俺、敗れる。
俺にとってもチェイスにとっても意味が変ったこの瞬間、お互いの動きが全く変る。ショットガンを六つ展開し斉射。無数とも言える散弾の壁がチェイスに襲いかかる。散弾はチェイスの表面でパチパチと弾かれて力なく落ちる。即座に銃弾をスラッグ弾に変更し射出。
「流石にこれはね。」
チェイスは軽く手を動かしてスラッグ弾を受け流すかのように当たる前に軌道を変更する。
「明らかに手が弾に当たってねぇじゃねー・・・かっ。」
文句を言いつつ今一度一対一前提である無情を放つべく弓を構えた瞬間にチェイスの姿が消える。
「もう少し後ならともかく今それを何度も受けるわけにはいかないからね。」
死角に入るわけでもなくやや視界の端からチェイスが笑みを浮かべながら手刀を放つ。無情の発動特性を一瞬で捕まれた。チェイスが消えた瞬間から弓を戻し、小剣を取りだして予測に基づき腕を振り抜く。切っ先をチェイスの手刀に重ねるように弾く。つもりだったがチェイスは笑みを浮かべたままその手を俺に向けて振り抜く。抵抗感無く、空間ごと削り取られるかのように小剣の剣先が消える。【絶断】を金属を斬るように指定していた?等と感想が追いつく前に小剣を手放しながら収納し両手でチェイスの腕を捕らえる。チェイスの意外そうな顔を一瞬だけ横目に、俺はそのまま体を回転させてチェイスを地面に叩きつける。まだなんとかなっている。
「やるじゃな・・・」
地面に跳ね返りながらこちらに顔を向けて言葉を投げかけるチェイスを無視して俺は両手をチェイスに向けている。
『質量欠損』
手の中に浮いた白金粒が消失してエネルギーへと変る。それらを束ねて即座に解放する。衝撃と熱が放たれ周囲に音の衝撃が走る。出会った中では最も効率の良く上限の高い物理エネルギーだ。これでどうにもならないとなると少し困りものだが。目の前に空いた直径三mほどの穴を見る。大地は熱を持ち溶岩のように流れ落ちようとしており、その穴は現在進行形で拡大変形中である。
「そろそろかぁねっ。」
繰り糸に盾を持たせて予想攻撃線上に置く。甲高い音と共に盾に阻まれた石らしきものが破裂する。反動で繰り糸で支えられた盾も大きく後退する。振り返った視界の向こうでチェイスが驚きながらも楽しそうに顔をほころばせる。
「よく気がついたね。心当たりはあるけど・・・どうやってるかは分らないなぁ。」
笑みを浮かべたままチェイスはこちらに踏み込む構えを見せる。わずかに予想を覆してチェイスは瞬間移動せずに真っ直ぐ突っ込んできた。それでも目で追えるだけでかなりの速度だ。蘇芳を下げて朱鷺を降ろす。手に持った盾、繰り糸の盾、右手の剣、繰り糸の剣、銃、槍。踏み込んでくるチェイスの拳を盾で流す。体が泳いだチェイスはその反動のまま体を勢いよく回して回し蹴りに。俺も自ら懐に飛び込んで肩をチェイスの体に押し込んで流れを止める。チェイスがこちらの脇に手を添える。その行動を意図したところで金糸雀を降ろして『遠隔操作』をつかって短剣を取りだしてチェイスに振りかぶる。本来なら戦いが終わってしまっているところだが、チェイスはまだ遊んでいる。俺としては残念ではあるが一死として心に刻む。踏み込みも無いのにとんでもない威力の浸透勁が脇腹を襲う。
-Sacrifices Blood-
