道のある景色
真っ直ぐ続く一本の道路と、つくりもののような空が、地平線に吸い込まれていく。シンメトリーに立ちすくむ木々の間をくぐりながら、地平線に向かって歩く。頭の上を覆う青、左右をさざめく緑。その鮮やかさはさながあら絵本の世界のようだった。
太陽の光がさんさんと降りそそぐ。温められたアスファルトから放出される熱が、俺の足にしがみつく。それを振り払うように、ただただ、地平線のほうを真っ直ぐ見つめて歩き続けた。
もはや誰のために立っているのかも分からない標識が顔を出す。久しぶりの来客に喜ぶそいつには目もくれず、ただ、熱いな、と、額の汗をぬぐった。
別に、この道の向こうになにがあるわけでもない。行く当てなど、端からあるはずもない。ただ、空とこの道の狭間には何があるのだろう、と、夢を見る冒険家のようなことを思うのも、たまにはいいかもしれない。