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バイト先で金髪悪魔幼女とかを相手している俺ですが、それでも普通な人生を過ごしたい  作者: 天近嘉人
跳んで泳いで夏の海

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鮫と恐竜とスク水と焼きそば

 マスターの水着お披露目会が終わり、俺も海の家の設営大方片がついた。


 時刻は恐らく朝の九時手前。ここで恐らくと言ったのは地獄での時間が人間界と同じかは分からないからで、俺がつけて着た安物の腕時計が指した時間読んでいる。


 俺は額から垂れた一筋の汗を拭い、海を眺める。


 海は姿こそ人間界の物とは真逆だが、果てしなく広がる水平線を眺めるとなんだが清々しい気分になるな。


 そんな海を眺めていると海から何かがポツリと姿を現す。


 俺は凝視してそれを見ると、三角のフラッグのようなものが浮かんでいるのだ。


 あれってもしかして鮫とかジョーンズとか言われる生き物なんじゃ……。絶対そうだよな?あの三角は鱶鰭(ふかひれ)とか言って金持ちのお偉いさんがよく食べるあれだよな?


 この海、どうやらかなりデンジャラスのようだ。さっきの俺の清々しさを返せ。


 そんな事を考えていると。


 「グエェエエエエ!!!」


 空からなにやら聞いたことのない生き物の絶叫が聞こえる。


 上を見れば先ほどから空を飛んでいたプテラノドンのような姿をしている奴が急加速で鮫の元へ降りている。


 そして、鋭い爪を持つ二本の足でがっちり掴み、再び上昇。五メートル弱はあるであろう巨体を持ちながら恐竜は何処かへ飛び去っていった。


 ……ここはジュラシックパークですか?


 来て早々もう帰りたいんですけど。


 そんなことを考えながら弱肉強食の世界を見ていると。隣にマスターがやってきて。


 「ふむ。どうやらこちらの準備は整ったようだな」


 「まぁ一応出来ましたけど、本当にお客さんなんて来るんですかこの海」


 「そこは心配ない。ここは地獄でも人気の高い遊泳地だからな。もう直ぐ沢山の悪魔が遊びにくる頃だ」


 マスターは腰に手をやりながら言った。スクール水着で浮き彫りになった幼女体型のボディーラインが目立つ。


 その視線に気がついたのか、マスターが俺の方を向いて、ニヤリと口角を上げてから。


 「やはり多田君もこういう格好が好みなんだな。ほら、サービスだ。もっと見てもいいんだぞ」


 「……マスターの水着姿なんてみても嬉しくないです」


 「ふむ、そうか。男と言うのはチラリズムに魅力を感じると聞いていたが……」


 そんなくだらないことを言った後、チラリと胸元を指で摘み、広げる。


 「マスター。あまり自分の身体を安売りするもんじゃないですよ。」


 「君は中々つれないな。まぁおふざけはこの辺にしておいて少しついてきたまえ。店の内装も手伝っておらうからな」


 そう言って人足先に海の家に戻るマスター。


 俺もマスターの背中を追うようについていく。その時に可愛らしいお尻と食い込んだ太ももに目がいったが直ぐ視線を離した。


 チラリズムという言葉も当てにはなっているかもな。なんてくだらないことを考えてしまったので俺は自分の頬を叩いた。


 

 内装も準備が出来て、店として活用できそうになったところで段々とこのビーチにも悪魔の声がちらほら聞こえるようになって来た。


 本当にこんな所に来るんだな。悪魔の神経を疑う。


 俺はカウンターへと行き、客が来るのを待つ。何時ものカウンターとは作りがショボいが、それでもカウンターにつくと落ち着く自分がいて、少し驚いた。


 そんな所に。


 「おい兄ちゃん。焼きそば二つ」


 本日一人目の客がやってきた。蛇のような爬虫類型の顔つきで全身が鱗で覆われている男だ。一人でやってきたのに二つ頼む辺り、どうやら使いぱしりにされているのだろう。


 「マスター、焼きそば二つ入りました」


 俺は奥にいるマスターに注文を伝える。


 「分かった。少し待っていろ」


 マスターが鉄板の前に立ち、ヘラを両手で持つ。


 そういえばマスターは焼きそばなんて作れるのだろうか。


 ボーっとマスターの作業風景を見ていると、まずボウルに入った焼きそばの麺をよく(ほぐ)してからラードを熱した鉄板に入れた。


 次に恐らく豚肉を投入し、炒める。豚肉の色が変わってきたらヘラを器用に使い、一口大にスライス。その上にキャベツを加えそれも炒めた。


 炒めたものを一箇所に集め、麺を被せる。その上にウスターソースを垂らし全体に浸透させるように混ぜ合わせる。


 ソースの香りと焼けた豚肉の香りが鼻腔を刺し、空腹へと誘う。昼は俺も焼きそばにしよう。


 全体的に火が通るようにかき混ぜた後、鉄板の上に更にソースを垂らし始める。そのソースがふつふつと音を立てて沸騰し始めたのを確認した後一気に麺と絡み合ううように混ぜ合わせた。


 混ぜ合わせたそれを紙皿に移し、最後に上から青海苔をかけて完成だ。


 「ほら。出来たぞ」


 マスターから焼きそばを受け取る。持っている手には出来立てアツアツの焼きそばの熱が伝わり、目には見た目も完璧な焼きそばがドアップで映し出され、更に空腹になってきた。


 俺はそれを男に渡し、お会計を済ませる。


 「マスター、凄いですね。焼きそばも作れるなんて」


 「私を誰だと思っている?このくらい出来て当然だろう?」


 マスターの器用さには正直尊敬するし凄いと思う。


 ただ、スク水姿で言われてもなぁ……。

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