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俺、始める。

 老人はこちらの手の内を一通り確認した後俺の方を見る。

 

「呼び出すことは出来そうだが、決め手が無いという所だな。」

 

 老人の言葉に俺は頷く。

 

「お前がどう戦いたいかと求める結果にもよるが・・・可能ならば滅神と言ったな?」

 

 老人は俺の意思を確認するように目線を合わせる。俺は頷くしか無い。

 

「器に神の意志が注がれきるのには時間が掛かる。嫌がらせで済ませるなら即器を破壊すれば良いだけの話ではあるが。それすらも達成できれば連中からすれば喝采ものではあるのだがな。」

 

 老人は天井を見て少し笑った。

 

「意思が注がれる過程で器に力が宿りそれが過剰になれば器は崩壊し意思は解放される。神からすれば器に限界は見て分る物だ。すなわち内部から崩壊する際には神には逃げる機会が与えられる。」

 

 老人は再び俺を見る。

 

「外部から破壊する場合も限界は見えるんじゃ無いのか?」

 

 俺には確認する。

 

「当然把握出来る。だがその把握には時間のずれがある。協会での時間はこちらよりずっと早い。盤面世界を把握するという点では圧倒的に有利ではあるが、盤面に影響を受けよう与えようとするときには盤面世界と同じだけ時間が掛かる。」

 

 俺は老人が言ったことを理解しようと努める。

 

「器が壊れそうな情報を受けた時には既に器が壊れている可能性もあるのか。」

 

「そうだ。器に意思を注ぐだけなら簡単な予測が立つ故安全に退避できるが、器が外部からの力で破損する場合は勝手が変ってくる。器から退避の意思を伝えても、協会から退避させようともそこには必ず余分な時間が発生する。簡単な予知を併用するだけでもこの悲劇は比較的簡単に回避できるのだが、ヤツは今を楽しむために先を知ることを嫌う。たとえ不利益を被る可能性があったとしても予知は行わないのが通例だな。」

 

 俺の答えをあらかじめ知っていたかのように、老人はかぶせるように意味を補足する。

 

「お前が成果を大きくしようとするなら可能な限り器に神の意志を注がせてから器を破壊するという作業をせねばならん。当然時間を掛ければ器に降りるチェイスは強くなり作業は困難になるだろう。滅神を狙うならそれこそ全てがそそがれるぎりぎりまで耐えねばならん。」

 

 老人は語る。

 

「鈴はそこまで耐えられるのか?」

 

 そこまで引き延ばす途中で鈴が崩壊しては意味が無い。

 

「強度の方はぎりぎりかと思ってはいたが・・・元々チェイスはこの芯物を利用してこの地に降臨するつもりだったのではないかな。深く見れば見るほど各所に細工を見ることが出来る。従って・・・当然耐えられると考えて良いだろう。それこそ本人がそこに顕現できるほどにな。」

 

 老人はそう答えた。

 

「流石に完全に顕現すれば五分も耐えられんだろうが・・・それでもこの世界においては生きるか死ぬかにおいて恐ろしく長い五分になるだろうがな。」

 

 老人は続ける。

 

「管理者権限か。」

 

 この権限の範囲がどこまで及ぶかである意味やることが変ってくる。

 

「管理者権限だけならもっと前の段階で得ることが出来るだろう。顕現となればこの世界で神の力を十全は無理でも一割と少し発揮できるという段階だな。そもそも顕現など無くても力業だけで世界をどうにか出来る段階だ。もはや勝負だの考えている段階では無い。力の差は歴然でこの世界の全ての力を束にしても抗うことは出来ないだろう。」

 

 老人は絶望を告げる。

 

「管理者権限はこの世界のシステムに自由に干渉出来る権限でしかない。神の力に比べればわずかならがでも行使するまでに時間があり、本来ならば比較するほどの力では無い。しかしこの世界に住む物にしてみれば神の力と大差は無いかもしれん。空を歩くことも、大地を消すことも、魔力も、物も、生き物も、増やす、減らす、上げる、下げる、全てが自在なのだからな。」

