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8.脳波の強みは「手軽さ」と「時間分解能」

 脳波計って安いんです。最低でも十万円クラスとか言ってたじゃねーかどこが安いんだよ!? と思われるかもしれませんが、比較対象が磁気共鳴画像装置(fMRI; functional Magnetic Resonance Imaging)とか脳磁図(MEG; Magnetoencephalography)ですから……そりゃもうケタ違いに安いんです。お手頃価格。仕組みもシンプルで、誰にでも簡単に扱えます。そしてなにより、被験者にかける負担が少ない。


 「非侵襲」って言うんですが、要するに、頭切り開いたり脳に電極ぶっさしたりしなくてもいいよ、っていうことです。昔はいろいろ面倒な作業があったようですが、いまでは電極の準備だけ整えて――生理食塩水というものを電極フェルトに染み込ませます――脳波計をカポッとつけてもらえば、簡単に測定できます。ちなみに、この生理食塩水として、コンタクトレンズ洗浄液を利用できます。こちらの入手も簡単ですね。


 もちろん測定方法が簡単だからと言って、あっさり高精度のデータがとれるというわけではありませんが、実験協力を気軽にお願いできるというのは大きな強みです。安全で後遺症がなく、子供にも使えますから、特殊な波形が観測される病気の判定手法に利用されてたりもします。


 お手軽なだけじゃありません。脳波は時間的な変化を記録するものなので、時間分解能に優れています。複数の電極で測定することから、ある程度の空間分解能もあるにはありますが、こちらはfMRI等の方が一段上です。


 脳内の信号伝達は意外と遅いので、脳波計でも十分観察できるんです。時間分解能に優れているからこそ、たとえば「感情の処理」といった内的事象の研究には適しているのですが……盛んに研究されてはいるものの、実用性とは縁遠い分野でもあります。

(心理学系の研究者に対して「それって実社会の役に立つの?」は禁句です)


 また、双方の欠点を補い合うため、fMRI等とEEGの併用や、同時測定といった取り組みも行われていますよ。「EEG; Electroencephalogram」とは、脳波のことです。またMEGは、本質的には脳波とおなじものを観測できる上に空間分解能が高いという特徴を持つのですが、測定機器の費用が非常に高く――数億円+ランニングコスト、なんだとか。装置自体も大規模なので、使用できる場面も限定されてきます。


 脳波測定のお手軽さ、実感していただけたでしょうか。

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