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本の魔術師  作者: 桐生紅牙
幼少期
6/6

第6話

 

 心臓の辺りに意識を向けると、前の世界では感じなかった違和感がある。


(アリア、これが魔力か?)


『そうです、ご主人様』


 体の中から何かが沸き上がって来るように感じる。

 前の世界では無い感覚だな。


(次はどうすれば良い?)


『感じる魔力を体の中で循環させる様に意識してください』


 循環……循環……循環……。

 上手く循環させる事が出来ない。

 もう一度。


 …………


 ………………


 ……………………


『ご主人様、イメージすることが大事です。例えば、心臓から送り出された血液が体をめぐるように』


 上手く循環していない魔力を感じてか、アリアがアドバイスをしてくれる。


 心臓と血液。

 沸き上がる魔力が血液と共に身体中を巡り戻ってくる様に意識する。

 循環……循環……循環……。

 少しずつ魔力が動きだし、俺の体を巡り始める。


『その調子ですご主人様。次に進む為にはもっと速く淀み無く、意識せずとも循環出来るようにならなければなりません』


(分かった)


 その日はずっと魔力を循環させるだけで終わった。




~3日後~


「ジーク様、今日も大変可愛らしいですね」


「あー」


 俺はなんとかメイド(乳母?)さんに返事をする。


「あぁ、なんて可愛らしいのでしょうか。このままお兄様方には似ないで成長してもらいたいものです」


「うー」


 笑顔で返事をするとメイドさんが悶え出した。

 暫く悶え続けていたが、お仕事をしてきますと言って部屋を出ていった。

 なかなか個性的な人である。



 今日で転生して意識が戻ってから3日経ったが、初日に両親が来た以外は部屋には俺の世話をするメイドさんしか来ていない。

 その事を疑問に思ったが、今も疑問に思ったままである。

 何故ならメイドさんは俺に色々と話し掛けて来るが疑問に思っている事は話さないし、まだ俺は話す事が出来ず「あー」とか「うー」しか返事が出来ないので俺から聞くことも出来ない。

 まぁ、疑問の答えはその内分かると思うので、今日も魔力の循環を始めますか。

 

 体の中で魔力を循環させる。

 始めた頃とは比べ物にならない程に上手くなっていると思う。

 体の隅々まで魔力が行き渡り、滞る事は無い。

 一度循環させ始めれば、意識せずとも循環している。


(アリア、これでどうだ?)


『ご主人様、魔力の循環は完璧です。次に進みましょう』


 アリアからの合格も貰えた様だ。

 さて、次は何だろうか。


(次は何をするんだ?)


『次は循環を止めて、私が指定した場所へ速く正確に魔力を動かします』


 何だか同じ様な内容だな。

 でも必要な事であるので頑張りますか。


(分かった。始めてくれ)


『はい、それでは・・・』




『右腕、頭、左足、左手』


(右腕、頭、左足、左手)


 アリアが指定した瞬間に魔力を移動させる。

 循環の時とは違い、簡単に出来る。


『胸、右足、首、右手』


(胸、右足、首、右!?)


 急に魔力を動かす感覚が変わった。

 いまでも自由に動かせていると思っていたが、自分の手足の一部の様に動かせる。

 何が起こった?

 俺が考え込んでいるとアリアが話し掛けて来る。


『ご主人様、ステータスを見てください』


 アリアには理由が分かっている様だ。

 それにステータスを見ろと言うことは……


(ステータス)


 ステータス

 名前:ジーク=インペリウム

 Lv:1

 HP:5/5

 MP:650/650


 筋力:1

 耐久:1

 俊敏:1

 器用:1

 知力:150

 精神:20


 固有技能:【書架10】【成長補正10】

 特級技能:【健康体10】

 上級技能:

 中級技能:【鑑定10】【魔力操作1】New

 初級技能:


 称号:『書架の主』『インペリウム帝国第三皇子』



 やっぱりか。

 新しく【魔力操作】を習得している。

 それによく見ると知力と精神の数値も上がっている。

 【成長補正】もしっかりと効いている様だ。


 でもよく考えると神レベルの【成長補正】が有って3日係ったのか、素ではどれくらい時間が係るのか考えたくないな。

 取りあえず神にはアリアの事も含めてまた感謝をしておこう。

 ありがとう神。


『ご主人様。無事に【魔力操作】を習得したようなので、次は【純魔法】を習得しましょう。確実に【魔力操作】のレベルも上がるので一石二鳥です』


 そうだった、まだここで終わりではない。

 【純魔法】を習得しなければならないし、それすらMPを上げる為の手段なのだ。

 しかし……


(そうだなアリア。だけど今日はもう良いんじゃないか?)


『いえ、直ぐに始めましょう。早く始めれば始める程、ご主人様の目的に繋がります』


 アリア先生はスパルタである。

 まぁ、俺が強くなると言ったせいでもあるのだが。


 ………………アリアの言う通りに始めるか。

 これからの人生で必ず役立つのだから。


(分かったアリア。それと純魔法について教えてくれ)


『はい。それではまず純魔法について説明をして、その後修練を始めましょう。まず純魔法と言うのは・・・』


 俺の修練の終わりは遠そうである。                                    

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