 

 老人はそこまで言ってからふと思いついたかのように思案を始める。俺はコンピューターにおけるそれに類似するくらいと思っていたが、世界を管理すると言うことはそういうことなのかとまたひとつ絶望を得る。

 

「やつに障害を与える目的にしても引き延ばしは重要。そしてそれを無用に悟られてはならん。十中八九それが狙いだと悟られても決めの一撃に気がつかれてはならん。明らかに狙いが分れば流石にヤツでも逃げるだろう。ヤツは不測の事態を楽しむが、かといって破滅したい訳では無いはずだ。さじ加減はお前の行動次第ということでもある。」

 

 老人は俺の覚悟を推し量るように視線を強める。

 

「問題無い。こうなったらやりきるしか無いんだからな。」

 

 俺は恐れながらも力強く答える。

 

「心意気だけは買ってやろう。お前は気にいらんだろうが器への仕掛けを施す。数限りなくだ。致死性となる物を乗せられるだけ。ヤツがそれの解除に手間取り一つでも取りこぼせばそれが勝利に繋がるようにな。当然この程度の小細工はヤツも承知の上だろうがな。」

 

 老人は嫌な笑いを浮かべて楽しそうに語る。善意だけではない。老人もまたチェイスへ多くの物を奪われているのだろう。そこには邪悪とも言える意思を感じる。目的が達成できるなら他の物など考慮にすら値しないのだろう。力も知恵も足りない俺にそれを拒否する手立てはあまりなかった。三日ほど掛けて鈴に呪術を仕掛けていく。既知の物もあれば未知のものも。一時的、恒久的に防御が失われる物。ダメージが二倍、三倍となるもの。動けなくなるもの。鈴の許容量がいっぱいになるまでありとあらゆる魔法と呪いを重ねていく。

 

「どれが最後になるかは分らんが、決定的なものを三つ用意した。ヤツが最も警戒するであろう物であり発動即致命的となる[自壊]。防御と動きを失う[無気力]。最後の一撃を放つ必要はあるが味方がいないであろうこの戦いにおいては決定的であるだろう。最後に[断裂]。自壊と似てはいるが内部からの空間攻撃による器の破壊が可能だ。ただし発動から器が全損するまでにいくらかの時間が掛かる。その間に逃げられる可能性はゼロでは無い。どれも隠蔽優先で発動条件は厳しい。チャンスがあれば逃さない事だ。」

 

 老人は鈴を見ながら説明する。

 

「後はお前だな。面白い技術を使っている。」

 

 老人は朱鷺の剣を見る。

 

「物と芯物を繋げ失った物を最行動させる。やや稚拙な面もあるが復活とは違い所持制限を受けないという意味で優秀とも言える。」

 

 老人にしては珍しく手放しで褒められているようにも聞える。

 

「関係性の強い物に関連付けられるのなら・・・お前も考えついてはいるだろうが。意図的に実行しなかった方法があるだろう?」

 

 老人は俺を見て口角を上げる。言いたいことは分るが正直実行することに意味がないからやらなかっただけだ。独立行動出来る事と別の個体であることに意味があると俺自身が思っていたからに他ならない。

 

「俺の体自体に関連付けると言うことだろう?隠匿性は増すが手数を増やすという目的に合致しなかったし、実体化だけ運用するにしても負荷は分散できる方が都合が良かった。」

 

 俺はその答えを告げる。

 

「ふむ。構築過程の問題か、それとももう一つの利点を見いだせなかったか。」

 

 老人は少し答えが違うというように首をかしげる。

 

「己の体に呼び出せるならその力を己に重ねることが出来るようにもなる。これは大きな利点であろう。考えに至らなかったか変換率が問題だったのかもしれんが。」

 

 老人は俺とは別の意図を告げる。

 

