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本の魔術師  作者: 桐生紅牙
幼少期
4/6

第4話

 おい、神。

 もう一度言うが、ご主人様って何だよ。

 俺はごく普通の一般人だぞ。

 前の世界で、ご主人様なんて呼ばれた事は一度も無いから。

 急にそんな風に呼ばれても、対応に困るだろうが。

 補佐役を付けてくれたのはありがたいが、一般人の俺の事をもう少し考えろよ。

 何処の世界に、一般人を様付けやご主人と呼ぶ奴がいるのか。

 

 うん?待てよ。

 そういえば、この世界での俺の立場は第三皇子だ。

 ということは、これからご主人様は無いが、皇子様とかジーク様と呼ばれるのか?

 それは、ヤバいな。

 馴れるまでは俺の精神が削られていきそうだ。

 どうにかならないか、何か対策を考え


『どうかなさいましたか、ご主人様?』


 おっと、神への文句とこれからの対策で、補佐の事を忘れていた。

 まずは、こいつと話をしなければ。


(悪い、少し考え事をしていた。とりあえず本の事は置いておいて、補佐というのは、お前の事か?)


『その通りです。それに、私の事は※※※※※様の手紙に書かれていたはずですが』


 神、説明はきちんとしてくれ。

 俺の理解力を誉めていたけど、限度があるから。


(神からの手紙には、補佐を付けるとしか説明がなかった。だから一度、補佐について説明をしてくれ)


『わかりました。それでは説明させていただきます。私の名はアリア。ご主人様の補佐と書架の管理の為に、※※※※※様によって創られた存在です』


(創られたとか、気になる所はあるが、名前はアリアか。それで補佐と書架の管理とは、具体的に言うと何をするんだ?)


『それでは、説明が簡単な書架の管理から説明させていただきます。書架の管理とは、言葉のままなのですが、【書架】の中に何の本が何冊あるかなどを把握し、ご主人様が望んだ本をいつでも取り出せる様にする事です』


(それは凄いな。それなら、神が元の世界の全ての本を入れたと言っていたが事実か?)


『事実です。本もしくは文章として扱える物は、全てが書架に納められています』


 改めて聞くと、とんでもない物を貰ったな。

 世界は違うが、娯楽としてだけでなく、これからの人生に役立つ知識が書いてある本も多いだろう。


『続いて、補佐について説明させていただきます。現在、補佐として出来る事は、【書架】の技能を使っている時に限り、書架にある本の知識で答える事が出来る内容であれば、答える事が出来ます』


 これは助かるな。

 まだ、自分で読んでいない本の知識も知ることが出来れば、必要な情報が直ぐに分かるのだから。

 まぁ、本当は全ての本を読みたいのだが、俺の寿命で読める本には限りがあるしな。

 それと、今の説明に一つ気になる所があった。


(現在と言っていたが、何か違う事も出来る様になるのか?)


『ご主人様の許可をいただければ、【書架】の技能を使っていない時にも私との会話が可能になり、【書架】に関係の無い事でも、私の出来る限りのサポートをさせていただきます』


(どうして最初からそうせずに、許可が必要なんだ?説明を聞く限り、比べ物になら無い程その方がいいと思うが)


『私の知識は書架にある本だけであり、常時サポートする為には、ご主人様の得た情報を私も知る必要があります。なのでご主人様の許可を得た場合、情報を共有し、記録する事になります』


(それは、俺があった事を文章にして、書架に入れる必要があるということか?)


 そうだとすれば、非常に面倒だ。

 それに、自分で一度文章にしなければならないのなら、即座のサポートは期待できない。

 それなら、ほとんど最初と変わらないしな。

 

『それは違います。共有化した情報は【書架】の技能で自動的に記録されます』


 どうやら、違うらしい。

 しかし、そうすると余計に理由が分からなくなるな。


(それならば、何か問題になることが有るか?)


『先程説明した通り、ご主人様の許可を得た場合は自動的に全てを記録します。記録を見ることが出来るのは便利ではありますが、何かがあり、ご主人様以外がその記録を読めば、読んだ者に全てを知られる事になります』


 それは困るな。

 現状でさえ大変な秘密があるのに、その記録には全てが書かれる事になるのか。

 それに、記録を見られる事が便利だと言っているが、俺は必要が無い限りは見たくないな。

 というより、自分の全てが書かれた本など、余程自分の事が好きでなければ、読みたい奴なんていないだろ。

 しかし、確かにデメリットもあるが、サポートは惜しい気がする。

 何故なら、アリアがかなり有能そうだからだ。

 さて、どうしようか。


『説明は以上で終わりです。それでは何をなさいますか、ご主人様』


 よし、許可を出そう。

 記録が他者に読まれる可能性があると言っても、限りなく低いと考えられるし、やっぱりアリアのサポートは惜しい。


(アリア、許可を出すから常時サポートをするようにしてくれ。それと、この世界に関することで知っている事があるか?あれば、それを教えてくれ)


 アリアがこの世界について知っている事は、書架の中に元の世界の本しか無い為ほとんど無いと思うが、少しでも情報は多い方がいい。


『基礎的な事は全て分かりますので、何からお教えすればいいでしょうか?』


 ん?基礎的な事は全て分かるだと。

 アリアの知識は、俺が知っている事以外は元の世界の本の知識しか無いはずだが。


(アリア。どうして、この世界の知識があるんだ?書架には元の世界の本しかないだろ?)


『いえ、書架の中には※※※※※様がオマケとして入れられた、※※※※※様直筆の[異世界の歩き方~これで君も異世界人~]があるので基礎的な事は分かりますが』 


 神、ナイスだ。

 さっきは文句を言って悪かった。

 説明不足だったり、本のタイトルについて言いたい事はあるが、そんな事が問題にならない位いい仕事をしている。

 ありがとう。


 さて、それではこの世界についてアリアから教えてもらおう。

 あと、本が読める様になったら、直ぐにその本は一度自分で読んでおこう。                 

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