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中庭にはすでに普通科の生徒が多く昼食をとっていた


できるだけ空いている場所に座った三人はそれぞれの昼食を食べ始める


「にしても授業中にうたた寝しただけで、清掃活動は酷いよな」


「どうせ点数稼ぎだろ、最近何かにつけて清掃活動させてるそうだし」


「何それ!!酷すぎだよ!!」


僕達が言う点数稼ぎとは、おべっかみたいなもので、この学園では能力科の先生が圧倒的に権限があるため、普通科の先生は何かで能力科に役立ちたいと思っている


「まったく、能力科は社長で俺たちは平かよ」


そう焔が呟いた時だった


「よく分かってるじゃねぇか凡人共」


(能力科の生徒……三人か)


「何だよ、能力科の生徒が普通科の中庭に来るなんてどうしたんだよ」


「おい、口の聞き方に気を付けろ」


能力科の生徒の蹴りが焔の弁当を吹き飛ばした


「てめぇ、いきなり来て何しやがんだよ!!」


「あ?何だその態度は今すぐ病院ベッドに行きたいのか?」


「やれるもんならやってみやがれ」


二人は完全にヒートアップしていて、中庭にいた普通科の生徒は散り散りに帰っている


「どうせ、やる勇気もねぇんだろイモ虫野郎が」


「そんなに死にたいなら今すぐ殺してやるよ!!」


焔の言葉で完全にキレた能力科の生徒は焔に能力を使おうとしていた


「ちょ、ちょっと待って山神君、能力科のあなたも能力を使うのはマズイよ」


二人の間に綾が割って入る


綾が入ったことで、能力科の生徒もギリギリの所でストップした


そして綾を見た能力科の生徒はお目当ての品を見つけたかのようにニヤリと笑った


「中岡 綾、俺は君を探しに来たんだ」


「へ、私!?」


「中岡 綾、俺と付き合え」


「……………へ?」


「俺達能力科の喫茶店に行こう」


無理矢理綾の腕を引っ張って連れ出そうとするが、その腕を僕はしっかり握っていた


「何だお前?」


「つな君♪」


「止めといた方がいいぜ、あっちを見てみ」


指差した方向から、能力科の生徒が走って来ていた


その生徒の胸元には風紀と書かれたバッチがつけられていた


「風紀委員です、今すぐ能力発動を止めないと、実力行使で止めさせてもらいます」


風紀委員のおかげで、何とか一触即発ムードを脱することができた


一悶着後、教室に戻った三人は教室に入ったとたんに全員から拍手で迎えられる


「焔、能力科の生徒によくやったな♪」


「綾ちゃん、災難だったね、クズ男に告白されるなんてね」


「十君も能力科から綾ちゃんを守ったそうじゃない」


「守ったなんてそんな大それたもんじゃないよ、たまたま風紀委員に助けられたようなもんさ」


昼休みの出来事が早くも普通科では話題になっていて、その話題でその日は持ちきりだった




―中庭―


今日のペナルティで能力科の中庭に来た僕は、せっせと清掃活動に勤しんでいた


「くぅー、やっぱ気になるなー」


僕が言ってるのは、能力科の教室から能力科の生徒に白い目で見られることだった


たった一人を除いて生徒全員が蔑むような目で僕を見ていた………そう、たった一人を除いては


「君はこんな所で何をしてるんだい?ここはノート科の筈だけど?」


「授業中寝てた罰で、清掃活動に勤しんでるんです」


「ふむふむ、つまり最近普通科の教員で流行ってる点稼ぎか」


「へぇー、そちらにも伝わってるんですね」


皮肉をこめるような言い方で相手の感情をさかなでたつもりだったが


「君も大変だろ、僕から普通科の教員に言っておくよこのペナルティは普通科の生徒にとって耐え難い苦痛でしかないとね」


能力科の生徒は顔色一つ変えようとせず、むしろこちらを気遣うように心配そうな目で僕を見


「後は僕に任せておいていいから、君は帰っても構わないよ」


「…………」


そう言われた僕は、軽く礼をすると、能力科の中庭から立ち去ろうとしたが、相手は僕を呼び止めた


「ちなみに、君の名前は何て言うんだい?」


「十 剣士」


「変わった名前だね」


「僕ほどじゃないと思いますよ、エースの伊場 朧様」


最後の最後まで相手を皮肉った僕は、エースが次の言葉を言う前にその場をあとにした


緊急事態に見舞われたものの、エースの登場に予想より早く終わった僕は部活に所属してないため、校内に寄らずに校門を出た。


校門を出た後、携帯を開き時間を確認すると、4時30分と表示されていた。


(結構時間がかかちゃったかな)


現在の時間をがっかりするのにはそれなりの理由があってのことだ。


開いてた携帯を閉じ、緩めに歩いていたスピードを軽い駆け足程度に上げる。


そしてその足で着いたの場所はどえらく古びた昔っぽさを残した家だった


そさくさと挨拶もなしに家に入り玄関に上がろうとし、靴を脱ぐために下を向いていると


「こら!!遅刻だよ遅刻」


「ごめん、ごめん、あまりにも緊急だったから連絡ができなかったんだよ」


「剣君の用意は私がしといたから早く行って」


「ありがとな春♪」


僕が春と呼んだ少女の頭を撫でた


「てへへ///じゃあ待ってるね♪」


喜びながら春と呼ばれた少女は小走りに何処かへ走って行った


僕は春と逆の方向に歩いて行って、一つの部屋に入るとこじんまりとした部屋に胴着と袴が掛けられていて、胴着には黒字で袴では白字書かれていた




“風間道場 十 剣士”と書かれていた




その胴着に袖を通した後、袴を着てから、部屋にある扉を開けると、その扉の先は道場へ繋がっていた


「失礼します!!」


道場の外にまで漏れるんじゃないかとおもわれる声で挨拶をした


入った後に正座で礼をしてから壁に嵌め込み式のタンスに持っていた鍵でロックを解除する


そしてその段から取り出した物は紛れもない本物の真剣であった。


「珍しく遅かったな十」


「すいません先生に捕まってしまいまして」


「そうか、まあ始めようか冬花!!」


冬花と呼ばれた少女は僕とは逆方向で正座していて、その場で立ち上がり、僕の真ん前に来る


「今日こそ私が勝つからね剣士」


「その台詞は聞きあきたよ冬花」


お互い鞘から剣を抜くのが合図となったのか、お互いが斬りかかった

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