中立祭ⅡーⅠ
普通科の昇降口横切り、体育館に向かう。
普通科の体育館は館内にある。
大ホールみたいな感覚だが、仕様はどこの学校にもある体育館だ。
体育館の前まで来た俺だが、体育館の扉は閉まっており、強く舌を打つ。
「くっそ……しょうがない、用務員さんには悪いけど!」
トポスから刀を出し、扉と扉の間にある隙間を縦刹牙で鍵を切断し体育館内に入った。
「メールを見たから来てやったぜ!姿を現せよ!」
「………」
姿を現したのは、全身を黒いコートで身を包んでいる者だった。
手袋まで黒い皮の物を使っており、顔も全てを覆うタイプ、いわゆるフルフェイスだ、まあヘルメットというわけじゃないのだが……とにかく、目の前にいる奴が何者かはわからないのだ。
「単刀直入に聞くが、何が狙いだ……」
「………」
「黙りかよ……俺はそんなに気は長くないからな」
カチリと刀を押し上げる。
「…………っ!」
刀を押し上げたと同時に相手は勢いよく襲い掛かる。
右手を振りかぶる仕草を確認した俺は左腕で防いで刹牙を放とうと構えたその刹那、何か危険を感じた。
色々と命を掛ける戦いを繰り広げていたその勘が信号で知らせて体が反応する。
左腕を相手外側にやり、体を左回りさせながら相手を受け流した。
「ギヒッ、よく気付いたな」
不適な笑みを浮かべるのは相手の右手は手袋引き裂き鋭い爪が光っていた。
太く、相手の肉を抉るのは簡単な爪、間違いなく人間の爪ではない……では何者何だろうか、何かの能力か?
「おい、一体何者だ?爆弾魔じゃないだろ」
「ギヒヒヒ、知らなぇな」
「なら無理矢理吐かせてやるよ!」
下の木造床を強く蹴り、間合い詰める。
「刹牙!」
振り抜いた刀を相手は右腕でバッチし止められ、同じく発達した左手で切り裂こうとするが、その攻撃も左側にかわすした時に背中に走った激痛。
「ぐっ………」
その場からバックステップで距離を取る。
「ギヒヒヒ、今ので死なねぇとわな……」
相手にはヒュンヒュンと自由自在に飛ぶ尻尾、先が刃のように尖っていて、俺の血がベットリ付いている。
(まずいな……だいぶ深くやられた)
トポスからカードを取り、上に掲げる。
「ヒール!」
やられた傷口を回復させるが、深く切られた傷口を完全に回復出来ず軽く浅くなった程度で血は止まっていない。
「完全には回復はしてないみたいだしあの出血だ、動けないだろ」
「へへ、そりゃどうかな?」
ゆっくりと立ち上がるが、その立ち上がり方は明らかに手負いの状態だった。
「じっとしてな、一瞬で首はねてやるからよ、ギヒヒヒ」
(くっそ………どうする……)
完全な劣勢状況に焦る俺にもう勝ちを確信した相手はゆっくりと処刑までの時間を楽しむように歩いてきた。
(仕方ねぇ……テレポートで!)
トポスに手を突っ込んだその時
「剣君!」
「っ!春!?」
「ケッ、邪魔者は死ね!」
「テレポート!」
春美の前に移動した俺はギリギリの所で刃付きの尻尾を弾き返した。
「どうして来たんだ!」
「ヒールの反応があったから、来たんだけどって剣君!その傷どうしたの!」
「いやぁ、久しぶりにとちったからさ……手伝ってくんね?」
「……わかった、じゃあパターンCで行くよ」
トポスからカードを一枚取り出し、俺は刀を構える。
「一瞬で蹴りつけてやる、春!」
「ハイスピード!」
掲げたカードと俺の体が光輝く。
そう相手が認識した時には、相手は激痛と共に体育館の端にまで吹っ飛んでいた。
「ぐっ………何がっ!」
「あまり喋らない方がいいぜ、ハイスピードを加えた牙城疾風をもろにもらったんだ、動けやしないだろ、俺も一緒だけどな」
片膝を着き、刀にすがるような体勢の俺は確かにもう動けないというか超スピードで牙城を放ったせいか傷口がめっちゃくちゃ痛い。
「春、治療頼めるかな?」
「うん、任せて剣君」
春はトポスを開き、治療道具とカードを出し、俺は上半身裸になる。
「剣君、がっしりしてきたね、昔と比べたら///」
そこは関係ないだろと肩等をペタペタと触りながらも、傷口に消毒液を吹き掛ける。
「くぅー相変わらず染みるぜ」
「ほら動かない、次は一番痛いんだからね」
痛みに体を震わせる俺の肩を掴んで固定させ、春は傷口に大きめの容器に入ったジェルを傷口を塞ぐように塗りたくる。
「っ!相変わらず痛いな、これは……」
「もう終わるからね、リジェネ!」
カードは光を放ちながら粒子に変わりジェルに入っていった。
「これでもう大丈夫だけど、今は安静にしててね」
「ああ、わかったよ、とりあえずはあの倒れてる奴にいろいろと聞かなきゃな……」