんな思いの外喜んでるなぁ。最後に保身だけ図っておこうと細工所に行って適当な自分用の防具がないか探す。レザーアーマーは結構な重さになったのだが安全の為と思い、ミーバに手伝ってもらいながら装備する。

 

 レザーアーマー 布250 DEF+5

 

「よし、探検だ。」

 

 気合をいれるのに声をかけるとミーバたちも武器を掲げて謎の声を上げる。思い出したかのように拠点と構成所の前で謎の体操をしているミーバ達に色も気にせず全員露天掘りに行くように指示する。まずは金属がでてなんぼだ。

 

 拠点を出て2,3分離れる。ミーバの探索したイメージ通りの草原が広がっている。

 

(初めて来たはずなのに初めてじゃない気がするデジャヴ感。)

 

 時折吹く柔らかい風を感じながら散歩のように草原を歩く。木の実のついた低木を見つけて調べてみると食料や木材になることがわかる。実をつまんでみると甘酸っぱい味がする。

 

(そういえば野菜畑ってよくわかんない植物を採集してるのに、ご飯頼むと魚とか肉とか普通に出てきたな。どうなってんだろ。)

 

 そこで実をいくつかお菓子代わりに採集して、本で調べながら歩きだす。どうも素材のたぐいは収集すると価値に応じてすべて数値化されて保管されて必要な素材を出したいときはその価値に応じた数値を消費して外に出すことができるようだ。確かにこの革鎧の革だって採取した覚えも加工した覚えも無いな。出せる素材はミーバが採集したものか自分の知識にあるものに限るようだ。

 

(ということは意外と高度な金属や宝石も出せる可能性があるってことかな。あとで調べてみよう。)

 

 調べ物と考え事をしながら上の空でとぼとぼ歩いているとミーバ達が突然武器を出して構え始める。物々しい雰囲気にハッとなりながらミーバが警戒している方を見ると遠目に犬のような生き物が見える。こちらに気がついているようでゆっくりではあるが確実にこちらに近づいてくる。僕がいる以上逃げるのは難しいだろう。こんな鎧を着て無くても子犬からすら逃げられる気がしない。しっかり見据えるように見続ける。

 

 メイン 動物

 中型の狼。集団で狩りをする。雑食。平均的な狼より足が長い。

 

 ざっくりとした説明が出る。もうちょっとゲーム的な能力がしりたかったなー、と思いながらミーバ達を見る。

 

「申し訳ないが逃げられないので迎撃しよう。僕を中心に円陣を組んでなるべく反撃対応で。」

 

 M型は僕の左側につき、C型15匹は僕を中心に1m少しのところをぐるっと等間隔に円になる。メインもこちらが構えたのを感じ取ったのかさっと速度を上げて僕たちの4mほどのところで三匹が立ち止まる。

 

(あれ?なんかでかくない?中型って言ってたよね?)

 

 胴の長さだけでも2mは越えようかという手足の長さがアンバランスな狼がそこにはいた。そんなでかい狼がいるか。後ろからさらに10匹は越えようかという狼が走り込んできて僕らを半円で囲むように動く。恐怖に身がすくみ体を引いたところで正面の狼が一匹軽い助走をつけて僕に飛びかかってくる。

 

(や、ば。)

 

 槍は抱きかかえたままどうしようもなく、スローな景色なんてものを見ることもなく狼の口が僕に迫る。

 

(一度目の焼き直しかよ。)

 