「いや、それが出来るとは考えていなかったな。可能なら一時的とはいえかなりの戦力強化を見込める。」

 

 俺は手順ついて考えを巡らせる。

 

「そうか。元々の運用思想の問題であろうな。この方法であればいくらか制限はあるが文字通り今ある力を束にすることが出来る。」

 

 老人は空間に術式を映し出す。俺も神谷さんも新たな術式とあって興味津々に見つめる。しかし早い段階で神谷さんは顔をしかめる。

 

「遊一郎さんは結果的に犠牲になったものを蘇らせた形ですが・・・これは生け贄を前提とする術式ですね。」

 

 神谷さんは読み取りが早く俺よりも早くデメリットについて理解した。

 

「そちらの性格的にも犠牲にしたくないのは山々であろうが、どのみちヤツとの戦いに芯物を連れていっても的にしかならん。逆にそちらに気を取られて失策するくらいなら最初から取り込んで有効に使った方が良かろう。」

 

 老人は問題あるかと言わんばかりに神谷さんに言い放つ。

 

「これだから超越種は・・・我々の心情に配慮はないのですかっ。」

 

 神谷さんが怒声をあげる。しかしその声で逆に俺は冷静になっていく。確かに心情とすれば今まで守ってきた物を自らの手で犠牲にするのは良いとは言いづらい。せいぜい朱鷺と金糸雀くらいかとも思う。術式を精査すれば関連性の強い物品から俺の体へと紐つけ先を変えているに過ぎない。当然システムに関連付けられている体がある以上直接紐つけることは出来ないので術の発動過程で体が失われる形になる。生け贄という言葉も正しいと言える。ステータス的には八割強の値を俺のステータスに純粋加算され、スキルも流用使用出来る点は素晴らしいと言える。

 

「いや、神谷さん・・・その辺で。俺は全てを投げ出す覚悟をした。この術自体を否定する気はもう無いよ。皆の意思は確認するけど。」

 

「遊一郎さん・・・」 


 俺は老人に声を上げる神谷さんをなだめる。

 

「器の話と同じになると思うが・・・これは俺が耐えられるのか?」

 

 鈴、紺を除いて六名分のステータス。合計値で俺よりも若干劣るものの八割の値を受け取れば、五倍に及ぶ数値になるのだ。数値だけで普通に鈴を攻略出来そうに思える数値になる。

 

「全ては流石に無理だろうな。最後の一撃として接続することは選択として有りかもしれんが五秒と持つまい。安全に運用するならせいぜい二つ。リスクを取りながら三つ。それを越えれば体を切り崩しながら戦う事になるだろう。内部で待機させながらその都度接続を切り替えながら運用していくことになるな。」

 

 老人は運用方法について語る。個々が持つ能力にも寄るが選定者の能力が高いとはいえ選択装備無しに五千を越えてステータスを維持するのは現実的では無いという事だ。二人を同時運用するにしても強みを重ね過ぎた運用も身体の崩壊が始まる可能性があるという。朱鷺と蘇芳を重ねればSTRで危険値を超え、桔梗と鶸を重ねれば精神系統のほとんどが危険値を超えてくる。

 

「危険な組み合わせは時間を短くすることだな。六千に迫るようなら直ぐに己の体に違和感を感じるだろう。期間が長かったとは言えよく育った物だ。三つも重ねればリスクどころか崩壊が始まりそうだな。」

 

 老人は俺を褒めているようだが、こっちは悩みどころが多すぎる。

 

「取り合えず皆の意見を聞いてくるよ。」

 

 俺は研究所を離れようとする。

 

「芯物に是非を問うなど意味が無いであろうに。」

 

 老人は歩き出す俺の背中に声を掛ける。

 

「それでも遊一郎さんはそうやってきたんです。」

 

 代弁するかのように神谷さんが言葉を続けた。

 

「それでお前の心がまとまるならそれも良かろう。」

 

