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2年8組物語  作者: 比留川あたる
ゴールデンウィーク編
17/19

第十六話:パソコン購入記(前編)

 突然だが、僕は今――インターネットにハマっている。小学校の時、視聴覚室にパソコンが導入されてから定期的にパソコンの授業がされ、中学一年生の時には近所の公民館、友人の家などでパソコンを触らせてもらい、その時にインターネットの楽しさを肌で味わってしまった。

 遠くにいる目に見えない誰かとキーボードで打った文字を通じての交流に魅力を感じたり、検索サイトで検索したいキーワードを打ち込むとその内容にあったサイトが出てくることに僕は感動し、暇さえあればパソコンでインターネットを楽しんでいた。


 近所の公民館で朝早くやってきてはパソコンを付け、夕方の公民館が閉館になるまでパソコンを弄り倒す。いつの間にか僕のキーボードを打つ速さは格段に速くなっていた。

 だがしかし、いつの日か僕の友人も一緒に公民館でインターネットをやっていた時、友人がコンピュータウイルスを入れてしまったのだ。多分いかがわしいサイトでも見てしまったのだろう。そこからパソコンが壊れてしまったのだった。公民館の人は弁償しなくていいよと優しく声をかけてくれたのだが、僕は自責の念から公民館を去ることにした。


 そして次に僕がアテにしたのは別の友人の家に遊びに行った時にインターネットが繋がるパソコンが置いてあった時にやらせてもらうことだった。その時は僕の他に数名友人が来ていて、みんなテレビゲームに熱中していたが、僕だけはパソコンの画面に向かいインターネットに勤しんでいた。

 しかしある日、友人の家のパソコンが壊れてしまった。僕が触ってた後に壊れたらしい。なので真っ先に僕が疑われ、僕が壊したこととなってしまい、友人の家に出入り禁止を食らうことになってしまったのだ。


 以上二つのことからわかるように、繰り返すが僕は今凄くインターネットにハマっている。それはもう中毒といっても過言では無いほどに。僕の家にパソコンが置いていないのが悔しいくらいだ。でも周りの施設やパソコンを所有している家にはもう行けないだろう。こんなことがあったのだ、僕自身反省してインターネットは当分やめ――られなかった。


 僕は特に『ぱどタウン』という自分自身の架空の部屋を持ち、そこからくる訪問者の書き込みや逆に僕が他の住人の部屋で書き込みを行うということを楽しんでいたのだが、インターネットをしていない間、僕の部屋でどんな人が訪問し、書き込みをしているのか早く知りたかったのだ。だから出来ない間はウズウズし、授業中でもそのことばかり考えていた時もあった。

 そしてこの間、教室内で友人と話している時こんな事を聞いてしまったのである。


「――なあ、この学校の近くにジョーシンあるだろ? あそこのパソコン売り場で一台だけインターネットに繋がってるパソコンがあるんだぜ」


 僕はその情報に飛びついてしまったのだ。実際には飛びついてはいないが、平静を保ちつつ、心のなかでは大きく躍動していたのである。僕の次の出向先が決まった。そう思えたのだ。

 そしてその日の放課後、一度家に帰って着替える時間も惜しかったので、制服のまま早速学校近くのジョーシンに行ってみることにした。ジョーシンというのは全国展開されている家電量販店のことでよくCMにも出てくる店だ。


 ジョーシンに入店後、他の家電製品に目もくれずパソコン売り場を目指すため速歩きで店舗を練り歩く。そして視界に据え置き型のパソコン――デスクトップ型パソコンとノート型のパソコンが見えてきた。だけど陳列棚には一杯パソコンが並んでいるがどれがインターネットが使えるものなのか全くわからなかった。試しに一台インターネットに繋げてみるが案の定繋がってくれない。これはハズレか。


 結局横一列にならんだデスクトップパソコンを一つずつチェックしていくがどれも繋がらなかった。友人の言っていたことは嘘だったのだろうか……

 そう思い、帰ろうか悩んでいるときのことだった。



――見つけた。



 パソコン売り場の中心付近に大きく『ADSL体験してみませんか』という文字が書かれた看板が置かれており、そこには一台のデスクトップパソコンが配置されていた。

 もしかしてこれがそうなのか? 僕は半信半疑でそのパソコンに触り、インターネットを起動してみる。すると見慣れた検索サイトに繋がった。これが友人が言っていたインターネットに繋がっているパソコンに違いない。そう思ったのだ。


 僕は早速、禁断症状から解き放たれたような勢いでキーボードを打ち込み、ぱどタウンの僕の部屋にアクセスする。何件か未読の書き込みがあった。そうそうこれこれ、この感覚だよ、なんというかこの瞬間、乾ききった僕の心が満たされるのを感じていたのだった。

 それから十分は経過しただろうか、ひたすらに新規書き込みと自室訪問者の対応を行っていた時、背後に気配を感じ取ったのだった。


「あのー……」

「――!?」


 男性の店員さんが声をかけてきた。若干困り顔のような、そんな顔にも見えるが、今いいところだからあまり邪魔して欲しくなかったんだよなあ。


「ADSLどうですか? 速いでしょ。ご契約を検討されていますか?」


 面倒なことになってきたな。僕はただインターネットがやりたいだけで、ADSLとかには全く興味がないわけだが……この店員も薄々わかってそうだが、この『ADSL体験コーナー』にいる以上、営業をしないわけにもいかないのだろう。そして遠回しに『早く終われ』と言っているようにも感じられる。

 完全に冷やかしとなっている存在なのは重々承知しているが、こんな中途半端な状態で終わることが出来ないのでここはとりあえす適当に返して店員には退散してもらうしかない。


「ああ、えっと、まだよく使ってみないとわからないので、もうちょっと使ってみてもいいですかね」

「わかりました。何かありましたらお声掛けください」

「はい」


 ニコニコしながら店員に白々しく話した。我ながら酷い三文芝居だ。でも店員は問い詰めるわけにもいかないのだろう、僕の言葉を信じて一旦その場を離れたのだった。やったぜ、これで続きができる――と思ったのだが。


「あれっ」


 急に画面が動かなくなった。そしてしばらくするとなんと『ページが表示できません』の文字が出てぱどタウンどころか、どのサイトにも行けなくなってしまったのだ。

 その瞬間僕は察した。――店員、回線切ったなと。

 こうなってしまっては仕方がないのでこの場を離れるしか無い。そう思い、僕はパソコン売り場から早々と離れ、店を後にした。

 それにしてもまだ中途半端にしか返せてなかったので体がムズムズとしている。だがしかし、この店で何度もこんなことをやっていると完全に目をつけられて最悪出入り禁止にもなりかねない。さて、どうするか……


 やっぱり、あれしかないか――


2004年当時、パソコンはADSLの時代でしたね。今ではすっかり光回線ばかりになってしまってますが。

ぱどタウンに関しては今にして思えばSNSの走りだったなあと。そして一日中やってましたね。そしていつの間にかやらなくなって、大人になって見てみるとちょうどサービスが終了する寸前でした。

サービスが終了する前に、やっていた頃の自室があった場所に行ってみたりしましたが流石に家が無くなってましたね。それでも何丁目の何番地かまでしっかり覚えてる辺り当時凄くやり込んでたんだなと我ながら思ってしまいました。


さて、ゴールデンウィーク編2つ目はパソコン購入記となり、原塚のこのインターネット熱が一体どのように向かうのか。後編をお楽しみに

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