 反省が生かされぬまままた死ぬのかと思ったが、あとコンマ数秒で噛みつかれると思ったときに狼の横から衝撃があったかのように軌道がずれる。M型が横から槍を差し込んでいる。C型も飛び上がるように狼を斬りつける。M型は素早く槍を引き抜き再び構えを取る。僕は横を過ぎていく狼の体を目で追い振り返る。狼の体はそのまま地面に落ち慣性のまま草原を滑って円陣の外にでる。狼はピクリと動くこともない。死んでいるようだ。僕はハッとなって正面に向き直って槍を構える。恐怖に震える中心を奮い立たせて槍を持ち直す。格好良く中段に構えているつもりだができることは突くことだけ。狼も警戒感をまして円陣の周りをウロウロし始める。時折円陣の端に飛び込んできてこちらの様子を伺いつつ、仕掛けようものなら飛び退く。狼がゆっくり追い詰めようとしていることから時間が刻々と過ぎていく。ミーバ達がじれて列を乱せば狼の狙い通りなのだろうが、僕の指示を守ってか淡々と間合いに入った狼に反撃をするだけである。狼は持久力があるが、ミーバ達に疲労は無い。

 

(なんか落ち着いてきたけど、この状況で一番最初に音を上げて倒れるのは僕なんだろうな。)

 

 僕は深く息を吸いながら周りを見渡す。狼の数は13。だいたい3グループごとにまとまっているように感じられる。飛び込んできてはうろうろして気持ち踏み込んできて反撃の動きを見せたら飛び退く。そして遠巻きにウロウロ観察してくる。ミーバ達は基本身動きもせずに待ち構えており、狼の動きに反応して剣を振る。よし。

 

「C型は全員上段に構えて。敵が来たら全力で振り下ろせ。」

 

 どうせ狼は理解できないだろうと声に出して指示する。M型の方に向いて小声気味に「君は振り下ろしへのフォローな。」と声をかける。狼達はC型の行動にびくっと反応するがすぐに元の行動に戻る。そして両脇から焦らすように飛び込んでくる狼。右側の狼が間合いに少し踏み込んだ瞬間。C型の容赦ない一撃が狼の鼻っ面に入る。剣は鼻先を難なく切り裂き地面に食い込み砕け散った。狼は悲鳴を上げながら後退し転げ回っているがあの出血具合ででは長く持たないだろう。鳴き声に釣られるように左側の狼が動くがいつもより深めに踏み込んでしまっている。がつっと気持ち鈍い音共に頭部は両断され狼はその場に崩れ落ちる。剣は地面を軽く叩いただけだったので砕けることはなかった。C型は機械のようにまた剣を上段に掲げる。

 

「よっしゃ。M型は剣を一本出してあげて。」

 

 僕は反撃がうまくいったことを喜び、予備の武器を失ったC型に渡す。C型は考えることなく剣を上段に掲げる。

 

(さて、諦めてくれればいいけど。そこまで考えてないかなぁ?)

 

 ちらりと狼をみまわしても少し引けている個体が見受けられるものの全体として引くような気配はない。また挑発するように飛び込んできてはウロウロして引き返す。うかつに間合いの中に入ってくることはない。だが、こちらに動きがないのにじれてきてすっと間合いに入ってきたものは鼻先を両断されて鳴き声を上げることになる。

 

(あと10匹か。そろそろ疲れてきた。)

 

 周りはともかく長い緊張が続き、僕は疲労困憊だ。恐怖以外のことで足がガクガクしてくる。

 

「全体少しずつ後ろに下がる。次に敵を『刺し』たらC型は全員狼を駆逐しろ。」

 

 僕はすり足で後ろに下がる。狼は包囲を崩さないようについてくる。周りを見ながらそうしていると右手の狼がすっと飛び込んでくる。C型の間合いの外にはなるけどそこは槍の間合いの中だ。僕は右足を踏み込みつつ重く感じ始めた槍を左手で弾き、右片手で狼を突く。

 

「当たりやがれぇ!」

 

 ビギナーズラックに支えられて素人の槍は狼の左目に深く突き刺さる。

 

「行け!終わらせて来い!」

 

