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バイト先で金髪悪魔幼女とかを相手している俺ですが、それでも普通な人生を過ごしたい  作者: 天近嘉人
跳んで泳いで夏の海

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ベリルちゃんのドキドキファッションショー

 俺とマスターは誰もいない砂浜を歩く。


 そのまま普通のスニーカーで歩いているので砂が靴の中に入って、歩くたびにじゃりじゃりと嫌な感触が伝わる。


 こんなことになるなら出発する前に履き替えておけばよかったな。


 そのまま歩くこと幾分。目の前に見えてくるのは木材で出来た簡易的な家とは言えない建物だ。


 「あの。マスター。ここは?」


 先頭を歩くマスターに尋ねる。


 「ああ。ここが私達の目的地であり、今日と明日職場となる場所だ」


 マスターの返答にイマイチ納得がいかない。ここで一体何をするのだろうか。


 そのままマスターについていき、俺達は建物の正面に立つ。


 建物はボロく、まるで三匹の子豚で出てきた木造の家のようだ。狼の息で吹き飛ばされはしないだろうが強風が来れば壊れそう。


 その建物には一枚一枚色の違うパネルが貼ってあり、そこには何か文字が書いてあるが風化しているのと日本語ではないようで俺には解読出来なかった。


 「さて。では早速開店準備といこうか。まだ備品が壊れてないことを祈って」


 「あの、マスター。俺未だに分からないんですけど。そろそろ教えてくださいよ」


 俺が再度尋ねるとマスターはふむと一泊間を置いてから。


 「遊泳地にポツリとある家、これだけ言えば君のような阿呆でも分かるだろ?」


 海に家か。海に家。


 それってもしかして。


 「……まさか、『海の家』ですか」


 「そういうことだ。この二日間はバーではなく、海の家の店主になるな」




 俺は開店準備として海の家の辺りにパラソルとテーブル、椅子などを設置していく。


 話によるとここは元々マスターの古い友人が経営していたらしく、もう廃業したがこうして残った建物を貸して貰ったらしい。


 パラソルを開いて見ると所々虫食いのように穴が開いてあり、太陽の光が差し込む。


 こんなボロボロな店に果たして客が来るのだろうか。


 疑問と不安を胸に抱えながらも設営していると。


 「多田君。少し来たまえ」


 マスターから呼び出しを受け一旦手を止めてマスターの方へ行ってみると。


 「あの、マスター?」


 そこに立っていたマスターは先ほど来ていたワンピースからビキニに着替えていた。


 「どうだ?多田君。この完璧なプロポーションは。これで店に来た飢えてる男共を悩殺して金を搾り取る作戦なのだが」


 「ああ。えーっとそうですね……」


 黒を基調としたビキニでこれもマスターの趣味であろうフリル付きの可愛らしい水着姿だ。


 マスターは自信満々にポージングを取り、その場で一回転する。フリルが風でなびき、ゆらゆらと揺れた。


 「ふふっどうだ?可愛いだろ?」


 まな板のようにペタンコな胸に決して太っているわけではなく健康的な肉づきのお腹。おへそもワンポイントと言えよう。そして細い素足。


 ……まぁ可愛いのは認めるが、それで男共を悩殺出来るかは別の話だ。国ヶ咲辺りのロリコンなら悩殺出来るかもしれないが。


 「どうした?固まって。もしや私にメロメロになったか?」


 「はいはいそうですね。可愛いですよ。んじゃ俺はまだ設営しなきゃなんで」


 「そうだろう。私は可愛いからな。おっとそうだ。もう一着あるのだがそれも見てもらおうか」


 そう言ってマスターは家に戻る。なんで俺がマスターのファッションショーに付き合わなくてはならないのか。


 「待たせたな。多田君」


 家からひょっこりと顔だけ覗かすマスター。


 「……早く見せて下さいよ」


 「まぁ。そう急ぐな。急かす男はモテないぞ」


 俺は水着が見たいから急かしている訳ではなく、仕事に戻りたいからなんだが。


 「……ではお披露目といこうじゃないか」


 マスターがジャンプして全体像を表す。


 俺はその姿に思わず顔をしかめ、顳顬(こめかみ)を押さえた。


 「日本ではこの水着を可愛い女が着ると男共が喜ぶと聞いてな。通販であらかじめ購入していたのだよ」


 「あはは……」


 俺は楽しそうな顔をしているマスターに対して乾いた笑いしか出なかった。


 マスターが着ているのは所謂スクール水着という奴だ。しかも旧式の奴。そんなの今時の女児は着ないしアダルトビデオでしか見ない品物だ。


 いや俺がその手のアダルトビデオが好きな訳ではないが。


 ぴったり密着した水着がマスターのボディーラインをくっきりと浮かび上げている。


 だからそんな格好して喜ぶのは国ヶ咲みたいな残念な奴だけだから。


 「どうだろうか、私的にはどちらも捨てがたくて選べん。そこで多田君の意見を聞きたいのだが」


 「そうですね……」


 俺はここで黙り込んだ。別にマスターの水着をどちらにしようかなんて考えているわけでなない。ただ単純に言葉が出ないだけで。


 俺としては本当に心底どうでもいいのだが、選ばないと仕事に戻れないだろうし。


 「……じゃあ一日目はその格好で。二日目は違う水着着ればいいんじゃないですか?」


 適当にそんなことを言った。


 するとマスターは顎に手をやり考える素振りをみせてから。


 「成る程、そういう考えもあるな。ふむ、参考になった。今日はこの水着でいこう。……それにしても多田君の趣味はこっちだなんて案外変態なのかもな」


 「いや選べって言ったのマスターだしっ!なによりマスターも着てる時点で変態じゃないですかっ!」


 「ふふっ冗談だよ。さて、仕事に戻ろうか。私も鉄板を洗わなくてはいけないのでな」


 そう言ってマスターは海の家に戻っていった。


 全く。マスターの趣味には理解出来ないな。

水着をどちらかにするか迷ったので両方採用しました。

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