プロローグ
「はぁ、はぁっ」
ここはどこだ。
今は何時だ。
「――っ、はぁ」
止まるな、走れ!
捕まったら、終わる……!
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
「主、本当にここですか……?」
「え? エルは見てないの?」
「主が私の全能力を止めたのではないですか。面白いからとか言って」
「あれ、そうだった?」
「はい、かれこれ3年程」
「ふーん。お前も細かいこと覚えてるね。まぁいいや、とにかくここだよ。あと30秒で見える」
「……来た」
「あの娘ですか?」
「うん。あと10秒で倒れるから、それから回収しに行こうか」
「はい」
「それにしても、主、いつもは神子など気にも留めませんよね?」
「んー、そうなんだけどね」
「……まぁいいです。私は従うだけですから」
「――っ」
「あ、起きた」
「誰! ……!? あなた、夢の……! ここはどこ!? あいつらは、」
「はいはい、ストップ。混乱してもいいけど、まずは対価をもらわなきゃね。君の傷も治さないといけないし。……一度、気絶しといて?」
……対価。
そうだ、私は、夢で。
「おやすみ、アカネ」