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プロローグからお仕置きをされている俺ですが、それでも普通の人生を過ごしたい

 Q.幼女の足はどんな匂いなのか?


 人類古くから少女愛というものが存在し、時代背景が違えどまだあどけない少女達を嫁に迎えた偉人達も数多く、近代ではかの有名な喜劇王 チャーリーチャップリンも少女愛者の一人だったという噂がある。


 そして近年、日本でも女児生徒に悪戯をする教師が逮捕されていたりアニメや漫画に登場する少女、幼女キャラクターを『俺の嫁』認定してSNS上で毎日気持ちの悪いことを発信している頭が残念な輩などが後を立たない。


 そんな奴らを総じて世間一般的には『ロリコン』と揶揄したり、自らロリコンと称し自分ヤバイ奴アピールをしたりするのだ。


 俺はそんな奴らに言いたい。まだ子供で、夢と希望に溢れる少女達を性の対象にするのは止めろと。そのキラキラと輝く純粋無垢の瞳を汚してはならないと。つか単純に気持ちが悪い……。


 「――どうだね多田君。踏みつけられ床に這い蹲る気分は」


 そんなことを考えているとマスターが俺の頬を踏みつける力を強めながら何とも言えない優越感から来る笑みを浮かべている。


 綺麗に掃除が行き届いているフローリングの冷たさとマスターの暖かい足の感触を同時に感じ感覚が麻痺しそうだ。ほんと、寒暖差激しすぎて風邪引きそう。


 俺のことを踏みつけているこの金髪幼女は、俺のバイト先であるここBAR『DEVIL』のマスター。名前はベリル。


 何でも地獄からきた悪魔らしく、この街の飲み屋街でひっそりと悪魔の悪魔による悪魔のためのバーを経営している。


 嘘みたいな話だろ? まだ赤いランドセルを背負っていそうな子が酒場を経営しているだとかそもそも地獄、悪魔なんか存在しないだろうとか。……そんなことを思っていた時期が俺にもありました。


 「ほらどうした? 早く感想を述べたまえ。それとも可愛い私に踏まれる快感で何も言えないのか? 君はどうしようもない変態だな」


 マスターは踵をグリグリと俺の頬に食い込ませる。その度に後ろで結った金色の髪が揺れた。


 そもそも何で俺が踏みつけられているのかと言うと事の発端は俺が客にイラついていたことにより視野が狭くなって誤って酒瓶を倒し、割ってしまったからだ。


 いやだって、俺はちゃんとオーダー通り酒を運んだんだよ? それなのにあの顔が三つ並んでいるクソ悪魔が「俺の顔は三つあるんだからちゃんと三杯ずつ持ってこい! そして会計は俺一人分の一杯にしろよ」なんて意味の分からない難癖をつけてきやがったのだ。そりゃあ俺だってキレるよな。


 そういう経緯から今こうしてマスターから『お仕置き』を受けているのだ。俺はこのお仕置きに対しては自分に不備があったので然るべき罰だと思っている。嘘全然そんなこと思ってない。寧ろぶん殴ってやりたい。そんなことをすれば俺の存在がこの世から消えて無くなるのだが。


 クソみたいな客にドSなマスター。こんなバイトとっとと辞めろだなんて思うだろう。俺だって辞めたい。


 しかし。


 「多田君、分かっているとは思うが君の全人権は私が握っているんだ。今ここで君の頭を踏み潰してやってもいいんだぞ」


 そう、バイトの面接時、俺はある『契約』を交わし辞めることが出来ないのだ。


 「……はい、次から気をつけます」


 俺は地面に這い蹲りながらそう言った。


 「分かっているのならそれでいい。さてこんなクソつまらない人間を弄るのも飽きてきたな。もう帰っていいぞ。明日、いや、日付が変わったから今日か。しっかり働いてもらうからな」


 そう言うとマスターは俺の頬から足をどかし、白い無地のソックスとローファーを履く。そして何を言うでもなくカウンターの右奥にある部屋へ入っていった。


 俺は立ち上がり、今は居ないマスターの背中を見つめた。別に怒りで拳を固く握り締めたり歯軋りなんかはしない。


 ただ胸のうちでそっと蝋燭を灯すように俺は再度誓うのだ。


 ――こんなクソバイト先で金髪幼女や悪魔を相手しているが、それでも普通の人生を過ごしたい、と。


 例えクソつまらない人間と言われようが幼女に足蹴にされようがこの信念だけは絶対に曲げたりはしない。



 俺は帰る支度を済まし、玄関の扉を開く。玄関の上部に備え付けられているベルだけが俺に帰りの挨拶をしてくれた。


 





 そういえば冒頭の答えをまだ言ってなかったな。


 Q.幼女の足はどんな匂いなのか?



 A.他の子は知らないがマスターの足はほんの少しだけ柑橘系の良い匂いがしました。

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