 システムを知る老人には答えがはっきり分っているのだろう。それでも俺は皆の意思を尊重したかった。研究室を出れば何かを悟ったかのように皆がそろっている。呼び出す手間は省けたが蘇芳までいるのはどうしてかと思う。

 

「招集した覚えはないが・・・」

 

 俺は若干驚きながら鶸を見る。先回りして手を回しそうなのは彼女だ。

 

「あの怪しげな部外者が何をしでかすかわかりませんからね。」

 

 鶸はそっぽを向きながら答える。

 

「まぁ手間が省けたのはいいか。今後の戦いの為に相談をだな・・・」

 

 そう言って俺は話を切り出した。今から始める戦いの目処、そしてそれを補うために皆の力を集める魔法を使うこと。

 

「良いでは無いですか。流石に今回ばかりは待機も仕方なしといった所でしたが、ご一緒できるなら是非も無し。」

 

 菫は意思だけでも参加できるならと前のめり。

 

「死ぬまでご一緒できるなら・・・今度こそ・・・」

 

 桔梗は大分病んでた。

 

「私はよわっちぃし・・・役に立たないかもしれないけど、それでも一緒にいけるならっ。」

 

 器用に立ち回れるようになった萌黄は決して弱い部類でもないのだが。

 

「可能性を上げるためなら多少のことは。否定する理由が見当たりませんわ。」

 

 鶸もやる気満々だ。

 

「出来れば一緒に参加してみてぇけど・・・鈴相手に力押しだけじゃどうにもならんし。上手く使ってくれよ。」

 

 蘇芳は多少イライラしているように足先でぺたぺた地面を叩いているが、どうにも尻尾を振る犬のように見えなくも無い。

 

「今更考えすぎですえ。我らは皆ご主人様の為にありますゆえ。」

 

 金糸雀が顕現する。

 

「難しく考えずに、我らの力を存分にお使いください。」

 

 朱鷺も追っかけるように顕現する。発言の為に無駄な時間を消費してと思う半面、例の魔法を使えばその心配も全く意味が無いことに気がつく。

 

「そうだな・・・ここまで丁寧にやってきて最後に投げ出すのもなんなんだが・・・みんなの力・・・貰うぞ。」

 

 俺はそう宣言して準備を進める。理論も術式も提示されており、直ぐに必要な魔法は完成する。拠点の周りで戦うと国が迷惑を被るので南側の森へ移動する。魔法陣を作るのに魔術師を使って更地にする。

 

「あー、なんかどきどきする。」

 

 神谷さんが魔法陣を展開しながらなんとも言えない緊張感で声を出す。ある意味旅の終着点。久しぶりに見込みの低い戦いをする。召喚陣を発動したら神谷さんは盤面を放棄する。逃げる時間も無いしわざわざ点数を減らす必要も無い。藤は拠点の研究所で結果を待っている。もし今回が失敗すればまた人知れず潜伏するつもりのようだ。監視が弱くなる盤面終了後に新たに隠れ家を構築するつもりらしい。その必要が無くなっていればいいが。召喚陣を作り終え、集約陣も完成する。

 

「せいぜい食い下がって冷や汗くらいは掻かせてやってほしいものだな。」

 

 俺達が配置についたところで老人が近づいてきて声を掛ける。そして俺の鎧の胸元に手を添える。

 

「これは餞別だ。多少は防御が増すだろう。」

 

 見知らぬ術式を構築し鎧の形状がわずかに変化する。老人の力に掛かればシステムの魔法など簡単に改変されてしまう。形状変化耐性が形無しだ。

 

「ご老人は今からどうするんだ。」

 

 俺は確認してもいなかった今後を尋ねる。

 

「今の儂は自然現象と同じような物だ。かといって見とがめられれば罰を受ける。起動を見届けたらこの体を解きほぐす。本体が死ぬようなことは無いから心配するな。」

 

 老人が言葉を紡いでいる途中で俺の表情が変化してしまったか、老人は珍しく俺の気を使う。

 

