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働き者の死神

作者: 南 睦

 ある所にとても働き者の死神がいました。


 人や動物は死んでしまうと魂が体から離れます。その魂はふわりふわりと漂うので、放っておくと何処かへ行ってしまうのです。


 死神はそんな魂をちゃんと冥府へ送る仕事なのです。因みに直接手を下して魂を刈り取る。だなんて事はしません。


 今日も死体の傍に降り立ち、漂う魂にひょいと鎌を引っ掛けて回収します。回収した魂は懐にすぽっと入れとけばいつの間にか冥府に送られているのでとても楽です。


 ひょい。すぽっ。


 ひょい。すぽっ。


 ひょい。すぽっ。


 効率よく、手際よく回収していきます。


 ひょい。すぽっ。


 ひょい。すぽっ。


 ひょい。すぽっ。


 いつでもどこでも誰かが死んでしまうから、死神に定時なんてありません。休暇もありません。


 でも、疲れも空腹も死神には無縁なので辛くはなかったのです。


 ひょい。すぽっ。


 ひょい。すぽっ。


 ひょい。すぽっ。


 ある日、働き者の死神は冥府の神様に褒められました。


「本当によくやってくれてるね。君みたいな働き者は珍しいよ。人間だった頃はどんな仕事をやっていたんだい?」


 死神はこう答えました。


「冥府に送られた時の私の魂はボロボロだったらしいので記憶が曖昧なんですよ。でも、この前飛び降り自殺したサラリーマンの顔に少し見憶えがあったので、もしかしたら同僚だったかもしれませんね」


 それを聞いた冥府の神様は言いました。


「そうか。じゃあその魂も死神候補にしておくよ。また一緒に働けるな」

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