中立際ⅠーⅨ
どなたか風邪に効く食べ物とか飲み物知らないですか(´ω`;)
春はケロリとした表情で相手に近づいていく。
「まさか、今のが本気じゃないよね」
「安心していいよ、挨拶がてらの一発さ」
「そっかぁ……まあいいや」
そう言った春は微笑みながらカードを取り出しボソボソと呟くとカードは春の体の中に吸い込まれていった。
「何をしたのがしらんが、僕を止められるかな」
含み笑いをしながら、男はまた先ほどの体勢を取った。
(来るか……)
と感じた僕だったが、春はピョンと可愛らしく横にジャンプしただけで男は能力を発動することはなかった。
春はそれからも同じことを繰り返す。
次第に回りからはどよめきの声が流れ始める。
それから男は能力を発動をしないままで……いや、発動できないでいた。
「くっ……ええい!」
段々と男の方にも焦りと苛立ちが目立ち始め、春がピョンとジャンプをしたその着地を狙い、ようやく能力を発動した。
「おっとと」
春は少し体を捻るだけで男の攻撃をかわし、男は競技場の壁に激突した。
◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆
「あやや、痛そうだね~」
「だねぇ~まあもう相手の攻撃は春にはあたらないよ」
「攻撃って相手の能力のこと?」
「うん、相手の能力は超スピードで間違いないと思うけど、おそらくマーキングした直線上のラインにしか超スピードが出せないんだろうと思う」
「どゆこと???」
僕の説明にさっぱりな綾に僕は簡単に説明した。
相手は魔力を直線上に伸ばし、それが消えないように残しておく、これがマーキングという技法で故意的に魔力を残すことである。
おそらくそれが能力の限定条件の一つだろう。
それからそのマーキングしたライン上に対象相手が乗ることで発動すると見ている。
「じゃあライン上に乗らなければいいの?」
「まあね、普通はマーキングしたラインとかは見えないからややこしいんだけど、春はさっき使用したカードの効果でラインを把握したんだろうね」
「でもさ、競技場中にラインをマーキングしておけば避けられないんじゃないの?」
確かに綾の言う通りだが、それはあくまでも無能力者の意見である。
「マーキングっていうのはもともと魔力を大量に使用するもんなんだ、魔力をマーキング上に供給し続けないといけないからね、だから競技場中にラインを敷くというのはほぼ不可能なことなんだ」
「ふふーんなんだが能力は難しいねぇ」
綾はやれやれと言った表情をする。
「まあ見てみんしゃい、もう多分もう終わるさ」
僕の言う通り、春はだんだん飽きてきたのか、カードを二枚取り出し、その内一枚を使って動きを止めた。
「そろそろ終わりにしようか♪」
「はぁはぁはぁ………なめるなぁ!」
相当魔力を消費したのだろう、男はもう肩で息をしている。
マーキング上に春がいるのを確認した男は能力を発動し、一瞬で距離詰めて渾身のタックル、しかしその攻撃は春には通ることは無かった。
相手は遥か高くに飛んでいたのだから。
「わあぉー高いね」
「だなぁ~」
二人して片手にもの上に当てながら見る高さだが、普通の人ならまず即死だろう
だがまあ能力者ならまあ何とかするだろうし、ワントゥワンゲームで着る服で軽減もされるからに気にすることはない。
「それにしてもどうしてあんな高さに飛んだんだろう?つな君、解説よろしく」
「あれは春のベクトルのカードさ、使用してから一度だけ外部からの衝撃を意図的に方向転換をさせる能力を持っているんだよ、春は相手のベクトルを真上に変えたをだろうね上にいるんだから、威力もあのスピードから繰り出すものだからベクトルの大きさもあれだけのものに変わったってところかな」
俺の長い解説が終わると、綾は解説ご苦労様ですと言って敬礼。
直後に相手の男が悲鳴と共に地面に落ち、呆気なく勝負ありとなった。
勝負ありと言ってもまだ意識はある相手、その男に近づいた春は男の耳元でぼそぼそと呟いた。
「残念だけど私にはもう心に決めた人がいるからさ」
「こ、心……に」
春は少し顔を赤らめながらながらこう口にした。
「心にっていうかぁ……未来の私の夫は///十 剣士なんだから///」
と少々暴走した妄想発言をした春はこうしてなんなく予選を突破したのだった。