「後はお前の知恵次第だ。我々には到底及ばないだろうが・・・だからこそ見えぬほど小さな穴がある。常識の差とも言うべきかな。助言とも言えぬようなものだが・・・いかんな。思ったより気に入ったようだ。」

 

 老人は笑う。老人は魔力を集め集約陣を起動する。それと共に老人の体が崩れ落ちていく。

 

「お前がダメでも儂らは次の手を探すだけだ。難しく考えるな。気楽にいけ。」

 

 集約陣が輝き菫たちが光に包まれる。

 

「ご主人様ご武運を。」

 

 菫が礼をする。

 

「存分に。」

 

「後悔だけはしないことですわ。」

 

「がんばれ~。」

 

「なんとかなるってよ。」

 

 桔梗、鶸、萌黄、蘇芳の声が続き彼女らの体と朱鷺の琥珀、金糸雀の盾が光に消える。光は魔法陣の導線をたどり俺の中に入る。儀式が終わっても俺の体は何も変らない。各個人を励起させなければ何も起こらないのだ。

 

「遊一郎さん。」

 

 神谷さんが召喚陣に莫大な魔力を込める。

 

「ご主人様の盤面が終わるのは残念ですが・・・貴方がいなければここまでこれてもいないでしょうしね。」

 

 トウが口を開く。突然の奇襲の為に警戒は怠らない。

 

「いけ好かないヤツです。ガツンとやってやってください。」

 

「知ってるよ。」

 

 クロが拳を突き出す。俺は拳を出して答える。

 

「最初は酷いヤツだと思ったけど、まぁありがと。」

 

 ヨルが小さく声を掛けてくる。

 

「何も考えずぶっ潰せばいいんだよっ。」

 

 ユウはテンション高めだった。そういえばチェイスの気配を読み取る菫とユウの能力は結局ステータスには見えないままだったなと思う。

 

「鈴、最後まで嫌な役どころで済まなかったな。」

 

 俺は陣の中心にいる鈴に声を掛ける。鈴は首を振る。

 

「ご主人様には最初から最後まで気を掛けて頂きました。その信頼を裏切っているときも手放さすに。そして私を解放すらしてくれました。最後の重要な役どころまでお任せ頂けるなど光栄です。」

 

 鈴は頭を下げる。

 

「未来視の映像は不安でしたが、その映像が私自身で無いと分ったことが救いです。ご主人様、栄光への一手を。人になしえぬ神殺しをおつかみください。」

 

 鈴が声を張り上げる。召喚陣に魔力が満ちる。

 

「遊一郎さん・・・勝ってください!」

 

 神谷さんが叫ぶ。俺は手を上げてそれに答える。

 

「私、神谷桐枝は配下と共に盤面の進行を放棄します。」

 

 魔法陣の光が増し、鈴に集約されていく。神谷さん達は光の粒子となって消える。俺は輝きの消えた鈴を見る。

 

「お呼出しに応じてみれば・・・君か。」

 

 鈴の気配が代わり声音は同じでも口調が変る。

 

「分っていて白々しいな。」

 

 俺は剣を抜く。

 

「頻繁に地上も見られなくなったし、予想の一つではあったけど何時かも場所も知らないからね。」

 

 チェイスは答える。

 

「なるほど。校舎裏に呼び出した意味は分るだろう?」

 

 俺は軽口を叩く。

 

「良いね、そういう趣向か。お礼参りと言ったかな?」

 

 チェイスは楽しそうに笑う。鈴の普段からすると大きなギャップがある。

 

「お前をここで・・・討つ。」

 

「どんな手を仕込んだか、どんな方法か、届きうるのか。どれをとっても楽しみでしか無い。さぁ、小さき物よあがいて見せろっ。その一瞬の輝きが我々を楽しませる。」

 

 瞬間的に踏み込み横薙ぎ一閃。チェイスの姿はそこには無い。大きく後方に転移している。俺達の戦いが始まった。

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