出会い
のそのそとベッドから這い出し
シャワーを浴びる。
俺は超のつく有名大学の理科教授だ。
毎朝、目の下にクマをはやし
生徒たちには、いっこうに好かれない
まぁ、想像はできるだろう。
さえない研究者である。
今日もいつもと変わらない朝だった。
階段を上がり教室へ向かう途中。
背筋を氷のような寒気が駆け上がった。
すると、甘さと苦さ、苛立たしさが
一気に込み上げて吐き気がした。
隣にある鏡に手をつき、疼く頭をかかえた
…貧血かなにかだろう。
暫くすると、さっきまでの嫌な感じは引いた
授業に遅れてしまってはいけない。
後ろを振り返ったとたん
ありえない光景が広がっていた。
”は?”
なんだ、ここは?
黒い木に青い芋むし、
…ありえない。
研究意欲を掻き立てられたが
ここには見覚えがあった。
とりあえず進むこととしよう。
進んだ先にもやはりなぜか見覚えのある様な
大きな古い建物が目に入った。
ドアは空いていた。
と、言うか
待っていたかのように開けられた。
入ってみる。
誇りくさい本の独特な匂いがした。
暗闇の中ぼんやりと光のあるところに
目をこらしてみると。
猫のような大きな青い瞳に
童話に出てきそうな
ひらひらのワンピースをきた女の子が
鋭く、鈴の音のような声で俺を睨んで言った
”だれ?”