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能力者?無能力者?

一夜明けて、学校に行く僕はいつもより足取りが重い、これも全て昨日現れた彼のせいだ。


助けてもらったのは事実だ、しかし問題はその後だ。


刀を取り出して、あろうことか世直し組の半数以上をたったの5分足らずで倒してしまった。


彼は確かに無能力者で普通科の生徒のはずだ。


「………………」


僕は彼のことを知らなすぎる、あまり気は進まないが、少し彼のことを調べてみる必要がある。


そう決めた僕は未だに重い足取りで中立魔法学園へと向かった。




―普通科―


今日僕が学校に着くと、すでに綾が席に座っていて、僕が教室に入ると、気付いたようで手を振る


僕も軽く手を振り返し、綾の後ろの席に座り、鞄を横に掛けた。


「おはようつな君♪」


「おはよう、今日は成功?それとも失敗?」


僕が綾のやっている意味不明なチャレンジについて聞くと、手を後ろにやり少し残念そうに答える


「えーとね、10回目は次回持ち越しかな」


「そうか、じゃあ危うく今日で21回目を迎えるとこだったんだ」


「ぶー、さゎな言い方しなくてもいいじゃない」


頬を膨らませと文句をたれれ綾


正直言って可愛い……


だからこそ周りの男子は僕に殺意の目を向けているのだ。


「あ、でもつな君が私より遅いなんて珍しいね」


「昨日道場に行って、そのまま晩ごはんご馳走になったからね、帰りが11時過ぎてたんだよ」


「へー」


僕が道場の話をすると、綾は急に不機嫌にな顔をする


(あれ?冬花と春美が能力者っていうのが気にくわないなかな?綾は嫌ってなかったはずなだけど)


女の子は分からん……



「そう言えば昨日突っかかっきた能力者、今世間を騒がしてた世直し組だったんだって」


少し肩をびくりとさせる僕


「へ、へー、そうだったんだー」


「何か棒読みなのが気になるな」


「気のせいでしょ」


のらりくらりかわしたとは言いがたいが、何とか綾をかわす中、ワイワイ、ガヤガヤ騒いでいた教室が一気に静まり返る。


空気が一気に凍りつく雰囲気を感じたのか僕と綾も会話をやめ凍りつかせた元を探すが、それはすぐに見つかった。


「十 剣士君はいるかな?」


「つ、十君ですか、十君なら……」


「僕ならここにいますけどエース様」


「話がある、昼休みに中庭で待ってるよ」


それだけ言い残すとエースは、すたすたとその場をあとにした


エースが帰った後、凍りついていた教室の空気は少し変わっていた。


どのような空気にかわっていたかと言うと、エースが来たことによる女子達の興奮はおさまらず、女子達の熱気


それに、エースという敵わぬ存在が来たことによる男子達の冷たい目による冷気

これがちょうど教室の半分でぶつかり合っているなか


「ふー、なんとか間に合ったみたいだな」


教室の空気を二分する中、焔が入ってきた。


そして教室に入っての第一声


「何だ、ヒーターでもついてんのかこの教室?」


そして半分教室をまたいだ瞬間


「寒、クーラーでもついてんのかこの教室?」


「タイミングが悪かったな焔」


「一体何があったんだ?」


能力者(一部は除く)を毛嫌いしている焔に話すのはどうかと思ったが、どうせ知れるだろうと思った僕は焔に話した。


「けっ、よりにもよって、昼休みかよ、昼飯食う時間だってこと知ってんのかよ」


「ま、こればっかりは昼休みになってみなきゃわからないな」




ということで時は過ぎ放課後


「待たせてしまいましたかエース様」


「気にすることないよ、さと場所を変えようか」




そさくさと歩き出したエースに連れられたのは普通科のこじんまりとした教室


「こんなところで、何するつもりですか、エース様?」


「そのエース様っていうのやめてくれないか、正直いやなんだ、それと、できれば口調を昨日のように緊張感がない口調にしてくれないか」


「緊張感がないとはずいぶんな言い方だな、それに何て呼べばいいんだ?」


「呼び方はエース様以外が好ましいかな」


「まあ、呼び名なんざ後でいいだろ」


お互い向かい合うように椅子に座った俺達


エースは座ってすぐに持っていた封筒を俺に向かって差し出した。



「悪いが君のことは調べさせてもらったよ」


「エースだったらなんでもありってか?」


「調べたのは悪いと思う、だけど君は普通科に通ってながら君はトポスから刀を取り出したのは紛れもない事実だ」


トポスというのは魔力を別空間として使うことで、その別空間のことをトポスというのだ。


そのトポスは物質を保管しておく所で武器などを保管しておく場合が多い。


僕の言葉で彼は黙り、沈黙の時間が流れたが、先に沈黙を破ったのは彼だった


「仮に俺が能力者だとしたら普通科にいたらダメだってことはないはずだ」


「そうはいかない、君が能力者である以上、魔力を何か悪用されたら困る」


「何を調べて何を調べてないかは知らねぇけど、悪用してるような成績かよ?」


確かに彼の言う通り、能力を悪用してるような成績ではないし、問題は起こしていない、起こしてる問題は能力者とのケンカぐらいだが、無能力者はこれぐらいのことは起こしているし、数なら山神 焔の方が断然上だ。