アーツを起動しつつ短剣をチェイスの目の前に投げる。緩い投擲と無視を決め込んでいたチェイスの前でそれなりの規模で爆発が起こり短剣の素材である冷石が飛び散る。少なからず視界を目に依存していたと思われるチェイスは眼球に降りかかる粉塵の処理に追われる。ダメージは受けるが副次効果まで消せるかは状況次第だ。痛みは引き起こさないが痛みを受ける状況になっていると認識はでき、眼球に張り付くゴミが自動的になくなるわけでは無い。収納からパイルバンカーを装備しお返しとばかりに脇腹を狙う。『質量欠損』に比べれば威力はずっと低いが、魔力視覚に映らないというメリットはある。超音波視覚も常用しているなら話は別だが相手の存在を常に感知するだけなら、通常視覚と魔力視覚だけで事足りる。これはチェイスが世界をどう認識しているか確認でもある。もがくチェイスの背後から繰り糸で槍を構え、同時にパイルバンカーを起動して撃ち出す。後ろからの攻撃に反応しチェイスが体をひねろうとするが、その対処が逆にパイルバンカーの回避を不可能にさせる。
「そろそろ抜けろやっ。」
チェイスの体が一瞬黒い魔力に包まれる。目立ちやすい呪いが動いてしまったと思いながらも、反動事押しつけるようにパイルバンカーを振り回す。吹き飛ばされたチェイスが槍にぶつかり繰り糸ごと地面を転がっている。回収は諦めて糸を切り、朱鷺と金糸雀を下げて桔梗を降ろす。
『黒点』
ブラックホールに近い重力の井戸を掘る魔法。普通は抗えずに圧殺される。
『神晶槍』
視認性の低い水晶のような杭を高速で打ち出す魔法。
『質量欠損』
一拍遅れてさらなる物理エネルギーをぶつける。全ては黒点の中心にいるチェイスに吸い込まれるように飛んでいく。大きな負荷を受けて強く息を吐く。
「これでちったぁ・・・」
少しくらい重傷の兆しでも見せてくれればと少しだけ楽観視していたが、『危機感知』がそれを許さない。危険があると分れば予測に従って回避を行う。相変わらず遠距離は石を飛ばしてくるという単純行為のみなのだが地面に刺さる石と焼ける匂いの前では侮るという気持ちは全くない。
「姿が変った位で随分と積極的になったかと思ったけど・・・随分小細工も多いみたいだね。問題がありそうな呪術は消しきったと思ったんだが。」
圧倒的格下に遅れを取ったことに苛立っているのか少し機嫌が悪そうな顔と声で声を掛けてくる。いや、これは俺以外の要素が戦闘に絡んでいることに気がついて苛ついているのか。
「常に浄化でもしてるのか?結構な攻撃を叩き込んだつもりなんだがな。」
七mほど上かに浮いているチェイスに視線を移す。完全に汚れが無い、というほどでは無いが体や衣装は破れも焦げも見られず、埃と土汚れ、煤が引っかかっていると思える程度しかない。これは本格的にまずいように感じられる。
「いや、正直私の想定以上にダメージは受けているよ。持続的に防御耐久値をリセットしているのに瞬間的にそれを越えてくる。誰の入れ知恵かはしらないがね。いや、まあそのコネも含めて君の力だな。どこの誰が関わっているかはまだ特定はできないが・・・それなりに絞れたよ。」
老人の癖のようなものが呪術や改変した術式に表れているのか、チェイスから見るとそれなりの違和感のようだ。
「危機値は上がったとはいえ微々たるものだ。この程度のリスクも背負えなくて世界を創造しているわけではないよ。まだまだ楽しめるさ。」
何かと話している?天上での映像を意識しているのかチェイスは説明するかのように話す。御託を聞いている暇もないので手を構えながら弓を持つ。チェイスは視線を逸らしながら姿を消す。無情は放てないことは大前提なのでそのまま落運を放ち牽制射撃とする。後ろから来る公算が高いと体を前に倒しながら振り向く。『風圧』の魔法で体を押しながら地面にひびを入れるチェイスを見る。手を突き出し高出力レーザーである『滅光』を放つ。チェイスは体を起こしながらその魔法を左手で弾く。やはり防御を崩してからでないと無形魔法は厳しいか。魔法の負荷も安くないのにと愚痴をつぶやきながら、銃弾を放つ。今度はチェイスの前でお辞儀をするように弾丸が地面に突き刺さる。思わず舌打ちする。
「その手の攻撃はこうするのがこの世界の定石なのだろう?」
