宵宵山
○同、建て屋、外
忍者が1人、カセットを入れる。
コンチキチンの音が聞こえる。
クレーンが動き山車の四方が垂れ幕で覆われる。
垂れ幕は長刀鉾の原寸大の絵である。
大型トレーラーが現れ長刀鉾の絵に包まれた山車を
クレーンがトレーラーに引き揚げる。
変面が現れる。一味が整列する。
一味は50人ほど。黒と赤の忍者姿である。
変面「準備は整った!」
一味全員「オーッ!」
変面「レッツゴー!ヘンメーン!」
一味全員「ヘンメーン!」
変面、白馬にまたがる。
クレーン車とトレーラーが続く。
忍者達が前後を綱で引っ張っている。
一味全員「(ゆっくり)エッサーホイサーエッサーホイサー」
○山道、夕
ゆっくりと山道を下る変面一味の姿。
○四条通、夕
宵宵山の人波。
長刀鉾。コンチキチンの音。
夜店。浴衣の人々。
○同、室町通、夕
すごい人波。たくさんの夜店。
蟷螂鉾。
○同、長刀鉾前、夜
すごい人波。
出羽と亀山の姿が見える。
長刀鉾。コンチキチンの音。
山車の上で演奏している。
長い引き手棒が固定されている。
出羽、大車輪の脇で上を見上げながら、
出羽「この調子じゃどうやってこの長刀鉾を
消すのかさっぱり分からん?」
亀山「そうですね。トンネルは掘れへんやろし。
夜通し人は多いやろし」
出羽「そうやなあ?」
上から役員らしき人が下りてくる。
出羽「あ、ちょっとすみません。役員の方ですか?」
役員「そうですが」
出羽「私、こういう者です」
出羽、警察手帳を見せる。
役員「はあ、警察の方が何か?」
出羽、手紙のコピーを見せる。
出羽「実はこんな手紙がきとりまして」
役員、ちらと文面を見て、
役員「ああこれ。八坂神社の総代会でいうとり
ましたが、いたずらやと思うけど一応注意
しといてくださいとのことでした」
出羽「ま、府警からも警備にはつきますが、不審者
等ありましたらどんな小さなことでも警察に」
役員「はあ、おおきに。ありがとうさんです」
役員、礼をして去っていく。
出羽「今でも火炎瓶とか投石とかの脅しが結構あるらしい」
亀山「変なやつは今も昔も必ずいますからね」
出羽「そや、みなめだちたがりや」
亀山「変面もそうですかね?」
出羽「その際たるものや!」
○室町、蟷螂鉾、夜
人波。浴衣。夜店。
浴衣姿の6人がいる。
山本があっちを指差す。
皆がそっちへ歩みだす。