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母の生きた道



母は元々名古屋出身である。


13歳の時に大阪の叔母の元へと


養女に出された。


叔母は当時有名だった花街の


大きな座敷の女将さんだった。


母はそこで一人前の芸者になる為に修行した。


肉親の家といっても芸事にそれは関係ない。


玄関先のちゃぶ台で使用人と一緒に食事をし


ひたすら唄と三味線と踊りの稽古をした。


しかし辛い事ばかりではなかった。


叔母の旦那さんがこれからの女は


学力がなければいけないと


その当時では珍しく高校に通わせてくれた。


そんな忙しながらも充実した生活が続いた頃


空襲で全て焼けた。


なんとか生き延びたが


そのまま母は軍の繊維工場で


兵隊さんの衣服を作った。


やがて大阪の空襲が終わった頃


叔母の旦那さんが出兵した。


置き土産に今に換算すると数千万円のお金を


叔母に預けた。叔母はそのお金で


終戦直後の焼け野原に土地を買い


座敷を再開させた。


母は一生懸命に修行をし


やがて一人前の芸者となった。


母の昔話を聞きながら


僕はなんとなく気になってこう聞いた


「なんで結婚せーへんかったん?」


母は当時を振り返りこう語った


「芸者は恋をしたらあかん。


立派ないい旦那さんに付いてもらって


稼ぐんが一人前の芸者っていう証しやってん」


「じゃ恋愛した事ないの?」


と僕は聞いた。


母は「ない」きっぱりと言い切った。


そしてこう続けた


「そやから、お父さんが初恋の人やねん…」


僕はその言葉に感動した。


そしてなんとなく優しい気持ちになれた。


母と父のずっと繋がる物語

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