チェイスは含み笑いをしながら言う。ショットガンのような小さな攻撃の集合体はチェイスの謎防御で遮断され、狙撃銃の類いも『偏向防御』で対応されてしまった。弓も構えるだけで逃げられるようではもう中距離以後のポジションを取る意味はなさそうだ。浮遊状態から着地して桔梗を下げる。蘇芳と朱鷺を降ろして、斬岩剣を手にチェイスに突っ込む。チェイスが手刀をもって迎撃するかと手を振り上げる。しかしその手は思った以上に手前で振り抜かれる。手刀の先にチェイスの姿が無い。瞬間移動されたかと速度を緩めて周囲を警戒使用としたところで罠に気がつく。気がついたときには遅く消えたはずの正面から一撃を受けて大きく吹き飛ばされる。肺から空気が消え呼吸が止まり動きが止まる。
「おや、思ったより簡単に引っかかったね。二番煎じ三度目くらいのネタかと思ったけど。」
既知の要素ではあったが、視界斬りが瞬間移動と混ざるとどちらか判断に困る。中々厳しいネタだった。
「やはりシステムの判定は正しかったようだね。潜在的な自力が高いわけでは無さそうだ。偶々システムに対する理解が早かったというくらいだな。」
チェイスは少し残念と表情を曇らせる。飽きられるということは勝負を終わらされてしまう事でもある。流石にこのまま終わっては無念すぎる。
「なら、もう少し期待に応えてやらんとなっ。」
【絶断】における斬るという作業で姿を消すのは、その時自分に向いている視線を斬るという言葉遊びのような概念を操作することにある。若干効率はわるいが対策を立てることはさほど難しくない。こまめに対象把握する魔法を切り替えるだけである。熱源感知、音響探知、魔力視覚、振動感知。魔力視覚は相手の居場所以外にも様々な魔法効果を解析するのに必要なので入れ替えることはしない。熱源、音響、振動感知を秒単位で切り替えていく。斬られた時に見えなくなっても新たな視覚で見るときには障害はないのだ。再び剣を持って飛び込む。復習といわんばかりにチェイスの手刀が宙を斬る。既に結果がどうなったかは分っている。振り向いて剣を一閃。分っているチェイスはそれを悠々と回避する。俺はそのまま流した足で地面を蹴って間合いを詰める。
「おっと、勘が当たったか?それとも既に対策を考えていたのか?」
チェイスは再び笑みを浮かべて声を弾ませる。追いかけてくる俺に向かって手を伸ばす。手が顔に向けられていた為、反射的にその軌跡から逃れるように首を動かす。偶々巡ってきた音響探知が目の前に壁があることを認識させる。いつの間にと思いながら、反射的に足を上げて蹴破る勢いで見えない壁を叩く。チェイスが笑い。視線があった俺も笑う。悪いが偶々だ。『空中歩行』を想起して壁を駆け上がる。これも【幻想】による構築物かと心に留めながら壁が無くなった所で上から繰り糸で槍を飛ばす。突き、払い、突きと攻撃を続けるもチェイスは涼しい顔で槍を受け流す。別にこの攻撃が当たることを期待しているわけではない。足止めか、逃げるかチェイスの手を見るだけの手段の一つでしかない。俺は壁を飛び降り剣の間合いに踏み込む。右手と繰り糸の武器七つを持って間断なく攻める。踏み込んで攻撃の余地を与えない。チェイスは少し面白く無さそうに俺を見ながら防御に徹している。俺も防御されないように手を変化刺せているがことごとく対応されている。俺が苦々しく思いながら攻め続ける。
「降神術の亜種か。君が使っていた物にミーバを落とし込む魔法の変形だな。君の配下がいない事も気になっていたし、配下の能力を使っているのも驚いた。そういう絡繰りとはね・・・ただ・・・あれほどミーバを大事にしていた君がこれに手を出すとは、明らかに誰かの入れ知恵だな。」
チェイスは笑いながらも強い目線を送る。
