中立際ⅠーⅣ
女子プロ野球、ジャパンカップ開催中!!
風紀委員会長が医務室から病院へと運ばれた後、中立祭は予定を早めて昼休みに入った。
教室棟には戻れないようにして爆発の事が知られないようと厳重な体制。
爆発事件に関しては知られないような所で対策本部が立てられ、エースを含み能力科の先生達が集められていた。
今すぐにでも中立祭を中止すればいいものの、今後の対策について話し合っている状況。
もちろん第一発見者の俺は、速攻で事情聴取されて何も出ない状態でさっさと解放され自由の身
もちろん素直に引くわけもなく、俺は何度も考えていたが、あまりにも情報が少なすぎた。
一旦対策本部から離れた俺は、少し離れた場所でとある人物を待っていたというか待たれていたが、そうこうしているうちに待ち人が現れる。
「待たせたかい?」
「いんや、別に用事がある訳じゃないしな、んで話って何だ?ちなみに爆発の犯人は俺じゃあないからな」
「そんなことはわかっているただ話があるだけだ、ちょうどいいし、場所を変えよう」
そう言って隣の空いている教室に入って適当な所に腰掛ける。
「さっそく本題に入ろう」
エースは俺の前に一枚の紙を出した。
そこには
【中立祭に血の海が流れないように気をつけろ……… 中立祭の爆弾魔より】
「おい、どういう事だよこれは……」
「脅迫文……だね」
俺は冷静なエースの胸ぐらを掴みぐいっと引き寄せる。
「てめぇ……こんなものが送られてるなら、中立祭を何で中止にしなかった!中止にしとけば、こんなことにはならなかったかもしれないんだぞ!」
教室中に響き渡るには十分な大声で俺が言うと、エースは同様に俺の胸ぐらを掴んだ。
「言わなかったとでも思ってるのか!言ったさ、学校側に何度も何度も!しかし、結果は変わらず変更なく続行だ!どうせただの悪戯だろうと決めつけて!」
エースが掴む胸ぐらの手はふるふると震えていて、どこにもやり場のない怒りがこもっているのが伝わってくる。
こいつだって俺と一緒だった、誰かが傷つくのは嫌なんだ。
未然にわかっていたこと防ぐことも出来ず、よりにもよって怪我人が出るという始末、これは個人的にかなり来るものだろう。
俺が手を離すとエースも手を離し、しばしの沈黙が流れた。
互いに冷静を取り戻し椅子に座り直し中断していた会話を再開する。
「今になって気づいたんだけど、お前が今回中立祭に参加した理由って……」
「ああ、参加すれば何か手がかりが掴めると思ってね」
「なるほど……んで?他にも俺を呼んだ理由があるだろ?」
エースは首を縦に振り、口を開こうとした時エースの携帯が鳴った。
ポケットから取り出したエースは表示されるはずの名前を見てから慌てるようにスピーカーのボタンを押した。
その後携帯の通話ボタンを押して耳に当てる。
「もしもし……」
恐る恐る電話に出るエース、スピーカーから声流れ出る。
『やあどうだっただろう、私の爆弾は?』
「中立祭の爆弾魔……かい?」
エースの携帯から聞こえるのは変声機か何かで変えた声だった。
これでは男か女かも分からないし、サーチのカードで逆探知しても無駄だろう。
「君のせいで一人の生徒が傷ついた……」
『それは彼が被爆者リストに入っていたからしょうがないことだで避けられたことではない』
ビキっと眉間にシワが寄るのがわかった。
おそらくそれはエースも同じことだろう。
『起こった後のことを気にしていても仕方ないだろう、それよりゲームを私としないかい?』
「悪いが、君とゲームをしているほど暇じゃあないんだ、中立祭もあることだしね」
あくまでも冷静なエースに感心する。
俺だったら携帯をへし折ってたとこだ。
『残念だが、そういうわけにはいかない、なんせこのゲームにはこの学園の生徒の命がかかっているのだから』
「「何だって!」」
ガタンと二人とも立ち上がる。
突然のことに反応してしまった俺は慌てて口を閉じたが、あまりにも遅すぎた。
『聞き手が複数いるみたいだね』
苦虫を噛み潰した顔になるエースは会話を途切れないように続ける。
「別にこちらが一人だとは言ってない、それに命がかかっているとはどういう事だ」
『ふふふ、いいねどうせ君は参加せざる終えないのさ、ついでにルールも説明させてもらおうか』
完全にペースを握られている俺達はただ相手の話を聞くことしかできなかった。
『ルールは簡単だ、私はこの学園に五つの爆弾を仕掛けた、停止方法は爆弾の青のボタンを押せば停止する』
「そ、そんなことをして一体君は何が目的なんだ!」
『見事に爆弾を解除することができたら話でもしようかな、ふふふ、制限時間は二時間だ、二時間で五つの爆弾を停止できれば君の勝ち、停止できなければ……わかるよね』
「ば、爆弾の場所は!?」
『それは君が努力するんだ、まあ探す人はそこにいる聞き手ぐらいなら加えてもいいよ、ああちなみに今さら中立祭を中止になんてさせれば爆弾は爆発させてもらうからね』
その言葉を最後に通話は切られ、教室内にはツーツーっと終了した音が虚しく響いた。
二時間で爆弾を解除できなければ、この学園に仕掛けられた爆弾が爆発する………
最悪の事態にエースはただ携帯を強く握りしめながらその場に立ち尽くしていた。
俺はそんなエースを見てギリッと歯を噛み締めると振りかぶって背中を思いっきり平手打ちする。
バチィンといい音が響き、痛さに飛び上がったエースはすぐさま振り向いた。
「な、何をするんだ痛いじゃないか!」
「うるせーよ、そんな元気があるなら立ち尽くしてないでさっさと爆弾探しに行くぞ」
「だが、爆弾がどこにあるかなど僕には………」
完全にネガティブになっているエースに俺はため息を吐いてから言った。
「立ち尽くしていいのは全てが終わった奴だけだ、まだお前は何も終わってねぇだろ、だったらやることは一つだ……そうだろエース」
「………そうだな、こんなところで止まってはいけないな、行こう!」