樹の月の真ん中の雪の日
樹の月の真ん中の雪の日
果物屋のおばさんにいろいろ教えてもらいながら一瓶作り、おばさんが去年漬けたという梅酒と梅サワーもいただいた。梅サワーは暑い時季に飲むとサッパリする、とのこと。楽しみだ。
来週には完熟の梅も出始めるというので、梅ジャムもいただけるとのこと。ヨーグルトやパンにとても合うという話だし、お味噌に混ぜてカンタン梅味噌も良いとのこと。ここは日本じゃないかっていう錯覚を覚える。着ているものは、どちらかというと中世ヨーロッパとかそっち方向なだけ、頭の中が混乱してくる。
果物屋の店先に並ぶ果物は、だが、どちらかというと小ぶりなものが多いし、種類も少ない。この地に根付いた果物の種類がそう多くないということなのかもしれない。
瓶が重いので一旦帰宅して家に置いて、街一番の大きな公園へ向かう。年末、黒猫の月の最後の黒猫の日に、年迎えの祭りを行う公園でもあると、聞いている。ぜひ参加したい。
夏へ向かう…というか、すでに夏という空気と空を感じながら、公園のベンチで、お弁当を食べる。お弁当は、公園へ行く途中に買ったサンドイッチだ。なかなか美味しかったので、また買おう。
そしてスケッチをした。写真や映像は、いろんなものが地球へ送られている。動植物のサンプルも数多く送られている。この星の研究機関よりも、地球の資料は多種多様なものになっているかもしれない。駐在所長の仕事は、サンプル採取と、民俗文化などの調査だが、このスケッチがなんの役に立つのかが私自身理解できていない。生物学の専門的な知識もなければ、民俗風習についても詳しくない。資料写真・資料映像などはいくらでも撮れるが、過去撮影された写真や映像より目新しいものがそうそうあるわけでもない。流行がめまぐるしく変わり、数年前と今年ではまったく違う、というようなことはほとんどないからだ。だが、私はスケッチの能力が買われて駐在員に選ばれたらしい。とはいえ、自分自身、どこが評価されたのかが理解できないので、カメラを持参した。一つは静止画用、一つは動画用。計二つ持っていった。片方は、スケッチの合間や書き始める前に、一つは、スケッチの間じゅう、動かしておくため。
ほんとに、スケッチ必要なのかな…とか思うけど、これは業務命令なので、疑問を差し挟む余地はない。
目についた祭壇っぽいものや、人々の歩く姿や風景を心行くまでスケッチして、夕方に帰宅。
夕飯は、白いご飯に、魚の煮つけ、お味噌汁と、菜っぱのおひたし。本当にここは日本じゃないのかってくらい、立派な日本食。果物屋のおばちゃんが梅味噌なんて言うから、和食が食べたくて仕方なくて、つい作ってしまった。