「ご明察。相手が名乗らなかったので俺もその名は知らない。どこから来たかもわからないお節介様だったよっ。」
手数が増えたことでチェイスの体術の癖が明らかになる。俺は攻め手を更に増やし繰り糸の盾を下げ、更に武器数を十にする。
「これでぇぇぇ!」
陽光石の剣、神涙滴の剣、真銀の剣、不壊鉛の剣、生金の剣、幻銅の剣さらにそれらの槍。様々な特性の剣と槍が舞いチェイスを追い詰め始める。防御させ、向きを、回避方向を限定し誘導し武器がチェイスに届き始める。
「これは・・・防御が追いつかない?」
当然手数が増えれば防御できる数にも限界が出てくる。最悪チェイスには瞬間移動という手段がありそこから逃れることも不可能ではないはずだった。魔法による瞬間移動と違って【神速】には移動するという手段が伴う為、一歩という踏み込みが必要だった。それは意思と共に行われる足踏みでも構わないのだがそれを含めて解析の終わった鶸の【精密演算】がチェイスの行動を妨害しその場から逃がさない。
「まさか、こんな詰められるだけで動けなくなるとは・・・本来戦闘職に付与されないスキルに嵌まるとこうなるのか。」
チェイスはそれなりに焦っているようでもあり危機を楽しんでいるようにも見える。チェイスの防御を打ち破り確実にダメージを与えていると感じられる。突然堅くなる瞬間があるが先ほど言っていた防御耐久のリセットが行われているのだろう。クソゲーにもほどがある。後は最大攻撃力を保持したままチェンスを条件を満たすのを待つのみだった。戦闘行為を行いながら一定時間一定範囲から動かさない。そんな鈴を相手に通常起こりえない条件を満たした先に最後の呪術はある。チェイスの動きが一瞬固まり【精密演算】の予測と全く違う初動が発生する。その先の結果が何であれそれに当て込んで俺は一撃を放つ。力を魔力をこの一瞬に掛けて、朱鷺、菫、桔梗、萌黄、鶸、金糸雀、蘇芳全員を降ろしわずかでも必要ステータスを加算する。振動が体を襲い皮膚がひび割れ、生肉の破片が飛び跳ねる。人体にあるまじき現象が体を襲う。皮膚を氷結させて分解を先延ばしし、足と大地を水晶と凍結で固める。崩れ落ちそうに体を倒し始めるチェイスに向けて剣を振り下ろす。
-一の秘奥 山開き-
更に二つの竜の目そのものを媒体に突撃させて『質量欠損』を放つ。衝撃に衝撃が重なり狂った熱量が大地を割り溶かす。手応えとも言えぬわずかな抵抗を経て斬岩剣は振り抜かれた、はずだった。振り抜いたはずの剣に重さは無く、掌のわずかな感覚が剣を持っているという事実を伝える。
「よくやったと褒め称えよう。君の剣は神の体を前に一矢報いたと言えよう。過去盤面中に神に挑んだ誰よりも君は神に手傷を負わせたのだ。」
ボロでは無い。神々しさすら纏ったチェイスが俺を湛えるように左手を掲げる。斬岩剣だったであろう金属片が宙に散り、勝者を讃えるかのように輝く。チェイスは右手を掲げないのでは無い。上腕から半分先が無かった。俺は熱気吹き上げる大地に膝をついた。腕も足も動かない。ひび割れた体からは血が流れ止まる気配も無い。チェイスが左手を振るうと周辺の大地が草生える草原へと変る。先ほどまでの戦闘が無かったかのように全てが修復された。ふと色違いが目立った視線の先には前腕の半分とそこから上腕半分までとバラバラにされた腕が落ちている。
「君たちの最後の呪いが発動し私は一瞬動けなくなった。そして君の攻撃が放たれた瞬間に私も力を完全にした。光に包まれ周囲も見えず何が安全か分らない状態で確実に命を繋ぐため私は君の一撃を防ぐことにした。掲げた手は間に合わず切られ、強化した上腕を切られ、そして強化された体に当たってようやく受け止めたという結果だよ。」
俺は朦朧とした頭でチェイスの経過と祝福を聞く。成果が・・・あった?