 僕は戦いを終わらせるために叫ぶ。C型が散っていく中僕は草原に崩れ落ちるように片膝をつき槍を手放して激しく呼吸を繰り返す。槍が刺さって暴れる狼はC型二匹がついでのように切り裂き止めを刺す。狼も反応しミーバ達の動きに対応して大きく動く。C型が狼を切り伏せる。切られながらも激情のまま反撃する狼を別のC型が追い打ちで切り込む。まぶたが落ちそうな目で戦況を見守る。一匹の狼がC型を飛び越えて僕に向かって飛びかかる。きっつい顔だな。

 

「頼む、任せた。」

 

 僕はそうつぶやき、期待に答えるように側に待機していたM型がきれいに頭部側面を貫通させ、そのまま槍で押し込み地面に叩きつける。M型は槍を諦めて取り出した剣を抜く。戦いの騒がしさは収まり概ね静かになったところで周囲を確認すると一角だけはまだ戦いが終わっていなかった。あんなのがいたのかと思うような一回り大きな狼がC型を咥えている。側にもう1匹の狼が側に侍るようにウロウロしている。

 

(犠牲が0とはいかなかったか・・・)

 

 僕は犠牲を割り切れずにいたが相手も引く気がないならやるしか無いと気力を振り絞る。

 

「C型全員で囲め!」

 

 対峙していたC型離れていたC型も含めて草原の草を鳴らしながら走り出して狼を囲む。リーダーらしい狼はC型を吐き捨てて威嚇するように吠える。

 

「左右半数投擲構え。」

 

 囲んでいたC型の4体が小刀を構える。

 

「投擲後全員突撃。撃て!」

 

 狼に向かって4体のC型が小刀を投擲する。みんなきれいにリーダーの頭に向かって投げる。

 

(部位は指定しなかったけどねぇ・・・ヤるき満々かぁ。)

 

 僕は呆れるようにその小刀を眺め、ほぼ同時に投げられたそれらはリーダーの1アクションで回避される。

 

(そこまでは予定通り。全員の攻撃をさばけるかな?)

 

 詰め寄るC型10体の突撃、遅れて投擲した4体の突撃。側にいた部下っぽい狼がまず犠牲になる。

 

 僕はM型の背中を押して「お願い。」と声をかける。M型は察するように走り出す。

 

 部下の相手をしていた分、そちら側のC型に遅れが出たのと包囲に穴ができる。リーダーは見逃さずそこから出ようと跳躍する。

 

「チェック。」

 

 僕はカッコつけてリーダーに右手で銃の形をつくって指差す。飛び出していたM型が跳躍を始めたリーダーの肩口を切り裂いて叩き落とす。リーダーは叩きつけられるも即座に飛び起き四肢を踏ん張って草原に立つ。しかしながら包囲から逃れられたわけではない。

 

「チェック・・・メイトっ。」

 

 僕は右手をBANっと跳ね上げる。狼の死角から黒い剣が伸びる。1,2,3,4。次々とリーダーに突き刺さる剣。リーダーは後ろを向こうとするも力なく倒れる。そして動きを止めて数秒。

 

「おっしゃー。生き延びたどー。」

 

 僕は大声で叫び草原に背中から倒れた。戦闘中は淡々と作業していたミーバ達も勝利を祝ってか武器を掲げて奇声を上げる。むせ返るような血の匂いと嫌な悪臭がする中、鼻の奥まで最悪だったが戦闘を乗り越えたという達成感から僕の心は晴れやかだった。

ちょっと警戒感が薄れて外に出た所でがぶー。外は弱肉強食の世界です。


 紺野遊一郎 グループなし 職なし 装備なし

 STR:16[↑2] VIT:22[↑3] DEX:12[↑2] INT:15 WIZ:13[↑3] MND:17[↑2] LUK:11

 MV:4-1 ACT:1|1 Load:97 

 HP:42 MP:27 ATK:22+12|20 MATK:31 DEF:6+5 MDEF:6 SPR:25-2

 スキル:木造建築

 特典アビリティ:本

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