「それに俺が能力者だとしても、今更能力科に入れるとしても入りたくないな」


「しかし、普通科より能力科の方が優遇されてるのは君も知っているだろ」


「優遇がどうした!?俺は能力科のそういう所が気に食わないんだよ!!もとは皆同じ人間だろうが!!」


席を立った彼の怒鳴った声に僕ははっとしてしまった。


自分なりに普通科のことは分かっていたつもりだったが気のせいのようだ。


彼がゆっくりと座る頃には僕も彼も黙っていた。


コンコン。


「はい、どうぞ」


僕がそう答えると、ドアが開き、少女が一人入ってくる


「伊場君、ここにいたんだ先生が呼んでたよ」


(能力科のクラスAか)


入ってきた少女の制服と胸元にある校章を見て判断する


普通科と能力科の大きな違いは制服である


クラスを判断したのは、胸元にある校章の色だ


クラスCは緑、クラスBは青、クラスAは赤色で俺の目の前のエースは銀色に輝いている校章をしている


などと、冷静に現在の状況を判断していると、入ってきた少女が俺を見つけたらしく嫌悪感たっぷりの眼差しを向けてくる。


「何で普通科の人が学園のエースの伊場君と話しているの」


普通ならいつもの口調に戻すところだが、あえてそうはしなかった


理由は簡単で目の前にいる少女があまりにも気にくわなかったからだった。


「それくらいてめぇの頭で考えやがれ、そのための脳みそだろ」


「な、何よ、何て言い方なの!!育ちの悪さが露呈するわね、さすが普通科の生徒ね」


「は、すぐにムキになって、普通科をけなすてめぇも育ちの悪さが露呈してるな」


互いに火花をちらしあう二人


それを見かねたエースはヒートアップする前に口を挟む。


「もうやめないか!!」


その場にいたエースの怒鳴り声に二人は黙る


「こちらから呼んでおいてすまないが、話はまた次の機会に……じゃあ行こうか南さん」


エースと南さんと呼ばれた少女が出ていき、部屋には俺一人となった


「……帰るか」


意外に早く終わったため、中庭に焔と綾がいることを願い教室を出た。


教室を出て、中庭に向かうと焔と綾が昼御飯を食べていた


「あ、つな君♪終わったんだね」


「まあ色々と諸事情があってね」


「諸事情ねぇ、どうせあいつらの諸事情だろ」


舌打ちしながら文句をぶちまけながら飯を食べる


「つな君、昼御飯は?」


「ああちょっとな、用意ができなかったんだ」


「じゃ、じゃあ私のお弁当……食べる?」


頬赤らめながら自分の弁当を突きだす


「お♪いいのかサンキューな」


美味しそうに彩られ、盛られた弁当に食欲が底からわきあがる


「じゃ、じゃあ………」


「ん?」


急に下を向き、顔をさらに赤らめ、両手をもじもじとさせる


そして箸で適当にエビフライを摘む


「つな君♪あ、あ〜ん」


「お、おう///」


エビフライを頬張る


「うーん、美味いな♪」


「よ、良かった」


「綾の弁当なんだから綾も食べなよ」


「私はいいんだよ、だからつな君、はい、あーん///」


今度はご飯を摘み上げ、口元に持っていた時だった。


僕の真横から頬にパンが直撃し、少しながら首が曲がった。


「痛ぇぇぇぇ、誰だよパン何か投げたのは?」


「文句たれてないで、食べなさいよ、綾ちゃんの弁当を食べつくそうとしたから投げたのよ」


声のした方を見ると、投球した後のフォームをとった冬花と春美がいた


「冬花に春美!!」


「剣君、弁当が作る暇がないなら言ってくれれば作るっていつも言ってるのに」


「ごめん、ごめん、今日は偶々なんだよ」


「とりあえず、そのパンあげるから昼飯ならそれを食べなさいよ」


横に落ちた焼きそばパンを拾い上げ袋を開ける


焼きそばのソースのほのかな香りが食欲をそそる


「じゃあお言葉に甘えて遠慮なく」


焼きそばパンにかぶりつく


麺にからみついたソースがめちゃくちゃ美味い


「久しぶり綾ちゃんに焔君」


「確かに久しぶりだな風間、今日はどうしたんだ?」


「ちょっと剣士に用があってね」


「俺に?」


「これを渡してくれって頼まれてね」


冬花から白い封筒を手渡される


「じゃあね、私はそれだけ渡しにきただけだから」


手を振ってその場を離れていった。


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