表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
9/46

新天地へと


これからの仕事をどうするか


僕は迷いに迷った。


思春期に突入する小学校6年の息子に


ボケ始めた母と二人きりの時間を増やすのは


大変だしいろいろな危険が伴う。


正直レストランから再び料理長でと言う話は


定期的に頂いていた。


でも土曜日曜日は絶対に休むことは不可能で


そうすると学校が休みの週末は息子と母とを


ずっと一緒に過ごさせることになる。


そこで僕はビジネス街か新地ら辺の


なるべく日曜日を休めやすいお店を


情報誌からピックアップした。


何店か印をつけた中、最初に電話したのは


お梅田に新しくオープンする個室居酒屋だった。


週3からでも大丈夫と書いてあったし


せめて週4働けたら母と息子の生活は


なんとかなるだろうと思ったからだ。


そしてなにより今までずっと一番長で


やっていたので


既存のお店に入るよりは


誰もが一からスタートのお店の方が


気持ち的に楽だろうと考えたのが本音だった。


早速電話をして面接日が決まった。


その頃、母は毎日2時間ほど散歩をして


いろいろな物を拾ってくるようになっていた。


特にペットボトルと鳩の羽根に執着を持ち


拾ってきては綺麗に部屋に並べていた。


洗濯は少しずつ出来なくなってきていた。


変わらず畳む綺麗さとか


アイロンは上手かったのだが、


洗濯機の中の物が洗濯し終わったやつか


まだなのかの判断がつかなくなっていて


何回も僕がやり直す羽目になった。


気苦労とストレスから90kgまで体重は増え


正直何度も徘徊したまま


消えて欲しいとも思った。


だが時折見せる以前の母としての表情に


まだ希望を捨て切れずにいた。


もしかしたら昔の母に


急に戻るかもしれないと。


そしていよいよ面接の日が来た。


僕は太って着にくくなったスーツに


なんとか身を包み電車に乗った。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