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風間道場

道場内では金属と金属がぶつかり合う音がしている


「せいっ!!」


冬花が縦に降り下ろすが、僕はそれを簡単に防ぐ


「おっと、太刀筋が甘すぎるぜ冬花」


つばぜり合いになるが、刀を振り払って冬花と距離をとる


一般人が見れば、殺し合いでもなんでもないやり取りを僕と冬花はやっている


一歩間違えたら、あの世行きの切符が間違いなく手に入ることを普通にやっていた


何故に僕がこんな危険なことをしているかを説明するにはまた別の話で


とりあえず僕は真剣を扱う風間道場に通っていて、自分でいうのもなんだが、かなり強い方と思っている


思っているというのは、現在風間道場に通う人は30人ほどで、その30人は竹刀で剣道をやりに来ている人達だ


剣道道場が風間道場の表で裏では真剣を使って、命を落としかねないことをやっていて、その裏の人数が僕と冬花と師範の風間 玄十朗の三人だった。


「せやぁ!!」


「だから太刀筋が甘ぇよ!!」


冬花の剣を弾き、真剣を冬花の喉元に突きつけると


「そこまで!!」


師範の止めの声がしたため、僕は真剣を引いて鞘に納めた


「くぅー、やっぱ剣士には勝てないか」


「僕から剣術をとったら何もなくなるだろ」


「それもそうだね」


お互い真剣を鞘に納めて師範に真剣を渡す、その一行程を終えて今日の訓練は終わった


終わった後、着替えのために部屋に師範と一緒に入る


「十よ、今日で冬花と何回戦ったのだ?」


「えーと……確か今日で3256連勝になりますね」


苦笑いを浮かべながら師範に言う


「ははは、それは冬花もさぞかし悔しいだろうな」


「そうですね、行く度に剣の腕が上がってますからね、僕も油断してたらすぐ追い抜かれちゃいますね」


「お前を冬花が抜かすなんざ何年後の話だと思うがな」


「こりゃ、手厳しい一言ですね」


また僕は苦笑いを浮かべていた


「そうだ十、今日知り合いから美味い肉をもらったから今日はご馳走だぞ」


「マジすか!?ありがとうございます」


僕は風間道場に通う日の晩ごはんは風間家でいつもご馳走になるのだ


「だと分かったら、一っ風呂浴びてこい」


「はい、じゃあ失礼します」


部屋から出た僕を待ってたかのように、部屋の前には春が着替えを持っていた


部屋の前で待っていた春は僕に着替えを手渡す


「はい、着替えもってきたよ剣君」


「いつもありがとな春」


玄関の時のように頭を軽く撫でる


「てへへ///あ、剣君、今日美味しいお肉をもらったんだ、だから楽しみに待っててね♪」


「うん、春の料理を楽しみに待ってるよ」


風間家の料理番の春はとてとてと台所に向かい、僕は風呂場へと向かった




―風呂場―


「ふー、いつ見ても広いよなここは……」


ここ風間家の風呂はマジでデカイのだ、例えるなら修学旅行の時の風呂で、びっくりするくらいにデカイ


汗をかいた服を脱いだ僕は、衣服を籠に入れ、タオル片手に風呂場の扉を開けて一歩踏み入れると、そこには冬花がいた


「へ?剣士?」


「え!?と、冬花!!」




現在の状況


風間 冬花


装備品なし、入浴中




十 剣士


装備品…タオルのみ(しかも手に装備)、裸で仁王立ち中


状況を理解した僕だが、なぜか体が動かない


そして冬花は顔を真っ赤にして、今にも叫びそうだ


「………(汗)(汗)(汗)」


「きゃあぁぁぁぁぁ!!」


「し、失礼しました!!」


とてつもない速さで風呂場を飛び出て、扉を閉めて背を向けた


「剣君、今冬姉の悲鳴が聞こえたけど…………」


「は、春!?」


「……………」


(何てこった………)




さっきのリフレイン






―居間―


「……………(×3)」


「どうしたんだ三人とも、珍しく無言じゃないか」


「まぁ、いろいろありまして……」


お茶を濁そうとする僕に冬花がかみつく


「ちょっと剣士!!いろいろって何よ、こっちは裸見られてんのよ!!」


「だから湯気で見えなかったって言ってるだろ」


「け、剣君!!それは湯気さえなければ見たってこと?」


「違う、扉を開けたら勝手に視界に入ってくる物はどうしようもないって言ってるんだ!!てか、そういう冬花も見ただろ」


僕がそう言うと、冬花は顔をこの世では表せない赤色に染めていた


「ははーん、どうやら風間 冬花さんは見たらしいな」


「う、うるさい!!私も湯気で見えなかったわよ」


「え!?じゃあ剣君の見たのは私だけ」


何故か嬉しそうにする春だが僕はスルーする


「おい、いい加減にしろ!!近所迷惑だろ!!」


「何よお父さん!!娘が裸見られてんのに何落ち着いてるのよ」


「小さい頃はよく一緒に入ってたじゃないか」


「今は今でしょ、私だって成長してるんだから」


そう言ってチラッと僕を見る冬花だが


「剣君♪取ってあげるね」


「悪いな春」


「ううん、気にしないで」


「…………」






ここいらで風間家の人物紹介




風間 玄十郎…現在の風間家の当主である、少し白髪が混じった黒髪でザンギリ頭、剣の腕はかなりのもので、表向きは剣道場を開いている




風間 冬花…風間家の長女、黒髪のミディアムヘアー、僕と同じで真剣を扱う剣術を学んでいる、家事は全般的に不得意である、実は僕と同じ中立魔法園で能力科通っている




風間 春美…風間家の次女黒髪のツインテール、僕は春と呼んでいる、剣術は学んでいない、家事が全般的に得意で、家事は全て春がやっている、冬花と同じで中立魔法学園の能力科に通っている


能力科の生徒が嫌いな僕だが、この二人だけは特別だった




「ふー、食った、食った」


「お粗末様でした♪」


「にしてもよく食べるわね」


「こんな美味い肉食えないからね、食えるときに食べとかないとね」



テーブルに並べられた料理は全て綺麗にたいらげた僕たちは、胃袋休憩タイムのため、ふとテレビをニュース番組に変えた


いつも通りのテンションを変えることなく、ただニュースを伝えている中、ひとつ気になるニュースがあった


ニュースの内容は傷害事件らしく、三人の人が襲われたらしく、これで四件目らしい


「ん?この事件の場所は中立魔法学園の近くじゃねぇか」


「ホントだ物騒で怖いね」


ニュースは最後に僕たちの気になることを言った


「警察はどうやら犯行は能力者によるものと考えで操作を進めるら」


「剣士………」




冬花が振り向くと、顔をうつ向けたまま、テレビをきった剣士がいた


「俺、そろそろ帰るわ」


「あ、じゃあ私送ってくよ」


「女の子に送られるなんてまっぴらごめんだよ」


春を止めた僕はゆっくりと立ち上がった


「今日はごちそうさん」


居間にいる二人にそう伝えてから、風間家をあとにした。

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