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ZB機関

 ーー株式会社ゾンビバスターズ?

その余りに異端な社名に驚きつつ、こんな疑問が頭を過る。


「そんな会社、受けたっけ?」

一昨日面接を受けた会社は警備会社だった筈だ。

ただし、詳細は全く調べずに受けた会社だ。ゾンビの襲撃からの警備でも、警備会社としては一応筋は通っている。

問題は社名だ、これだけインパクトのあるネーミングならいくら馬鹿な俺でも一度見聞きしたら忘れないだろう。


「ひょっとして…」

スマホのカレンダーアプリを起動して、一昨日のスケジュールを再確認する。

そこには『ZB 警備会社 面接』とデジタル文字が俺流の纏め方で書かれていた。


 ーーZB、つまりゾンビバスターズの略か

ZBという凡庸な社名なら就活100社目のベテラン就活生の俺はまず記憶に残さないだろう。

恐らく求人誌でもこの名称で募集を掛けてたに違いない。

これはブラック企業によくあるパターンの求人だ。労基にチクれば確実にアウトだろう。


 …しかし、100社目でようやく取れた内定だ、内定が取り消されても困るし、会社が破綻して俺の就職先が無くなっても困る。

そして何より、ごくごく平凡な無職生活に飽きていた俺の、刺激を欲する本能が過剰な程にフル稼動している。

「これは…人生の転機だ」


 詳細説明の日時はメールに記されていた。

これは、行くしかない!


 そうこう考えてる内に説明当日。

「失礼します」

オフィスの、人事担当が待ち構えているであろう一室にノックをして入る。

ゾンビという得体の知れない、生き物なのかどうかも解らない相手と戦う事が本当にあり得るのか、そんな疑義の念を抱きながら臨む第一歩だ。


「株式会社ゾンビバスターズ、通称ZB機関にようこそ。叶海(カノウミ) 疾(ハヤテ)くん」

人事担当がお決まりの挨拶をする。

そして人事担当は続けざまに語り出したが、あまりに話が長いので割愛して俺なりに纏めてみた。その結果がこれだ。


・当社は依頼を受けてゾンビを討伐しに出向く。

・ゾンビは深夜に、いつどこにでも出現する可能性がある。

・ゾンビ出現は世界中で起こっている現象であり、日本は特にホットゾーンである。

・武器が支給されるので、社員はその武器でゾンビと戦う。

と言ったところだ。


 本当は他にも色々説明されたが、生憎1時間半の話の全てを記憶出来る程俺の頭は大容量では無いので、重要そうな部分だけ抜き出した。

ダークファンタジーなこの説明に俺は胸を躍らせた。


 ーー叶海 疾のゾンビ討伐ライフはここから始まるのだ。

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