長刀鉾
○長刀鉾、車輪下、夜
6人が鉾を見上げている。
役員が一人鉾に登ろうとする。
山本「あの、ちょっとすみません」
原田「一晩中コンチキチンやってるんですか?」
役員「そんな事ありません。12時になったら皆帰ります」
山本「どうも」
役員、上に上がる。
警察の警備がついている。
原田「どうやって消すんやろう?」
山本「さっぱり分からん?明日宵山やから、やるとしたら
今晩か明日の晩。明日は朝まで見張っててみようか?」
原田「そやな。それしかないな」
コンチキチンが響いている。
宵宵山の夜が更けていく。
○原田のアパート、内
6人がいる。
山本「連中がやるとしたら明け方の3時から5時までの間が
一番可能性大だな」
原田「そや、町明かりが暗うなって車も人も極端に減って
長刀鉾は無防備になる」
木村「もうその時しかないね」
高田「そや、今日宵山で明日は山鉾巡行やし、今夜しかない」
亜紀「でも、どうやって見張るの?」
山本「それなんだよな」
太一「あすこは?大きなゴミ箱あったよね」
原田「たしかに。だけど小さいよ」
山本「まてよ。太一と亜紀と交替で見張って我々は車で
待機ってのはどうだ?」
木村「それ、それでいきましょう!」
皆、うなづく。
○京都府警本部、玄関
○同、本部長室、内
山本本部長と出羽、亀山がいる。
出羽「というわけで、鉾の役員は
いたずらだと決め付けております」
本部長「ふむ。私は間違いなく明日未明か山鉾巡行
の最中にでも何かが起こると思うが?」
亀山「巡行中はすごい人なので多分明日未明が
一番可能性が高いと思われます」
本部長「ふむ、見張るか?」
亀山「長刀鉾のちょうど向かい側のあたりで未明まで?」
出羽「ホームレスの格好をして見張って見ますわ」
本部長「よし分かった、そうしてみてくれ。わたしもずっと
ここにいるから何かあったらすぐに電話してくれ」
出羽と亀山「は、了解しました」
二人、本部長に敬礼する。
本部長、うなづきながら返礼する。