表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
13/46

進行



ある日の休日


少し寝坊をしてキッチンに降りていった


僕の目に飛び込んできたのは


異様な母の光景だった。


母は1kgある上白糖の袋を全て鍋に溶かし


水で薄めて飲んでいた。


「何してんの?!そんなん一気に飲んだら


倒れるで!」


驚いてやめさせようとする僕に母は


「なんで?だってこれ美味しいねん


はよご飯ちょうだい」


と少し急かすように怪訝そうに言った。


その日は肉じゃがを作るつもりだった僕は


母が飲んで無くなってしまった上白糖を


スーパーまで買いに行った。


家に戻ると今度はポン酢を一気飲みする母を


必死に止めた。


「すぐに作るから!向こう行ってて!」


少し言葉を荒げて僕が言うと


母はブツブツ文句を言いながら居間に座った。


肉じゃがを完成させ蓋をして


僕はやっとお風呂に入った。


髪を乾かしながらキッチンに行くと


大鍋で炊いた5kgはあろうかという


肉じゃが全てを母は平らげていた。


「お母さん!これ今日の1日分!


優希の分もあるんやで!」


僕は穏やかに母に伝えることは出来なかった。


母は怯え大声で泣くとまたすぐに機嫌が戻り


僕に聞いてきた。


「なあなあ今日のご飯何?」


僕は言葉を失った。


その日から母が飲んだり食べたりしないよう


全ての調味料を処分して


包丁や洗剤などを危ないものを捨てた。


家で一切料理が出来なくなり


育ち盛りの優希にも


何度食べても満腹感の無い母にも


スーパーやコンビニで買った弁当を


買い与えるようになった。


同時に家計を考えて


なんとかお金を稼がないとと


心の焦りを覚えた。


息子が中学二年に上がる春先のことだった。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