唐突な別れ
福島区の病院に移った母は不安からか
夜中に手すりを伝い病院内を頻繁に
徘徊するようになった。
余りにも毎日なので看護師さんから
拘束許可もお願いされた。
寝静まってからならと
仕方なく要求を受け入れ
怪我をするよりはと思っていたところ
日中のお昼ご飯のあと
看護師さんが目を離した隙に
ベッドに立ち上がろうとし転落した。
リハビリでもしかしたら
歩けるようになるかもという矢先
もう片方の大腿骨骨折
母はもう自力では歩けない体になった。
茫然自失とはまさにこの事だと思った。
この先を考えると共倒れになるのは
目に見えた結果だった。
僕は最後に母を小さい頃
よく連れて行ってもらった
思い出の大阪城に連れていき
その後に心中しようと決意した。
そして次の日
僕は明後日に迫った日曜日
つまり(その日)を漠然と思い浮かべながら
ディナーの準備をしていた。
電話が鳴って取るとそれは親身になって
僕たち親子をケアしてきてくれていた
西区役所の保険福祉センターの方だった。
矢継ぎ早に伝えられる言葉
「お母さんを退院させました!
今から要介護老人ホームに入所させます!」
いきなりのことに僕は思わず
「それって勝手に決めることなんですか!
横暴じゃないですか!」
と食って掛かった。
「横暴とは思いません‼」
確固たる意思が伝わる一言だった。
こうして僕の3年半に渡る自宅介護は
突然幕を閉じた。