「君たち的な感覚なら向こう三千年、私の右手が動くことは無いだろう。困ったことだ。作業効率は半分以上低下することになる。君は不可能を成しとげたと自慢して構わない。被害者である私すら賞賛しよう。」
チェイスは楽しそうに朗々と語る。・・・お前はまだ生きてるじゃ無いか。
「そろそろ時間だね。私は今回のことを深く刻み込み今後の糧としよう。楽しかったよ。また後ほど会おう。」
チェイスは左手を振り上げる。
-神が死ぬには何が必要だと思う?-
-それを探ってるところだったんだけどね。-
-話が難しいか?ならば人はどうしたら死ぬと思う。-
-呼吸が出来なくても、血が流れすぎても、病気でも、それこそ何でも死ぬだろう。-
-では何故それらが発生すると死が訪れる。-
-呼吸ができなくなったら脳に酸素がいかなくなって?血が流れ過ぎても同じか?病気だと要因は様々かも知れないけど・・・-
-おぼろげにでも気がついたか?-
-血流が阻害されると死ぬ?-
-当たらず遠くだな。餓死もすることもあるだろうし、首が折れても死ぬだろう。-
-まあそうだな。-
-神も本質としては変らない。両者ともエネルギーの供給が行われなくなったときに死ぬ。-
-はぁなるほど。-
-ニンゲンなら首が切れれば思考部分にエネルギーが渡らず、体も動かせなくなり即座に死に至るだろう。だが神ならそこから首と体を呼び寄せて結合できる可能性が残る。首に循環器を搭載しておけば首だけでも生きていける可能性がある。-
-それなら頭・・・脳を潰すのが最良ってことか?-
-可能ならそれが最善だな。だが神々はその脳を頭部に持たなかったり、もしくは必要以上に強固に保つ事が多い。-
-そいつは大変だな。-
-思考が止まることこそが神々の死であるからな。-
-それが何に繋がるんだ?-
-神々の癖みたいな話になるな。古参ほどそういう意識に陥りやすい。チェイスも含めてな。-
-で?-
-先ほどの死の前提の話に戻るが、エネルギー供給機関、もしくは循環機関を断つのが通例だ。これらは隠しても戦っている内に体内のエネルギーの流れを探ることで思考機関よりも容易に発見できるからだ。-
-ほう。-
-即ち止めを刺すなら循環機関が狙われやすい。-
-心臓を守れってことか?普通の人間は脳も心臓も位置変更できないけどな。-
-・・・確かにそうだな。無駄話だったようだ。-
-意味が分らん。神を即死させるのに脳か心臓を潰せって言いたいのか?-
-可能ならそれも有りだな。-
-くそっ、明らかに無理だって言われてるのが悔しいっ。-
老人との他愛も無い小話。それを裏付けるようにチェイスは俺の胸をその手で貫いた。何の抵抗もなく鎧も骨も豆腐であるかのようにその手は胸に吸い込まれる。鎧が瓦解しチェイスの手に巻き付く。
「な?これは。」
それは光を放ち今にも爆発しそうな様相で、その光景を俺は消えゆく意識で見守るしか無く。
「消えない?この世界のものでは無いのか。よもやこんな罠が。」
チェイスの姿が消え、支えを無くした俺は力なく仰向けに倒れる。
「デウスエクスマキナ?」
俺の戦いは一矢報いた程度で終わったと力が抜け、風そよぐ気持ちよさに誘われそっと目を閉じた。戦いは終わってしまったのだと嘆きながら。
武器名の間違いを修正




