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オタマジャクシズ!!!  作者: 三箱
第一章 「初めての部活、初めての舞台」
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『緊急会議』 その1

「カゲル! 説明してくれ!」


 てるやん先輩がもの凄い勢いで顔を近づけてきた。接近しすぎて男特有の汗の臭いが鼻についてくる。強引に両肩を押して引き剥がす。


「カゲル早く説明して!」


 隣のメグまで食い入るように迫ってくる。

 みんな揃ってそんなに近づかないでくれ。


「今言った通りですって」

「そんなんで納得できるか」

「いくらなんでも、ぶっ飛びすぎている」

「さすがの私でもそれはね」


 先輩三人組は、三者三様で納得できずに首を振る。


「私もアニメ好きだけど、現実と二次元の境界が曖昧になるほど、ひどくはない」

「私も信じられないな」

「え。ええっ。消えるって」


 メグリナも信じるわけではない。大介は相変わらず混乱中だ


「わいもボケ入れますけど、そのボケはないですわ」

「カゲル君ふざけていたら、ほんとに怒るよ」

「そんなこと言われても事実は事実ですし……。というかいつの間にいるんですか!」


 オタマジャクシズのメンバーが全員奥に視線を移すと、さも当然の如くさっきまでいたように二人は座っていた。


「えええええええ!」


 全員飛び上がる!


「みな。驚き過ぎとちゃいますか、これでも一緒に協力した仲じゃないですか」

「そうそう。こういうのは多い方がいいじゃない。友達のピンチは私のピンチ」


 切迫した状況なのに、こうも明るく振舞っている。

 こういった裏方が集まるほどのカスミン先輩の友好の広さには感服するしかなかった。


「さあ。カゲル話を続けて」


 視線が一気に集まる。

 それに今いるこの部屋は、カスミンさんとアヤメさんの家の六畳の広さのリビングである。六畳に十人座っている。僕を除いた九人の視線が集まるのはもの凄く重い。


 でも僕の目の前で見たことが嘘だとは思えない。夢だとも思えない。信じられないけど、現実で起きたものだから、どうしようもない。


「だから何度も言っていますが、僕の目の前で消えたんです。僕だって信じられないです。でも本当に本当ですって、光の粒になって消えたんです。それにもし嘘をつくなら、ここまで信じられない嘘をつくと思いますか。もっとみんなが信じるような嘘をつきますって」


 何とか説得しようとするが、みんな腕を組んで「うーん」と唸る。


「僕だって信じられないです。でもそれが事実です。それだけは言えます」


 何度も繰り返して言うしかなかった。

 腕を組んでいたてるやん先輩がゆっくりと口を開く。


「解った。仮にカスミンが本当に消えたとしよう。でもその場合はなんで消えたんだ。それにカスミンは一体何者なんだという問題が出るのだが」

『うーん』


 僕も揃って全員がてるやん先輩の言葉に気がつかされた。


「それって、カスミンが宇宙人ってこと?」


 エリさんがニヒッと笑う。


「いや宇宙人って、ああ宇宙人か」

「宇宙人? ありえます?」

「宇宙人だと面白いね」


 リナは頭を抱えて唸る。てるやん先輩と榊原さんはフムと納得する。


「ちょっと待ってください。なんで宇宙人固定なんですか。宇宙人以外にも考えられるものあリますって」


「そらカゲル君、異星人ってことかいな」

「それ。変わっていないですって」

「だったら未来人とか地底人とか超能力者とかあるじゃん」


 メグが自分の土俵だと言わんばかりに目をキラキラさせている。

 さっきまで現実と二次元の区別がついていると言ったばかりなのに、もうスイッチが入っている。

 真面目な話にならない。

 てるやん先輩が少しまともなこと言ったと思っていたのに、頭に血が上る。


「違います! カスミン先輩の正体が何なのかではなくて、この後どうするんですか!」


 みんなが無言になる。

 当然すぐに答えが出るわけがない。今回相手にしているのは、現実ではなく非現実なのだから……。

 正直混乱している。

 だって今、全くわかっていないから。


「ごめん。ちょっと調子に乗りすぎた」


 エリ先輩が静かに頭を下げた。

 隣にいるてるやん先輩が、フーっと長い溜息をついて、虚空を見つめるように呟く。


「空気的に明るくしようと思ったが、流石に今回はそういう訳にはいかないか」


 一応場はわかっているつもりみたいだ。


「こんな状況なんて、空元気出しても、無理があるかな」


 榊原さんはこめかみをさすりながら俯いたままだ。

 こんな異常状態で皆、混乱に陥っていた。

もう少しで第一章終了です。頑張ります!

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